世間体より、心を大切にする生き方を選べるって。成長したやん?自分。
数年前から、どこに向かっているかわからなくなっていた。
いや、厳密にいうと、どこにも向かっていなかったな。
11年前に中学生の頃からなりたいと思っていた消防士になった。
その間は、色々な経験をして良いことも悪いことも経験した。
私が消防士を志したのは、救助現場の最前線に立ち、困っている人を助けたい!とか、幼い頃に家族が急に容態が悪くなり、その時何も出来なかったから救急隊になりたい。といった過去がある訳でもない。
単に小学校から高校まで続けてきたサッカーで培った体力と体育会系の気力を生かす事ができるという自分本意な考えからだ。
性格と誕生月(牡牛座)からしても、公務員という職業は、自分でいうのも変だが正義感と真面目という面では消防士という職業選択は間違っていなかったと思う。
いや、むしろその時の自分が消防士になりたいと思い、努力し、夢を掴んだのだから選択としては正かったと思う。
消防士になりたての頃はの当時は、救助隊を目指すのが当たり前の雰囲気があった。今となってはその雰囲気はかなり無くなっているが、空気を読む事が幼少期から得意だった私は、当然「救助隊を目指しています!」と言っていた。
しかし本音は違う。厳しい訓練が本当に苦手で、「訓練」という名の後輩ができるか出来ないかを試すあの空気が本当に嫌いだった。
先輩や隊長はいい人で、かなり恵まれきた職場環境ではあるが、そこではなく消防独特の、いつも試されている雰囲気が思い出すだけで嫌になる。
嫌な事ばかりではなく、自分は本当に人に恵まれて、優しい先輩や気の合う後輩と楽しく過ごす当直も好きだった。一番初めに配属された消防署の先輩の影響が今考えるととても大きく思う。当時の先輩が優しく接してくれたから、自分の後輩には一緒に仕事をしている限りは消防士という仕事を好きでいてくれればと思い接しているつもり。
目標がない日々
新人と言われる年を過ぎてから日々の仕事の中で「何がやりたいのか」と自問自答することになる。
救助隊になるための選考試験を4年目くらいまで受けていたが、本当に救助隊になりたいのか自分でもよくわからなかった。ただ「救助隊になりたいです」といっておけば、周りの先輩や上司達にガッカリされない。
「今はやりたい事が特に見つかりません」
そう言えればどれだけ気楽だったろうか。
やっている限りは何かやりたい事や目標がないとだめだと思っていたが当時の自分会って言いたい。
「無いもんはないんやから、しゃーないやん」
そんな事を言ってくれる先輩が当時近くにいたら、大好きになっていただろう。
消防は変化の少ない特殊な職業だ。より安全、迅速、確実に救助するために技術の習得は必須だが、新しいものをすぐに取り入れるという流れはそこまで多くない。
消防は火を消す以外に、救急隊、救助隊などの現場勤務から、火災を未然に防ぐ予防・査察業務、119番通報を受けて部隊を出動させる通信司令業務、消防業務を取りまとめている消防総務と多岐にわたる。
消防隊として10年働き、次にやりたい仕事が見つからない私は、環境に変化を与える事にした。
何か新しい事が見えてくるかもしれない。
そんな思いで、異動希望を書き、翌年から希望した職種に就く事ができた。
初めの一年は何もわからない業務に追われ、以前の悩みなどは考える暇もなく過ぎ去っていった。
2年目を迎え、業務に余裕ができてきた頃にふと動かしていた手が止まった。
「なぜ今俺はここにいるんだろう」
その場にいる事に凄く違和感をおぼえた。
過去の選択の連続が今の自分を作っている事は理解している。
でも、この場にいる事に今まで感じたことがないくらいに違和感を覚えた。
「選択肢がある」と頭で分かったからだった。
今の環境しか知らなければ、何も疑う事なく、このまま安定した公務員として定年まで勤める事ができる。
貧しくなる事はないが、決して裕福になる事はないごく平凡な日々を送る事ができる。
いいじゃん、それで。それが望んでいたことじゃないの?それができるだけ、日本に生まれただけで幸せでしょ。
30過ぎてからリスクだよ。
安定が一番
頭ではそう言っている。脳が、過去の経験からそう言っているのだ。
でも、心は違う。このままでも、生きていける。けど、幸せにはなれない。
そう言っている。
何のために生きてる?生きてるならワクワクする時間とか、仲間
とかと過ごす時間が多い方がいいに決まってる。
お金も大切。でも、それより大切なものっていっぱいあるよね?
でもそれは何?今の俺にはわからない。知らない事が多すぎる。
本とか動画、テレビを観て知った気になっているだけ。
実際の目で見ていないし、心が動いていない。それは知っているとは言わないし、何も人に伝えられない。
自分が今何をすべきなのかはわからない。でも、ただ一つ言える事は、このままではダメだ。
いつわかるかわからない答え探しに出ることになるかもしれない。
それが正しかったのか、間違っていたのかなんて自分でもわからない。
「君は消防士ステージ終わりだよ。違う形で、困った人を助ける事を学びなさい」
そう言われている。誰かに。
あー。不安だ。飯食ってけるかな。やりたいこと思いつかない。
でもなんか大丈夫な気がする。根拠はないけど。
でも、世間体より、心を大切にする生き方を選べるって。成長したやん?自分。
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