風の使者 伝言鳩
あっ。こんにちは!
初めまして。
突然ですが 今あなたに
私の姿は どう映っていますか?
えっ?喋る鳩?
良かった!
あなたで間違いありませんね。
申し遅れました。
私 「風の使者の伝言鳩」と申します。
本日は ある方から伝言を預かっており
それをお伝えしに参りました。
私の姿は 他の方からは
光と同化し 見えておりません。
この声も 風の音と同化し
聞こえておりません。
そして 私と話している間
あなたの姿も声も
誰にも分からなくなるように
なっております。
いわゆる 透明人間のような
状態でしょうか。
さて。
さっそくお伝えしたいのですが
少しお時間を頂けますか?
良かった!
ここで立ち話もなんですので
あちらの木陰のベンチに
行きましょう。
柔らかな木漏れ日と
風の通り具合が
心地良さそうです!
それでは本題なのですが伝言を・・・。
えっ?
手紙じゃないのかって?
あぁ。
こちらの世界には 実際に手紙を届ける
「伝書鳩」がいるのですよね。
しかしながら 私たちの世界では
形ある物を残すことは出来ないのです。
なので 「伝言鳩」と・・・。
本音を言えば もう少し気の利いた
カッコいい呼び名が欲しいのですが
・・・と いけないいけない!
話を戻しましょう。
えぇと。
そうそう ある方が・・・。
えっ?
それが誰なのか知りたいって?
それは 残念ながら
お伝えすることは出来ないのです。
なぜなら 誰とは言わなくても
依頼主様が
絶対に届けたい!と思っている方には
必ず届くようになっているからです。
もしも 話の途中で
依頼主様に心当たりが出てきても
どうか口には出さず 心に秘めたまま
最後まで話を聞いていただけますか?
依頼主様を追求されることになってしまうと
私たちは話を切り上げて帰らねばならず
最後まで伝言をお伝えすることが
出来なくなってしまうのです。
よろしくお願いします。
では 簡潔にお伝えしていきますね。
まずは
『大好きだよ』
そして
『いっぱい いっぱい ありがとう』
これがどの位の大きさかと言うと・・・。
いえいえ!
そんな両手では足りません!!
分かりやすく言うと・・・。
そうですね~。
地球を余裕で はみ出すくらい大きな
『大好き』と『ありがとう』の思いです。
これを 何が何でも一番に伝えて欲しいと
ここに来る直前まで仰っていました。
それ位 大きな思いです。
次に
この方が強くなれたのは
この方にとって
『世界一のあなたが側に居たから』
とのことです。
あなたは この方が元気になるように
あなた自身のことを差し置いてでも
たくさん初めての事に挑戦したのですよね。
それは とても勇気の要る事。
あなたといると
苦しみが和らいで
パワーが漲ってきたり
初めて自由に 思うままに
動き回れる自分になっていったり。
そんな自分になれるなんて
あなたと出会うまで知らなくて
その時間が とってもとっても嬉しくて
とってもとっても楽しかったんだ!!と。
この方にとって あなたは
『世界一 優しくて
すごくて 頼りになる
カッコいいヒーローみたいなんだ!!』
と 自慢げに話されていました。
でもその反面。
自分が元気ないと
あなたが時折 とても哀しそうにするから
この方も 早く元気にならなくちゃ!!と
心の底から 力が湧いて来たそうです。
『早くあなたの側に行って 今度は自分が
あなたを元気づけたかったんだ』と。
強くなろう!とか
負けたくない!という気持ちよりも
『あなたといる幸せを知ったこと』
会いたいあなたがいて
一緒に帰りたい家がある。
『その幸せを知らなければ
こんなに頑張れることは
なかったかも知れない・・・』と。
それが 結果的にこの方を強くする
原動力になっていたのでしょうね。
依頼主様もとてもお優しい方です。
本当に・・・。
実は この方が
こちらの世界へ旅立って行った時
とても重い荷物を抱えていたと
お伺いしまして
さぞかし大変だっただろうなと
思っていたのですが・・・
私たちの所に来た時に
いっぱい抱えてきたんです。
『幸せ』を。
それを見せながら
ひとつひとつ嬉しそうに
ニコニコと話してくれて・・・
今回の依頼となった訳です。
では こちらの伝言で
最後になります。
えぇ。あくまでも簡潔にすることに
なっているので。
絶対にして欲しくない事として
ひとつだけお預かりしました。
それは
『あなた自身を責めること』
だそうです。
最初にお伝えしましたが
この方が一番伝えたいのは
『大好きだよ』と
『いっぱい いっぱい ありがとう』
この思いがなぜ生まれるのかと言うと
『あなたといることが幸せで
その幸せが とても大きかったから』
『いつも一緒に頑張って来たんだ!
もしも あなたが一人で
あなた自身のことを責めるようなことを
することがあったら
とても哀しい・・・』と。
現に
あなたたちが出会ったことで
この方は
いくつかの不可能を
可能にしてきていらっしゃいます。
『一緒だったから出来たんだ!!』
そう話す姿は とても誇らしげで・・・。
それが全てではないでしょうか。
さて。
以上が ある方からの伝言です。
私『伝言鳩』のことも
私と過ごした時間も
このあと忘れることになりますが
伝言を伝えたことで生まれた
その胸の中の思いは
そのまま残ることになります。
それが 依頼主様の願いなので・・・。
それでは。
お時間を取っていただき
ありがとうございました。
私はこれで失礼いたします。
・
・
・
(さて。
私は任務完了したので戻りますが
君はどうしますか?)
(今の君は 光でもあり風でもあり
変幻自在に大切な存在を包み込める
『愛』の存在。)
(大丈夫ですよ。届いています。
ずっと君も側にいましたし
その思いで包み込んでいたでしょう?
安心してください。
大丈夫です。)
(では私は 次の任務があるので
先に行きますね。
えぇ。戻るのはいつでも大丈夫ですよ。)
(それでは!)
・
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・
・
あっ。こんにちは!
初めまして。
突然ですが 今あなたに
私の姿は どう映っていますか?
申し遅れました。
私 「風の使者の伝言鳩」と申します。
良かった!
では少しお時間をいただいて・・・。
あちらでお話しましょう。
柔らかな木漏れ日と
風の通り具合が
心地良さそうです!
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