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パッチワークを教えて〜生徒さんへの対応の失敗談〜

失敗談は山程あるけど、
その内のひとつは生徒さんへの対応についてだ。

同じ月謝を頂いている以上、皆平等に扱わなければ!と肝に命じていた。

私自身は 贔屓されたい人なのに…だ。

例えば、
私が生徒の立場なら先生に特別扱いされているという自負があって、初めてモチベーションが上がった。

でも今は 立場が違う。

平等に接するという事は、1人1人に入り込み過ぎないという事だ。
極力、感情移入しないという事だ。すでに無理がある。

しかし、中にはあからさまに特別扱いされたがる人が出てくる。

物静かで上品な感じのUさんは、みんなの居る席では余り喋らないが、皆が集まる30分以上前に手土産を持ってやって来る。

手作りのお寿司だったり、
娘用に手編みのセーターだったり、
山盛りのパンだったり、
高級なブドウだったり…

そして、
『皆には 内緒にしてね』と言われる。

最初は好意として受け取っていたが、
どうしたものかと悩むようになった。

おやつ等、色々と差し入れて下さる人は
何人もいらしたが『皆んなで食べて下さい』
という形だった。

それなら私も気を使わずに済んだのになぁ…

悩んだ末に
『困りますので次からはもう受け取れません』
と言った。

やはり、気まずい空気が流れた。
多分 プライドを傷つけただろう。

そして彼女は休みがちになり、辞めていった。

後から噂話で彼女の事を耳にした。

脳梗塞で倒れた御主人を10年間介護しながら趣味の編み物や手芸に一生懸命だったが、その御主人が亡くなり、何をする気力も無くなっていた時にパッチワークの教室を知り自分を奮い立たせてやって来ていた…

という事を。

もしかしたら
特別扱いされたい訳じゃ無かったかも知れない。

危なかしい新米講師の私を、娘の様に思ってくれて、彼女なりの精一杯の誠意を示してくれていたのかも知れない。

あの時、どうすれば 良かったのか?

好意は受け取って他の人に分からない様に彼女の技量をさり気なく褒めてあげたら良かったのか?

せっかく第2の人生の場所として選んで下さったのに、私の力不足でその場を奪ってしまった。

何歳になっても褒められたいものだし、人から認められたら嬉しいに決まってる。
当時の私は母親位の年上の人を褒めるのが下手だった。

自然に良いものは良い!出来が悪ければイマイチ!と言える様になるまでさらに長い時間が掛かった。

色んなタイプの生徒さんと対峙する事で
私という講師像が形を成していった。

その後、街で何度か彼女と擦れ違ったが
開いた距離はもう埋められなかった。

ひとりの世界からやっとの思いで
外へ飛び出してくれたのに、
貴方を受け止められなくてごめんなさい。

教室運営、最初の頃の苦い経験だった。

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ダラリ・ラリ@キルト作家
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