アイドル雑記~アイドルにとっての王道とは~
日本武道館はかのビートルズがそのステージに立って以来、その後のミュージシャンの一つの達成として半ば聖地と化していった。
キャパシティだけで言えばさいたまスーパーアリーナや横浜アリーナの方が断然大きいのだが、ビートルズという伝説的なミュージシャンが初めてそこで音楽ライブを行ったことででそこは柔道の大会をする場所というよりもミュージシャンの聖地として知られるようになったと思う。
さて、そんな日本武道館にあるアイドルが立つことが決まった。
その名もクマリデパート
この一見可愛らしい名前のアイドルグループもクマリという言葉がネパールでの生き神(幼い女の子から傷がない子を選んであるときまで生き神として祀る)から持ってきていると考えると、なかなかに前近代的な価値観を持っているのだが、一見の可愛らしさと明るさの中にこうした毒を仕込めるのはある種のセンスなのかもしれない。
さて、クマリデパートとは完全王道アイドルとして2016年に結成された現在は6人組のアイドルグループで全てのお客様に笑顔と幸せをお届けするというコンセプトのアイドルグループだ。
曲調も明るく楽しく脳天気に楽しめる感じのものから少しエモみがある曲もあり、メンバーカラー制の導入や可愛らしい衣装を見る限り、王道アイドルという感じがするだろう。
しかし、王道とはなんであろう、自分にとってライブアイドルは多様性が魅力の世界だ。
様々な表現の母胎となっているライブアイドルの世界において曲調やスタイルだけを持って王道と説明するのはなんなのであろうか。
ここで王道という言葉について立ち返ってみたい。
古代中国の有名な逸話に以下のようなものがある。
また別の話を取り上げると石原莞爾は最終戦争論において東洋の王道と西洋の覇道という表現をした。
王道は利他であり覇道とは利己であるという。
こうして見るとクマリデパートはコンセプトからして非常に利他的なグループだったように思える。
ファンに幸せをお届けするというコンセプトはもちろんのことクマリデパートという物語の力を駆使してアニメの主人公のような私たちというような売り方もしてこなった、そのため何年以内にどこどこの舞台に立つとかフォロワー何万人といった具体的な目標を表立って掲げるようなこともしていなかったように思える。
ただ、目の前のファンを幸せにすることだけを信じて色々なアイドルとコラボしたり楽しい曲を出したりライブを心がけていたように思える。
そして何よりも病みツイや突然の卒業などでファンを傷つけたりすることが一切なかったし、オタクからの搾取を目的としたような無理な売り方もしてこなかったように思える。
故にクマリデパートのいう王道とは、表現のスタイルではなくファンを幸せにしたいという利他的なアイドル活動と、そしてそれを長年続けることにあったのではないのかと思う。
余談
来週クマリデパートが対バンするアイドルは今月での解散が決まっているグループだ。
個人的にはそのグループもキャリアの差こそあれ、曲もライブもメンバーの魅力も十分でキャリアを積んでいけば武道館という未来は十分にあり得たように思える。
ポテンシャルにはそんなに差を感じなかったアイドルでも一方は解散をし、一方は武道館に立つ、孝公に言わせれば「そんなやり方では時間がかかりすぎる」ということなのかもしれない。