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大輪の花を咲かせるには【Winny】映画♯088

ホリエモンさんのプロジェクトから生まれた、実話に基づいた映画です。
映画や何かを発信している私たち、それ以外の人も絶対に見ておきたい作品。



Winny   2023年/日本



【ストーリー】

インターネットが一般家庭に普及して間もない2003年ごろネット掲示板“2ちゃんねる”にファイル共有ソフトWinnyが発表され、瞬く間にユーザーを増やした。
それと同時に違法にアップロードされた映画や音楽、
ゲームが出回り社会問題に。
その後、アップロードをした2人の人物が逮捕される。

当初、ソフト開発者は逮捕されないと思われたが、
アップロードをした犯人の手助けをしたとして、
金子勇が逮捕された。
捜査に協力すべきだと考えていた彼は
刑事に騙されてある書類を書かされる。
金子はWinnyの開発を止めさせられ、
家族にも会えなくなってしまう。


工学博士の金子勇氏を東出昌大さんが熱演
眼鏡は金子氏が実際に使っていた眼鏡



【解説というか、レビューというか】

ガラケーの時代、20年近く前ですか。
貯金をはたいて買ったソニーのノートPCバイオ。
ああー懐かしい。そう、
シネマジェンヌはそれにWinnyを入れてた。
逮捕者が現れてから使わなくなった。
Winnyのイメージが悪くなったからです。
だけど、この映画を観て思った。
わたしは報道に操られていたのか、、それもあっさりと。
いま、自分を恥じているところです。泣

でも、なんで開発者までも逮捕されたのか。
それはとても謎でした。
きっとあの団体に訴えられたんだ、、
そんなふうに思っていました。
ところが、違っていたんです。
これは民事事件(団体vs人)じゃなくて、
刑事事件(警察、検察vs人)

なんでなんだか、国家権力と闘わなくてはならなくなったのです。
そこが大大大大問題。

金子氏はこの映画のチラシにあるように、
7年半の闘いの末、無罪となっています。
無実の罪です。冤罪です。
警察は正当な理由もないまま、
金子氏を逮捕し犯罪者のイメージを世に与えました。


金子氏は幼い頃からプログラミングの才能があった。
プログラミング言語とはコンピューター語のことです。
コンピューターが分かる言葉でコンピューターに命令をする、
それが天才的にできるプログラマー。
それが金子勇氏。
その天才っぷりを発揮させたのがファイル共有ソフト
Winnyだった。

今みんなが使っているYouTubeやTikTokとかNetflixは、人々がワクワクするような体験を私たちにもたらしてくれます。
これらは生活を楽しくしてくれるだではなく、
時には利益をも、もたらしてくれるものでもあります。

もし、Winnyの開発が進んでいたら今頃、
それら以上のものが出来ていたかもしれない、
当時はそんな発展途上にあるソフトだったのです。
金子氏の天才的な技術は日本の宝になる可能性がありました。

そんな時代を先取りした金子氏の技術に、
お巡りさんや裁判官はまるで理解できずにサイバーテロと思い込んだ。

天才が理解できない凡人たちは、なにが罪なのか
分からないまま逮捕したのです。

無罪を勝ち取るのがとてつもなく難しい刑事裁判。
最初の判決は凡人が天才を殺めようとしてると言っても過言ではない判決。
裁判で検察側は、なんとしてでも有罪にしたい
そういう異様な意地が見えてきます。

でも、なぜそんなに有罪にしたがるんだろう。
警察は不当だとは分からなかった?本当に?ただそれだけ?
この映画はそこに迫まります。
みなさんへ、その裏を告発したいっていう映画なんです。


これ謝罪案件でっしゃろ、とこの映画は言いたい。
誰もが、金子氏本人すらも正義と思っていた警察、
検察が(っていうか国家)がひとりの国民を欺いた。

それだけではなく、長い裁判にストレスを与え、
プログラミングの時間を奪われた天才プログラマーは
権力によって溢れるアイデアを表現させてもらえない。
その描写がとても悲しいし見ているこちらも悔しくなる。

きっと人前に出るのも苦手だっただろう(天才にありがち)
もしかしたら、こうゆう人が将来宇宙開発に携わり
大活躍したかもしれない。
、、というか絶対に活躍したはず。そう思わずにいられません。
逮捕、裁判は金子氏の精神に大きな苦痛を与えています。

警察、検察側、裁判官の彼に対する不当な扱いに、
こういう人を守らなくてはいけないと奮闘した弁護団。
彼らのスマートさは天才の名に値すると思います。

Winnyの先進性が分かる弁護団は、
裁判官に分かる言葉でWinnyを説明する。


弁護士さん、か、かっこいい、、


そもそも、
なんで民事事件ではなくて刑事事件なのか、
なんで金子さんは狙われたのか、
なんでこの国は冤罪が多いのか、
この映画はWinny事件とは違う、もうひとつ別の事件を描く事で、
それとなく私たちに知るべき事を伝えています。


世の中はそんなに綺麗じゃないにしても、
無実の人が犠牲になっていい理由はないと思います。
それが諸悪の根源ではなく、トカゲの尻尾でしかない。


出世の為に犬のお巡りさんにならないでほしいと願うばかり。決められた事だけをやっている、ルールに従いすぎる犬にはならないで欲しいのです。
じゃないと冤罪は減らない。

著作物を保護しようとして一国民を保護しないって
ひかえめに言って大罪。

ひとりの人間の、有意義なはずの人生を潰しているんだもの。

そして、この事件をよく知らない私たちも
冤罪に加担してると最終的には言えるかもしれません。


檀弁護士(三浦さん)金子勇氏(東出さん)
無罪を勝ち取る為に自分を犠牲に
それは未来を常に見ているから


ジャパーンの暗部を浮き上がらせたこの映画。

制作陣たちに圧力がかかっていると言われていますのでみなさま、それくらい根深い闇がある事を
この映画で知ってくださいませ。



映画が果たす役割とは、こういう事なのです。



【シネマメモ】

絶対に絶対に評価しなくてはならないジャーナリズム作。
映画制作者がこの作品を広く知って欲しいという思いが存分に伝わる百点満点の出来。
難しい裁判用語とかIT用語がほぼありません。
専門用語満載でストーリーが分からなくなる
なんて事にはならないのでご安心を。

✳︎合わせて読みたい本
『天才プログラマー金子勇との7年半』

金子氏を弁護した弁護団のひとり、檀弁護士がブログに綴った日記です。
これを読むと百倍増しに映画が面白くなります。
檀さん自身の言葉で綴られた文章は軽やかで読み易くなっています。
ですが、職務とか友情の粋を超えた金子氏への思いは熱く語られ、非常に胸を打たれました。

警察官をお巡りさんと言う表現も組織の犬と言いたい皮肉。
言いたくても言えない事がたくさんお有りな様子が文から感じ取られます。

映画のとある場面で、弁護士たちが刑事ばりに
関わった警察官の写真をホワイトボートに並べるシーン。
まるで“ホシ”のように扱ったところなんて面白い。
檀さんのニヒルとした皮肉が映画でも活かされていました。

著書にしても映画にしても、これが丸っと事実なら
いくら20年前だからってサイバー対策の無知さには
呆れてしまう。


【ひとりごと】

お菓子を主食と捉えられる所だけなら、
天才金子氏とシネマジェンヌのダラは似ている(と思いたい)

どちらかというと女性に無関心な金子氏を
東出昌大さんが演じてるのがおもろい(オイ)

失礼。


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