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強制的に妊娠させられる乳牛【映画】ロブスター♯119



ロブスター


2016年/ギリシャ、オランダ、フランス、イギリス、アイルランド


【ストーリー】



独身者は45日以内にパートナーを見つけないと動物にされてしまう世界。デヴィッドは離婚し、パートナーを見つけるために、あるホテルに身柄を確保される。

パートナーを絶対に作らないといけない世界

【解説というか、レヴューというか、】 



映画の世界は、一定のルールに従わない者を動物に変えてしまうという極端なディストピアを展開。個人の自由が抑圧されている世界が描かれます。演者たちの感情を抑えた無表情な演技や、冷静な語り口が特徴的。現代社会において「正しい生き方」とされる大多数の意見に流され個人のアイデンティティが崩壊しています。彼らはパートナーを見つけるために「わたし」という存在を歪め矯正されているので無感情になっている。

パートナー選びは「なんか気が合う」とか「なんか好きかも」みたいな曖昧な勘ではマッチングしません。主に属性でカップルを成立させます。人に説明できる理屈がなければならないのです。だけどパートナー選びってそんなもの?

独身の森



道理や理屈じゃ説明できないオス的だったりメス的な衝動が愛を育てる前段階にあるのじゃないのか。これがこの映画の言いたいところだと思う。精神的な反応が鈍く、他ならぬ自分を失いつつある主人公のデヴィッド。
独身族が住む森へ逃げ込む彼は、一生独身を誓った後で僅かに動物的に恋愛ができる本能をまだ持っていたりする。そこが切なくも悲しいところ。

愛は矯正出来ないものなんだ。そんな感じで落とされた結末だったのでなんだか安心した。

カップルにならないもお縄なのよ

【シネマメモ】



周りに馴染む為に自己を抑え込んでしまう、現代人になぞられているんではなかろうか。頭でっかちになりすぎて感情に鈍くなると、こんなにもひんやりした世界になるものかと終始鳥肌。動物的性愛を持ちながら理屈を上付けしたがるって、つくづく人間は変な生き物だと思った。

イチャつくカップルに容赦無くど突く独身族役のレア・セドゥに大爆笑。ヨルゴス・ランティモス監督の作品は大抵コメディ。だから大笑いしていいのです。


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