ああそうか、主役はバスケなんだ。【ファースト スラムダンク】♯090
史上最高のバスケット物語。ただいま原作ファンが熱狂中。
井上雄彦の世界を堪能しよう。
【ストーリー】
沖縄で暮らす少年は、仲のよい兄とバスケをするのが
大好きだった。
ある日、兄は友人たちと船に乗って何処かへ。
バスケをする予定だったのに、
置いて行かれた少年は泣きながら文句を言うが、、。
【解説というか、レビューというか】
あ、ネタバレするからご注意を。
コミックで『スラムダンク』を読んでいたシネマジェンヌはアニメ版がTV放送された時、漫画のイメージと違い過ぎて受け入れられなかった。
アニメ版を見たくなくなる程、原作が大好きだったんです。
(主題歌は大好きだったよ)
スラムダンクの素晴らしさは、何つっても井上雄彦の絵のチカラが大きいと思う。とにかく井上先生の絵はカッコイイ。
そしてその絵に負けない内容の素晴らしさ。
漫画にはある、独特な間合いも、
アニメでは再現できていなかったのが正直なところ。
しかし今回の映画はファンの期待に応えるべく、
原作者が自ら監督、脚本を担ってます。
ゆえに、とんでもないこだわりよう。
井上センセ、私こう言うのが見たかったんですううううーとー、叫びーーーたい〜
こだわりを感じる躍動感にあふれたリアルな試合のシーン。
今までみたアニメとは、なんかちょっと動きが違います。
かといってアバターみたいなCG映画とも違う。
キャラクターの動きが現実の人みたい。
多分モーションキャプチャーを使っているんでしょうが、
それ特有の浮遊感がない。しっかりと重力を感じる映像なんです。
身体のどこかに重心が掛かった、スポーツをしている人の動きをちゃんとしている。
弾んだボールの振動や、アリーナ全体の空気まで
絵だけじゃなく、音でも表現しています。
だから試合をその場で観ている迫力を味わえます。
アニメだけど実写のような動き、
アニメだけど漫画のページをめくっているようなワクワク感。
漫画の延長線上にある動くマンガ。
今まであったアニメ映画の表現スタイルを、
マンガ映画という新しいものに変えてるんではないかと思います。
物語りは、
このバスケットボールというスポーツの面白さを持って、リョータの記憶をたぐる話しで進みます。
主人公は宮城リョータなんです。
だいたい、映像表現にこだわり過ぎた映画ってのは
ストーリーが映像に負けてしまう場合が多いもの。
ですが、リョータを主人公にしたって言うのがこの作品のキモ。
彼の物語は『スタンバイミー』のオマージュに違いないでしょう。
バスケをするには恵まれた体型じゃない、天才肌でもない、劣等感を抱いているリョータの背景にはドラマがある。
そんな彼は、映画の主人公に最もふさわしい。
リョータ視点で試合の中に入り込む私たち。
気が付けば、コートの中で負けられない試合をしてる。
時間が流れる感覚に緩急がつけられた映像は、
緊張感がある迫力のシーンを作っています。
監督の井上雄彦は時間をも徹底的にコントロール。
時間がゆっくり流れる中で、リョータだけではなく、花道、ミッチー、ゴリ、流川
それぞれの不遇の時代が回想される。
この試合に掛けるそれぞれの想いが映画終盤でかけ合わさった時、押し寄せる感動ったら、
もおースゴイ。
没入というより、埋没。
映画館を出ても、あなたはスラムダンクの世界に溺れたまま。
映画を通してもの凄くいい試合を見たん事になる。
それほど、
バスケットボールというスポーツは面白い。
ああそうか、作者はバスケを見せたかったんだ、
スラムダンクってバスケが主役だったんだ、
きっもそう思うと思います。
他のアニメ作品とか実写作品よりはストーリーの抑揚が緩やかではあるけど、繰り返し観てきたアニメらしい大袈裟な感動じゃないのが、井上雄彦っていう作家の作品。
映像芸術として堂々たる作品に、あっぱれ!井上先生!!
これみよがしにCG映像が綺麗でっしゃろっていう、
出しゃばった映像に陥らない、
そういうかっこよさが画面から滲み出てる、
漫画やアニメをまた更に高い位置におし上げた
美作です。
【シネマメモ】
制作ドキュメンタリーとか放送されたらいいのにな。
制作現場を見てみたいな。