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30歳、乳がんになる #4「緩和ケアって何?診断結果の日」
2024年4月19日、運命の日。しこりを発見してから1ヶ月が経っていた。
その日は偶然夫が仕事休みだったので、ランチをしてから一緒に検査結果を聞きに病院へ向かった。
病院に着くと初めに診察券を機械に通し、当日の予定が書かれた紙を受け取る仕組みになっている。私はその紙を目にした瞬間一瞬不安に襲われた。
そこには『乳腺外科』に加えて『緩和ケア』の予約が追加されていた。
「緩和ケアって治療ができない状態になった人が受けるんじゃないの?」と頭に疑問がよぎったが、考えすぎないように自分に言い聞かせた。
(後で知ったのだが、緩和ケアは終末期の患者だけでなく診断時から患者をサポートする役割があるという。)
病院は混み合っており診察室前のベンチは順番を待つ人で溢れていた。夫には「サクッと結果聞いて戻ってくるよ」と伝え、総合受付前の椅子で待っていてもらった。
私は待っている間スマホでパズルゲームをしながら時間を潰していた。それほどまでに軽い気持ちだった。
そして予約時間になってもなかなか名前が呼ばれず、何度も時計を見ては苛立ちを募らせたのを覚えている。
やっと自分の番がきた。
診察室に入ると優しそうなお爺さん先生とその他数人の看護師さんがいた。その先生が開口一言め、こう言った。
「今から少し厳しい話をするけども、よく聞いて。そんなに心配はしなくて大丈夫だから。」
ん?これはえらいことになったかもしれない。
心臓がヒュッとなり、血の気が引くような感覚を覚えた。軽い気持ちで来た自分が急に現実に引き戻された瞬間だった。
一人では受け止めきれないと思い、夫が外にいるので一緒に聞いてもよいかと伝えた。
数分後、診察室に入って来た夫と目が合う。少し戸惑った表情を浮かべながらも私の横に座ってくれた。夫の顔を見ると「一人じゃない」と思えて張り詰めていた心が少しだけ和らいだ。
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少し長くなってしまったので診断結果については次回に書こうと思います。