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塗装現場からのメッセージ《第15回》お客様のための同業他社との連携

同業他社はライバルではない!


本コーナーでは、豊富な経験と実績を誇る茨城県稲敷郡阿見町の塗装専業メーカー、㈱技研・代表取締役 宮本勇気(みやもと ゆうき)氏が、塗装現場におけるさまざまな課題解決のためのヒントを伝授します。

※本記事は「塗装技術」誌に掲載されたものです

得意分野がそれぞれ違う塗装会社

一概に塗装会社と言ってもさまざまであり、普段の業務で関わっている業種や製品、使っている塗料、塗装品質の違いなどがある。
たとえば塗装会社をインターネット検索した場合、当社(㈱技研)と同様の塗装会社は全国各地にあるように見える。しかし業務内容を確認したりすると、金属素材が得意な会社、プラスチック素材が得意な会社、小物部品が得意な会社、あるいはその逆の大物が得意な会社など、得意な素材やサイズを比較しただけでも、それぞれに規模も違えば個性も異なり、得意分野や導入している設備もさまざまということがわかるはずである。

当社を例に挙げると、10 年以上前から小ロット多品種に特化した設備とレイアウトに変更している。得意なサイズと材質は、1m 程度以下の金属製品・プラスチック製品が中心である。扱っている塗装品目は厨房用品関連のシリコーン塗装や、医療メーカー向けの外観高品質塗装などがある。

少ロット多品種の製品に適した手拭き塗装

塗装業者と塗装品の不一致

塗装会社の得意分野がわからないまま相談した場合、どんな問題が発生するのかを考えてみる。
たとえば大物専門の塗装工場に小物部品を依頼したり、大量生産が得意な会社に小ロット品を相談してしまうと、

  • 要求していた品質を満たせていない

  • 塗装費用が相場よりも価格が高くなってしまう

など、希望にそぐわない事態に陥ってしまう。
一概に塗装会社と言っても、規模も違えば内容もさまざま、特性も異なる。塗装を依頼する側は特に、どのような塗装を得意とする塗装業者なのか、確認が必要になってくる。ただし塗装に関わっている自分たちでさえ知見のない場合もあるため、顧客が塗装業者を選定するのが大変なのは間違いない。

同業他社との連携

前述の塗装業者の不一致を防ぐため、当社の場合は以下のタイプの会社(10社以上)と連携している。

  • 自動塗装ラインを完備し大量生産が対応可能な会社

  • マスキング塗装が得意な会社

  • 粉体塗装が得意な会社

  • 3m以上の大物の塗装が得意な会社

  • クリーンルーム完備の超高品質塗装が得意な会社

同業他社と連携することで、塗装に関する情報交換生産体制の協力といった助け合いなどが可能となる。お客様にとって非常に有効な仕組みである。

顧客ニーズへ応えるために

  • 塗装設備やレイアウトにより塗装費に大きな違いが出てしまう

  • 依頼された製品が自社の内容とマッチしない

このような問題を解決するためにも、同業者間のネットワークを広げ、大物部品から小物部品、大量生産や小ロットまで、さまざまな要望に対応できる体制を作り、要望に合った塗装を提供できるよう取り組んでいく必要がある。

今後のあり方

現在活動している塗装業者は時代の流れと共に、厳しい情勢を乗り越え、淘汰され必要とされ残っている業者であるとも言える。同様に見えてもそれぞれ残るべき価値があり、特色の異なる塗装会社であることを証明している。
今後も塗装業者として活動を継続していくためにも、他社との連携を充実させ、さらには他業界との連携などについてもしっかりと進めていくことが必要である。

㈱技研…1985 年1 月創業。シリコン加工・テフロン加工・金属およびプラスチック部品の塗装・印刷・組立その他加工全般を手掛ける。取扱品目は製菓、製パン用天板、住宅関連部品、自動車部品、弱電部品、時計部品、その他関連商品・各種部品。


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