現場塗装で用いる『ぬれ (ウェット) 塗膜』用の膜厚計の種類は?~現場塗装 ぬれ塗膜 ウェット塗膜 くし形膜厚計 ロータリ形膜厚計
塗装の森/塗装技術に関するQ&A
塗装業界の総合技術誌『塗装技術』および『塗装技術.com』に寄せられた塗装技術に関する質問に、各分野のエキスパートがお答えします。
《Q》現場塗装の監督者の方より
《A》コーテック㈱ 品質サポート部
一般に現場塗装に用いられているぬれ塗膜(Wet/ウェット塗膜)の膜厚計には、2種類あります。
1. くし形ゲージ (くし形膜厚計)
JIS K5600-1-7:2014 (ISO 2808) の「4.2.4 測定法1A くし形ゲージ」に示されています。同じJISの番号で1つ前の1999版では、「ぬれ膜厚のおおよその目安を与える」と書かれていて、期待される精度の欄には記載がありません。ゲージの目盛は段階的(=歯と次の歯の膜厚値は段階的に増える)なので、指定されている膜厚や管理精度に応じて適切な刻みと膜厚値を持ったゲージを選択することが重要です。
測定手順は、⑴塗膜に垂直に当てる ⇒ ⑵最も大きな歯の値を読む です。
測定対象面は完全に平ら(一方向に湾曲している場合は軸線に沿って)でないと測定はできません。くし形膜厚計を塗膜面に垂直に置き、塗膜が歯をぬらすだけの時間をおきます。塗料によりぬれた歯の中で最も大きなギャップ値(膜厚値)を読み取ります。
2. ロータリ形ゲージ (ロータリ形膜厚計)
JIS K5600-1-7:2014 (ISO 2808) の「4.2.5 測定法1B ロータリ形ゲージ」に示されています。同じJISの番号でひとつ前の1999版では、「研究室および現場で使用してもよい」と書かれていて、期待される精度の欄には「±2.5%+1μm」と記載されています。
測定手順は、⑴親指と人差し指でロータリ形ゲージの回転軸をつかみ、目盛の最も大きな点で接するように塗膜面に押し付ける ⇒ 一方向にころがし、塗膜面から持ち上げる です。
測定の際は、塗料によりぬれている最も大きな目盛の値を読み取ります。