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塗装現場からのメッセージ《第14回》小ロット多品種生産に対応するためのレイアウトや特徴

本コーナーでは、豊富な経験と実績を誇る茨城県稲敷郡阿見町の塗装専業メーカー、㈱技研・代表取締役 宮本勇気(みやもと ゆうき)氏が、塗装現場におけるさまざまな課題解決のためのヒントを伝授します。

※本記事は「塗装技術」誌に掲載されたものです

近年は、20年前の製造業界のものづくりと比べて大量に同じ物を生産することが少なくなり、小ロット多品種生産化が大きく進んでいると感じる。
20 年前、当社(㈱技研)では平面レシプロ塗装機での塗装や塗装ロボット、コンベヤー式の乾燥炉で塗装加工が主力であった。現在は小ロット多品種生産へ対応できることを主軸にして、社内の設備やレイアウトを行っている。
今回は、当社の特徴の一つである小ロット多品種に特化した設備・レイアウト・対応について、その特徴、メリット、工夫を簡単にまとめた。

少量(1 個から)の生産を可能にする

  • 塗装設備の要である塗料の供給装置の種類は、カップガンタイプ、4L タイプ、圧送ポンプを用意しており、塗料の使用量に合わせて機器を選定。塗装作業については熟練の作業者が手吹き塗装を行うことで対応している

  • 使用する塗料は塗料メーカーとの協力により、必要最低限の購入単位で仕入れが可能な体制を構築。必要最低限の塗料の購入量や塗料の在庫で対応が可能

カップガン
スプレーガン
ダイヤフラムポンプ

平行して複数製品を生産が可能なレイアウト

  • 別室管理された塗装ブース、塗装室が複数あることで、同時に複数種の生産を可能にする。当社の場合は塗装室が4 室あり、手吹き用が3 室、ロボットブースが1 室ある。それぞれ製品サイズや生産数量に合わせて、1 室につき1~2 人の作業者が塗装作業を行っている

  • 生産数が多い場合は、上記の塗装ライン複数で同じ製品を生産することで相当数の生産への対応が可能になる

技研の社内レイアウト図

作業者一人ひとりの能力向上が早くなる

当社では金属部品、プラスチック部品の両方の塗装を行っている。そのため、製品やサイズ、素材もさまざまであり、それらに合わせて使用する塗料もさまざま。また、さまざまな業界で求められる品質に触れることで、塗料や塗装に関して得られる知識や経験が自然と多くなる。

  • 1日に数品種の塗装を行うこともあり、塗装作業者の経験値の向上が早い

  • 1人で複数の工程を受け持つこともあり、塗装工程に関する知識が身につきやすい

当社では生産性や品質を確保するためにさまざまな試行錯誤を繰り返し、時代や状況の変化に対応するために今のスタイルに変化してきた。そのことで現在も塗装業界の一員として活動できていると考えている。
今後、国内のものづくりにおいて多様化がこのまま進んで行くと、小ロット多品種~大量生産、顧客の要望、社会の変化に合わせてさらに変化していく必要がある。そのために、最新の塗装技術や塗装機器などの情報収集において同業他社と連携や情報交換などを進めて行くことで、さらなる進化ができると考える。

㈱技研…1985 年1 月創業。シリコン加工・テフロン加工・金属およびプラスチック部品の塗装・印刷・組立その他加工全般を手掛ける。取扱品目は製菓、製パン用天板、住宅関連部品、自動車部品、弱電部品、時計部品、その他関連商品・各種部品。


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