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塗装現場からのメッセージ《第1回》メタリック塗装など、塗料選定時の心得について

本コーナーでは、豊富な経験と実績を誇る茨城県稲敷郡阿見町の塗装専業メーカー、㈱技研・代表取締役 宮本勇気(みやもと ゆうき)氏が、塗装現場におけるさまざまな課題解決のためのヒントを伝授します。

※本記事は「塗装技術」誌に掲載されたものです

ご依頼をいただく塗装色の中で、比較的多い色が「シルバー塗装」あるいはメタリックで調色を使ったいわゆる「メタリック塗装」である。ゴールドやシルバーなどのメタリック調の塗装を総称して「メタリック塗装」と呼ぶが、実際に身の回りにはメタリック塗装された製品が数多くある。

当社(㈱技研)で塗装の依頼を受けて調色する場合は、

  1. 塗料や色見本をお預かりして塗料を指定いただく

  2. デザインの段階から色や塗料選定のご相談を受ける

という2 通りの調色パターンがある。今回は、当社で色や塗料を選定する場合のチェックポイントについて簡単に紹介する。


結論からお話しすると、要望に合った色と性能と価格のバランスを取ることが大切である。

外観の選定:見た目重視かコスト重視か

メタリックを選定する場合、顔料の大きさや形状が塗料の価格と塗装後の見た目に大きく影響する。メタリックの見え方、輝度感は塗装された完製品の質感に大きく影響するので、金属に近い上質な見た目を選ぶのか、コストを重視するのかご要望に合わせて選定していく。コート数なども外観に関わってくるので、ここで確認していく。

性能:使用環境を考えて

塗装した完成がどのような状態でどのような環境で使用されるのか、また、塗膜に必要なスペックは何なのか、見た目だけではなく耐薬品性や耐候性など、ほかの性能が必要かどうかを検討する。薬品に強いコーティングアルミ顔料の使用や、トップコートの有無も塗膜性能に関わるので、慎重に選定していく。

価格:ムダな経費をかけないために

見た目や性能に特化させてしまった場合、通常よりも塗装費用が2 ~ 3 倍以上かかってしまう場合も少なくない。
当社では、予算や相場感などをうかがい、要望に合った塗料と塗装工程を選定し、提案していく。

塗料を選定する基準はメタリック塗料に限ったことではなく、上記の3 項目は塗料を選定する際に共通して必要なことと思う。現在では高輝度メタリック塗装と一言で言っても、1 コートで輝度感が得られるメタリック塗装や、鏡面のようにメッキに近い質感が得られる3 コートタイプのメタリック塗装などさまざまな塗料や塗装方法が存在する。
いかにお客様のご要望に沿った塗装をご提案できるかが、塗装の専門業者としての務めであると考える。

㈱技研…1985 年1 月創業。シリコン加工・テフロン加工・金属およびプラスチック部品の塗装・印刷・組立その他加工全般を手掛ける。
取扱品目は製菓、製パン用天板、住宅関連部品、自動車部品、弱電部品、時計部品、その他関連商品・各種部品。


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