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一般的に塗装工場や現場塗装で用いられる膜厚計について~磁気プルオフ 電磁誘導・磁気誘導 渦電流 超音波膜厚計

【塗装の森~塗装技術に関するQ&A】

塗装業界の総合技術誌『塗装技術』および『塗装技術.com』に寄せられた塗装技術に関する質問に、各分野のエキスパートがお答えします。


《Q》塗装工場勤務の方より

一般的に塗装工場や現場塗装で用いられる膜厚計にはどのようなものがあるのですか?

塗装の森No.D09-001

《A》コーテック㈱ 品質サポート部

膜厚計は、
① 破壊式
② 非破壊式
に大別され、さらに
① 乾燥硬化前に測定するもの
② 乾燥・硬化後に測定するもの
に別けられます。
ここでは、乾燥後に塗装工場や現場塗装において汎用的に用いられる非破壊式を中心に説明しましょう。
代表的なものを分類すると一般的には以下の4種類となります。

1. 磁気プルオフ膜厚計 (永久磁石プルオフ膜厚計)

JIS K5600-1-7:2014 (ISO 2808) の「5.5.5 測定法7A 磁気プルオフ膜厚計」に示されています。測定対象は、素地は鉄や鋼の磁性金属で、その上の塗膜・皮膜が非磁性膜の場合です。
期待できる精度は『磁気誘導式』に大きく劣るものの、電池・電源は不要で、小さな対象物でも適用できます。

磁気プルオフ膜厚計(例)/JISに示された方法1
磁気プルオフ膜厚計(例)/JISに示された方法2

2. 磁気誘導膜厚計

JIS K5600-1-7:2014 (ISO 2808) の「5.5.6 測定法7C 磁気誘導膜厚計」に示されています。測定対象は、素地は鉄や鋼の磁性金属で、その上の塗膜・皮膜が非磁性膜の場合です。
現在の2014版の1つ前の JIS K5600-1-7:1999では、「磁気または電磁誘導(感応)原理」として示されていた膜厚計の進化版となります。最大の違いはプローブ先端の耐摩耗性が格段に向上し、高い精度が安定して得られるようになったことです。

磁気誘導式膜厚計(例)

3. 渦電流式膜厚計

JIS K5600-1-7:2014 (ISO 2808) の「5.5.7 測定法7D 渦電流膜厚計」に示されています。測定対象は、素地はアルミやステンレスなどの非磁性金属で、その上の塗膜・皮膜が電気を通さない非導電性膜の場合です。

渦電流式膜厚計(例)

4. 超音波膜厚計

JIS K5600-1-7:2014 (ISO 2808) の「5.7.4 測定法10 超音波膜厚計」に示されています。測定対象は、一般的には素地はプラスチック、 コンクリート、 木材、ガラスなどの金属以外で、その上の塗膜・皮膜が樹脂などの金属以外の場合です。

渦電流式膜厚計(例)

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