塗装現場からのメッセージ《第11回》抗菌・抗ウイルス塗装ほか お客様のための情報収集
お客様へ最適な提案をするために必要な事項の1 つが、最新の塗装に関する専門知識である。新しい樹脂や塗料、塗装機や塗装方法は日々開発が進んでいる。
当社(㈱技研)では、日々の業務から得られる経験や知識はもちろん、展示会等での情報収集、塗料メーカー・販売店との連携や自社のアイデアや疑問など、さまざまな方法を駆使して塗装に関する情報収集することに注力している。
そこで今回は、最近気になっている塗料・塗装、システム、そして情報収集における考え方を紹介する。
抗菌・抗ウイルス塗装〈SIAA 認証済み〉
何かと問い合わせの多いのが抗菌塗装である。塗膜表面に付着した菌やウイルスの増殖を抑える効果があり、医療器や日用品、公共施設向けの設備、幼児向け玩具など、幅広い分野で使用されている。
抗菌塗装自体は珍しいものではないが、抗菌+抗ウイルス塗料としてのSIAA( 抗菌製品技術協議会)認証済みが強みとなっている。SIAA 認証済みの塗装製品にはSIAA のマークを貼り付けることができることから、購入された一般のお客様は安心感が得られる。
なお、SIAA マークを貼るにはSIAA会員になっている必要がある。
エラストマー( ゴム等)や軟質素材への塗装
こちらも近年、当社への問い合わせの多かった案件の1 つである。スチレンゴムや天然ゴム、その他のゴムなどのエラストマー( 弾性を持った高分子の総称)へ、1 コートで付着させることができる。調色も可能で外観性も良く耐薬品性などにも優れており、一般的なウレタン塗装と同等の塗膜性能が得られる。
さらなる特徴としては、ゴム系以外のプラスチック素材や、SUS・アルミなどの金属素材への付着性も良好なところ。金属部品と樹脂部品やゴムなどが組み合わさった製品に対して、同じ塗料が使えるのは非常に魅力的である。
ニーズが高まる塗装ロボット
最先端のロボットの技術では、ロボットメーカーとオンラインでやり取りを行うことで、ロボットのティーチングや故障の診断、事前の点検が可能になる。最新技術では、特殊ノズルに変更することでマスキングレスでの塗装を行うことも可能である。ロボットは今後さらに使いやすくなり、一般的に広まることが予想される。当社でも塗装ロボットを使用している。
塗装ロボットや自動機は、品質の安定化と生産性の向上の観点から、今後の生産において不可欠と考える。積極的に進めていきたい事項である。
適した情報収集を基に市場ニーズをつかんで提供する
塗装技術における最新の情報は、今やインターネットで探せばすぐに見つけることができる。
また製品開発者は、日々の営業や展示会・見本市への出展の際に顧客の声を直接聞くことで、市場ニーズや新しい塗装技術に関する課題が発見できる。
それら多数の情報から必要なものを集め、見極め、顧客に提供することができれば、自社の強み、他社との差別化、さらには塗装技術の未来を作っていくという好循環を生み出すと考える。