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【MtG/EDH】カジュアル卓向け≪茨の吟遊詩人、ベロ≫ #きみたり鯖年末特番

この記事は何?

 本記事はマジック:ザ・ギャザリングの統率者戦における、≪茨の吟遊詩人、ベロ≫(以下ベロちゃん)デッキの構築語り記事です。
 まだまだ改良の余地があるリストであることをご容赦ください。後述しますが、デッキレベルは4~5程度を想定しています。


どうしてこの記事を書いたの?

 ふだんEDHを遊んでいる「異常EDH集団」こときみたり鯖(鯖主:@kimiterary)にて、獅子吼れお先生(@44900_lion)にお声がけいただいて筆を執る運びとなりました。ほかにも何人かEDHデッキ解説記事を書いているのでそちらもよければどうぞ(記事一覧)。
 なお、主催の獅子吼先生の著書『Q eND A』はメチャメチャおもろかったので、未読の方いらっしゃったらこちらもぜひ。

ベロちゃんて誰?

ベロの「ベ」がひらがなになっているらしい(wiki調べ)

 ブルームバロウ次元出身のラクーンフォーク。ガラクタを拾ってきては生命を吹き込み、共に詩を吟じているアライグマ。粗大ごみがお気に入りの模様。
 統率者としては「ベロちゃん学会」なるものが設立されるくらい人気があるようです。なお、けっこうガチ寄りの集まりだと小耳したので、本構築にあたってはあまり知見をお借りしていません。
 能力については次項で。

何故ベロちゃんなの?

散らかした重量級の置物でアドを取りたい!

 クソ重たいエンチャント(特に赤の)ってとっても良いものだと思いますよね。
 たとえば≪鏡の行進≫。コイン投げに勝った回数だけクリーチャーのコピーが生成されます。出してしまえば一撃必殺も不可能ではありません。理屈の上では。
 たとえば≪焦熱の解放≫。自分が与えるダメージを3倍にしてくれます。3倍パワーで殴られて無事でいられるものはそうないでしょう。
 こういったクソ重エンチャントには共通した弱点があります。それは、「場に出たターンになんにもしない」こと。≪鏡の行進≫であれば、後続のクリーチャーがいなければ何も起きないし、≪焦熱の解放≫であればダメージソースが存在しなければおなじく何も起きません。
 そこでベロちゃんです。
 彼はマナ総量4以上のエンチャント、アーティファクトをクリーチャーにしてくれます(オーラ、装備品を除く)。これによりクソ重置物をそのまま打点に変えることができるのです。
 さらに、クリーチャー化に際して「速攻・破壊不能」と「プレイヤーに戦闘ダメージを与えるたび1ドロー」の能力を追加で付与してくれます。つまり、クソ重置物が「元々のわけわからん能力」を持ったまま、「即効性・確実性に長けたアドバンテージ源」になってしまうのです。夢か?

カジュアルに遊びたい!

 こんな夢のような体験をさせてくれるベロちゃんですが、明確な弱点があります。
 まず、クリーチャー化の能力が自分のターンのみであること。自ターン中は屈強な4/4破壊不能軍団を侍らしていたのにターンを渡したら立ってるのはベロちゃんだけ、ということがままあります。
 もうひとつは、ベロちゃんが除去を受けてしまうとクソ重置物がただのクソ重置物に戻ってしまうこと。4/4破壊不能軍団で攻撃を宣言した直後にベロちゃんが退場すると、クリーチャーではなくなったクソ重置物がすごすごと戦闘から退いてなんにも起きません。
 これだけしっかり弱点があるわけですが、よりカジュアルな(よりparty帯に寄った)ゲームがしたいという場合、利点になったりもします。
 つまり、弱点がわかりやすく、かつ弱点を抑えれば対処が難しくないので、比較的一方的な試合にはなりにくいという点です。よくわからんエンチャント置いてゲラゲラ笑ったあと、防御が間に合わなくて早めに脱落するくらいを理想のバランスとして調整しています。まぁふつうに殴り勝っちゃうこともあるんですけど。

どんなカードを使うの?

※ベロちゃんのクリーチャー化能力の対象になるものには★をつけています。

クリーチャー

≪エルフの神秘家≫≪睡蓮のコブラ≫≪桜族の長老≫≪痕跡追いの斥候≫
 マナを確保してくれる人たち。ベロちゃんは除去の標的になりやすいので、マナ確保には重点を置いている。
 ≪痕跡追いの斥候≫はアライグマなので地味なシナジーあり(後述)。

≪万神殿の伝令≫
 
エンチャント呪文のコストが1軽くなり、エンチャント呪文を唱えるたび1点のライフをくれるケンタウルス。展開のサポートだけでなく、防御がからきしのベロちゃんデッキにライフゲインをもたらしてくれるニクいやつ。

≪調和の織り手≫
 
エンチャント・クリーチャーに+1/+1修正をくれるロード。アーティファクト・クリーチャーには適用されないことを注意したい。混在しがちなので。
 緑1とタップでエンチャントからの誘発・起動能力をコピーする能力も持っている。単純にクリーチャー化した置物のドロー能力をコピーしてもいいし、置物固有の能力をコピーしてもいい。

≪屑鉄撃ち≫
 
カードを1枚贈呈していると≪再利用の賢者≫になる3マナ4/4到達。許せない置物はたまにあるので(≪オーラの破片≫とか)、いざというときにあると安心。空中ががら空きになりがちなので到達もえらい。
 アライグマなので地味なシナジーあり(後述)。

≪ゴミの策略家、ムエラ≫
 
マナ加速、ライフゲイン、カードアドバンテージ加速をこなせる器用なアライグマ。
①アライグマの数だけ緑か赤マナを加える。アライグマシナジー。
②積算4達成のたびに3点ライフゲイン。クソ重置物にライフゲインがついてくるぜ!
③積算8達成のたび2枚衝動ドロー。あんまり達成できないが、「次のターン終了時」までなのは地味えらポイント。

≪カル・シスマの恐怖、殺し爪≫
 
攻撃誘発でパワー4以上のクリーチャーにトランプル付与。ドロー能力の都合上ダメージを通したいのでトランプルは大事。
 パワー4以上のクリーチャー呪文が2軽くなる能力もあるが、ほぼインクのしみ。

≪開化の幻霊≫
 
これやほかのエンチャントが出るたび1ドロー。これ自身が4マナ以上のエンチャントなので、そのまま殴って通ればさらに1ドロー。

≪全てを喰らうグロサーマ≫
 WotCが破壊不能置物を突っ込んで殺させる為に仕込んだデカイいもむし。能力の説明がめんどうくさい。
①これでないすべてのクリーチャーに「攻撃するたびグロサーマと格闘してもよい」という能力を付与する。
②これが戦場を離れたとき、そのターンにグロサーマにダメージを与えた発生源のコントローラは、そのダメージ点数に等しい数のカードを引く。
 なので、破壊不能置物軍団が場にいる状態でグロサーマを着地させ、そのまま破壊不能置物軍団で攻撃、グロサーマと格闘をすることを選択すると、破壊不能置物軍団がグロサーマをタコ殴りにして8枚とかのドローが発生する。ベロちゃんの統率者デッキに最初から入っている。

≪ボイラービルジの大主≫
 タイタン誘発で4点を飛ばすエンチャント・クリーチャー。すぐにはクリーチャーにならないのが兆候コストだが、ベロちゃんがいれば兆候が走って殴ってくるので計8点飛んだりする。
(2025/01/07 追記)
 ベロちゃん効果下で兆候キャストした場合、兆候の「クリーチャーではない効果が最終的に適用されるため、即座にクリーチャーとして扱うことはできないというご指摘をいただきましたため訂正いたします。ルール解説はコメントにいただいていますのでそちらをご参照ください。ご指摘ありがとうございました。
 兆候コストで唱えたものをインチキするためには、兆候キャスト→ベロちゃんキャストの順にならないといけないっぽいです。

ソーサリー

≪不屈の自然≫≪遥か見≫≪探検≫≪耕作≫
 
マナ加速大事。ベロちゃんより優先してプレイしたい。

≪根絶やし根≫
 
表面はプレインズウォーカーに飛ぶ一方格闘、裏面はタップインの赤緑土地。ビッグアクションが多いので半端にマナがあまることが多く、タップイン処理はそんなに困らない。

≪冒涜の行動≫
 
とりあえず積んでしまう全体除去。破壊不能置物軍団は残るが、ベロちゃんはこんがり。≪アクローマの碑≫があるとベロちゃんも守れたりするが、高くて買っていない。

インスタント

≪削剥≫≪内にいる獣≫≪混沌のねじれ≫
 
定番ピン除去。つい構えたくなる性分のため、統率者デッキに入っていたものをそのまま採用。≪内にいる獣≫は自分の破壊不能置物軍団に撃って頭数を増やすことがある……かもしれない。

アーティファクト

≪太陽の指輪≫≪精神石≫≪思考の器≫≪友なる石≫≪秘儀の印鑑≫
≪衝動のタリスマン≫≪グルールの印鑑≫
 
マナ加速は大事……とはいえちょっと積みすぎ感がある。面白エンチャントが見つかり次第の入れ替わり候補。

≪スランの発電機≫≪面晶体の記録庫≫≪金粉の睡蓮≫
 
こっちのマナ加速は殴打可能。

≪真面目な身代わり≫
 ベロちゃんが繰り出すソーレンは最強であることはあまりにも有名。

≪エシカの戦車≫
 
ねこ戦車。出たときに2/2のねこを生成し、殴るたびにトークンのコピーを生成する。
 ねこ増やしてもいいし宝物増やしてもいい。≪鏡の行進≫産トークン増やすとか≪溶鉄の残響≫産トークン増やすとか考え始めるとワクワクが止まらなくなってくる(しそんなに上手くはいかない)。

≪ネビニラルの円盤≫
 
置き全除去。1マナタップですべてのアーティファクト、クリーチャー、エンチャントを破壊するが、タップイン。
 防御が薄い関係上、「こっちに殴ってくるなら爆破するぞ」という脅しに使うことが多かった。結果自ターン(ベロちゃんが置物に破壊不能つけてくれている間)に起動されるのを嫌ってこっちに殴ってくることも多かった。

≪密輸人のバギー≫
 
ベロちゃんのオリカ。秘匿4を持ち、プレイヤーに戦闘ダメージを与えると隠したカードをタダで使うことができる機体。ここまではわかるが、秘匿キャスト後になぜかバギーは手札に戻る。

≪廃物製の喧嘩屋≫
 
6マナ4/4飛行警戒トランプル絆魂。数少ない防御手段。飛行警戒がえらい。
 5マナと墓地から追放することで、クリーチャー1体に上記のキーワード能力カウンターと+1/+1カウンター4つを置けるが、起動したことはない。

≪三重の稲妻巨人≫
 ベロちゃんのオリカ。+1/+1カウンター3つを携えて出てきて、タイタン誘発でパワー分1/1のノーム・アーティファクト・クリーチャー・トークンが出てくる。つまり出して殴れば1/1が14体出てくる。7マナ払って出してるんだし妥当だよね。

≪転がるハムス球≫
 
ローリングハムスフィア。ハムスターの数だけ+1/+1修正を受ける、4/4の機体。攻撃するたび1/1のハムスター・トークンを3体生成し、どこかにハムスターの総量に等しい点数のハムスタービームを撃つ。ハムスタービームって何?
 なにかの間違いでこれのコピーを生成すると、1体目の攻撃でハムが3匹3点ダメージ、2体目の攻撃でハムが6匹6点ダメージ……というねずみ算が発生する。

エンチャント

≪ガラクの蜂起≫
 
トランプル付与エンチャント。これ自体は3マナなのでクリーチャー化対象外だが、出たときにパワー4以上がいれば1ドローできたり、パワー4以上が出ると1ドローできたりえらいことばかり。

≪領界路への旅≫★
 
出たとき名前の異なる土地5枚を追放し、自分の終了ステップ開始時に1枚ずつランダムでタップインするエンチャント。土地はあればあるだけいいですからね。サーチして嬉しい土地を見つけたいところである。

≪発見の道≫★
 
クリーチャーが出るたび探検させてくれるエンチャント。土地はあればあるだけ以下略。ベロちゃんがいればこのエンチャント自体も探検する。

≪密室の温室の事件≫★
 
追加セットランド権をくれるエンチャント・事件。7つ以上土地をコントロールしていると解明完了し、土地・クリーチャー・エンチャント限定の未来予知になる。土地があればあるだけある意味がここに。

≪自然の意思≫★
 
コントロールしているクリーチャーがプレイヤー1人に戦闘ダメージを通すたび、自分の土地をすべてアンタップ、そのプレイヤーの土地をすべてタップするエンチャント。ダメージを与えられたプレイヤーが複数いればその分だけ誘発するので解決ごとにマナを出しておく小テクがあるが、インスタントタイミングの動きがあまりないので強く使えない。

≪不自然な成長≫★
 
各戦闘の開始時に自分のクリーチャーのパワー・タフネスを倍。ヤッター! 各戦闘の開始時なので、対戦相手の戦闘に6/6と化したベロちゃんが立ちはだかることがある。

≪創案の火≫★
 
スタンダード禁止カード。呪文のプレイがソーサリータイミングのみ・各ターン2回のみという制約がつく代わりに、土地の枚数以下のマナ総量を持つ呪文を踏み倒して唱えることができるようになるエンチャント。使うたび禁止に納得してしまう。≪ラヴィニア≫は勘弁してください。

≪上天の閃光≫★
 クリーチャーが出るたびそれに2点与えるエンチャント。横並び展開を猛烈に咎めるが、自分のハムスターが全部焼けたりもするのでトントンということにしてほしい(たぶんならない)。パーティ感はある。パーティないって怒られました。

≪精神異常≫★
 
Creatures cannot block. 対戦相手がクリーチャー並べて固まってる盤面で出すと突然殴り殺せたりする。その逆も然り。

≪溶鉄の残響≫★
 
ベロちゃんのオリカ。出るに際してクリーチャータイプを指定し、選ばれたタイプのクリーチャーが出るたびそれのトークンを生成する。ベロちゃんのクリーチャー化能力は「エレメンタル」としてクリーチャーになるため、クソ重置物のコピートークンを生成することができる。1ターン倍。ヤッター!

≪給付金≫★
 
出たときに宝物を2つ生成し、宝物を生贄に捧げることで1/1の人間トークンを生成することができるエンチャント。マナ加速だけでなくいざというときはチャンプブロッカーまで用意できるいぶし銀カード。≪溶鉄の残響≫≪鏡の行進≫なんかで増やすことができるとハッピー。

≪理由なき暴力≫★
 
自分が発生源のダメージ倍。ヤッター!

≪狂戦士たちの猛攻≫★
 
自分の攻撃クリーチャーに二段攻撃付与。つまり倍。ヤッター!

≪降り注ぐ富≫★
 
出たとき宝物を2個生成、宝物のマナをつかって唱えた1つめの呪文が続唱を持つエンチャント。自己完結しているのが嬉しい。コピー生成エンチャントで増やしたい。

≪吹き荒れる潜在能力≫★
 
プレイヤーが手札から呪文を唱えるとそれを追放し、それと共通のタイプを持つカードがめくれるまでライブラリートップを追放、めくれたカードを唱えてよいというエンチャント。唱えた呪文が同じタイプを持つ別の呪文に入れ替わる。みんなでやるパチンコがいっちゃん楽しい。
 パーティカードと思われがちだが、実は盤面ロックのカードとして機能する。手札の除去が別のカードに変わるため、防御手段として有用だったりする。自分はクソ重置物がクソ重置物に変わるだけだしね。
 ただし手札以外の領域から唱えるものには反応しないので案外すり抜けていくこともある。

≪戦嵐のうねり≫★
 クリーチャーが場に出るたびそのパワーに等しい点数のダメージをどこかに飛ばす。ベロちゃんがいればこれが出たときにとりあえず4点。えらい。1回グロサーマで10点ビームを飛ばしてみたい。

≪焦熱の解放≫★
 
自分が発生源のダメージ3倍。ヤッター!

≪鏡の行進≫★
 
クリーチャーが場に出るたびに負けるまでコインを投げ、勝った回数分のコピートークンを生成するエンチャント。ベロちゃんがいればこれが出てコイン投げが始まる。理論上1ショットキルも可能! ……20面ダイスの偶数奇数でカウントしたらなぜか10連続以上勝ち続けてしまい、実際に1人ワンショットキルをしてしまったことがある。その節はほんとうにすみませんでした。

≪危険な移動≫★
 
ベロちゃんのオリカ。各プレイヤーのアップキープ時にそのプレイヤーはこのエンチャントのコントロールを得る。コントロールを得たプレイヤーは自身がコントロールするクリーチャーと対戦相手ひとりを選んだあとコイン投げをし、負けたらその対戦相手はそのクリーチャーのコントロールを得る。
 各ターン、プレイヤーに負けたらクリーチャーを失うコイン投げを強制するエンチャントなのだが、ベロちゃんがいると挙動がちょっと変わる。負けたら失うクリーチャーとしてこのエンチャント自体を選択できるため、むしろ負けたいコイン投げが発生する。負けてこのエンチャントがどこかに移動すると移動先でまたコイン投げが発生するのである。ちなみに移動したクリーチャーのコントロールは(危険な移動とかしない限り)返ってこない。

展望は?

 あんまりないんだけれど、新しいセットごとによくわからんクソ重レアエンチャントが追加されがちなので、カスレアになりがちなそういったそういったカードを楽しみにできるのもこのデッキのいいところのひとつだと思います。
 皆さまもベロちゃんでよきクソ重ライフを送ってみるのはいかがでしょうか。ここまでお付き合いいただきありがとうございました。


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