観劇、備忘録。(球体の球体)

昨日、成長を楽しみにしている若手俳優さんの初主演舞台を見に行ってきました。東京のみの公演だったので一回だけの観劇だったのですが(地方なもので・・・)、記録がてらちょっと感じた事を書き記しておこうかな、と思います。

概要
作品名「球体の球体」、脚本、演出、美術 池田亮 
出演 新原泰佑、小栗基裕、前原瑞樹、相島一之(敬称略)

新原さんの出演舞台では「インヘリタンス」に続いて重いテーマ。
一回の観劇でかみ砕くのは私には困難であり、受取り方も決まっていない作品なので、断片的に感じた事のみ。

舞台上の真ん中に現代アーティストである本島幸司(新原さん)の作品
「sphere of sphere」が設置されています。観客は入場する時に舞台上を通り、作品を鑑賞してから客席に着きます。私たちは央楼美術館に訪れたお客です。「sphere of sphere」はガチャガチャマシーンが天井まで積み重なったアート作品。一個一個のガチャガチャには、精子と卵子のナンバーが入っており、まさに生命そのもの。

新原さんは、舞台上の置かれた赤いベルトのパーテーションを使って色々な動きを見せ、ダンスをします。その動きは現代アーティストである本島が表現せずにはいられない人だと言う説得力。
赤いベルトは人と人を繋ぐ臍帯(へその緒)のようであり、人と人を引き離す境界のようでもある。キュレーター役の前原さんが銃のように使った時は、赤い血のようにもなった。
新原さんと前原さんのかけあいが面白くて、ついつい笑ってしまう。

小栗基裕さんは央楼国の大統領、日野グレイニ。フォートナイトというゲームで繋がって本島を央楼国に招待した。
私は登場人物の中では彼の事が一番心に残った。登場は威厳があってカッコよくてまさに大統領と言う感じ。でも、この大統領「決められない人」なんです。遺伝子的に大統領でいる事を定められている人。そして、その役割から逃げ出したい人。セリフを指示する装着している機械の電源が落ちた時の本来の日野グレイニのオタオタした感じがとってもコミカルでチャーミング。だけど哀しくて。
パンフにも大統領(影武者?)とあるけど、ホンモノであってもニセモノのようなもので、どっちでも良いようなものなんだろう。
本島に大統領を渡して、一瞬自由になって、そして撃たれて死んだ。
ずっとフォートナイトをしていたい、て言って。

相島さんは、さすがの存在感。未来の本島である相島さんは、芸術として作った「sphere of sphere」を生命を生み出すシステムにした。そしてそれは宿命になった。
未来の本島は私にはもう表現者には見えなかった。

新原さんが、最後の挨拶で言っていた作品を受けた時台本が決まってなかったという事が受け取り方が決まっていない、この作品らしいなと思いました。池田さんの頭の中のカプセルがぱかっと開いて、4人の全く別々の個性を持った役者さん達の生命力と混じりあって、物語の終わりと共にぱちっと閉じた感じで、うまく言葉で言えませんが、受け取った人の中でずっと続いていくように思います。
ただ動いていれば良い、もしくは動かなくても良い。本島の遺伝子を受け継いだクニヤスが言っていたセリフ。
普通の言葉なんだけど、印象に残っています。
最後の新原さんのダンスは生命の熱を感じました。彼の舞台はいつもそう。板の上で輝く、役者さんです。
また、どんな舞台に出てくれるのかとても楽しみです。




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