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とある土曜の夜


#怖い話

私と娘は人ならざるものが見えるらしい?です。
外を歩いているときを始め、夢の中での出来事、これから起きる事など・・・。
勿論毎回ではないが不可思議な現象が起きるのです。
これも何気なく娘のランニングに付き合っていたある夜に起きた出来事の一つです。
とある土曜の夜。いつものように娘とランニングに行きました。
その日は月が出ておらず、体にまとわりつくような蒸し暑さで、やけに息苦しく人気のない夜でした。

ランニングの途中、複数件並んでいる家の前で「迎え火?」でしょうか。
玄関前で火を焚いている人がいました。
距離は少し離れており、辺りも人の姿をはっきり認識できるかできないかの暗闇でしたが、遠めからそれと解る位炎が神々しく映し出されていました。

お盆にはまだ数日早い時期でありましたが、何やら寒気を感じ、咄嗟にその場を立ち去りました。

道すがら、そういえば今日は朝からニュースで「原爆が落とされた日」の特集が放送されていたことを思い出し、娘と話しをしながら折り返し地点でUターン。
来た道と同じ道を戻り始めましたが、先ほど「迎え火?」をしていたことを思い出し、いつものコースから外れた道を走ることになりました。

あまり馴染みのない道を左に曲がると道路沿いに2軒、会社と思われる小さな建物がありました。そこは会社毎にブロック塀が立っており、何の変哲もないよくある建物のようでした。
その塀と塀の間隔が10数センチあるかないかの幅の間に金髪か銀髪かよく判らなかったのですが、若い男性がタバコを吸いながら膝を抱えるようにして座っていました。
一般的にタバコの火はオレンジと言う認識でしたが、その時に見たタバコの火は何故か青白くはっきりと目に留まる明るさだったのです!!!
頭に疑問符「?」が浮かび私が通過した瞬間、その男性がこちらを向き目があったのですが、その瞳は無機質な「色の無い」瞳でした。
瞬間、見てはいけないものを見てしまったような気がして途端に背筋が寒くなり、一気に自転車で通り過ぎたつもりが、何故かスローモーションのように中々前に進めません。
娘に声を掛けようとしましたが、何故か声も出ませんでした。
ー今思い返せば一瞬の出来事であった筈なのに、とても長い時間のように感じたことを覚えています。
その時は男性が人間(ヒト)であることに疑いはせず、ただただ、タバコの火が青いことに疑問を感じていました・・・が暫く時間が経った後でふと冷静になった瞬間、私はある事実に気付いてしまったのです。

『あのブロック塀の隙間はどう考えても人間が入れる大きさではなかった』ことに・・・。

そんな事を考えている中で娘のとどめの一言。
『お母さん、何やらきな臭い匂いがしない?』『火事場の様な匂いがする・・・。』と。

「えっ!?」私には全く何も臭いません。
辺りを見渡しても誰も居ないし、周囲は静かでただ外灯の明かりが照らされているだけ。
「さっき会社の塀の間で男性がタバコを吸っていたからその臭いではないの?」
「男性?お母さん何言っているの?誰も居なかったよ。」
「お母さんこそ大丈夫?こんなに臭うのに気付かないのはおかしいよ。」

いやまさかまた人間(ヒト)ではなかった!?
でも目が合ったし、普通に座っていたしタバコも吸っていたし・・・。
私は半ば混乱し、娘に何度も聞き返しましたが、戻ってくる言葉が変わることはありませんでした。
途端に先程の寒気が襲いかかり、何だか『ここ』に居てはいけないような気がして猛ダッシュで走り抜けました。

帰路に着き直ぐさまネットで「青い炎」について調べた結果・・・

「完全燃焼の火」「墓場や湿地で自然に発生する青い火(の玉)。
おにび。きつねび等」     

との記載がありました。「今日は原爆が落とされた日・・・」
つまりはそういう事だったのでしょうか・・・。

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