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【恋愛小説】すれ違ってしまった恋 9話

別れてから何年も経って大切だと気が付いた…
それでも、いつか戻れると思っていた…
でも現実は厳しく、すれ違ってばかり…

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9話 50歳~58歳


50歳

剣の誕生日にメールを送ったら、剣から飲みに行こうと誘われた。

剣は、いつも気まぐれだ…

でも会えるのは嬉しい。

いつものように近況を話す。

楓は、国家資格を取るための勉強を頑張っていた…

創とも、喧嘩をしながらでも安定していた。

剣は、娘が東京に就職したと嬉しそうに話した。

そして…元奥さんともよく会っていると…

剣に「再婚すればいいのに…」と言ってみた。

でも剣は「別れて長いし…向こうもそんな気はないんじゃないかな」と言った。

楓が「元奥さん、彼氏とかいるのかな?」と聞くと

剣は「いないと思うよ」とすぐ答えた。

「なら、再婚すればいいのに…」

「こればかりは…そう簡単じゃないんだよ」と剣は言った


ヤキモチではなく…剣には幸せになって貰いたい…そう思った。


53歳

剣に、誕生日メールを送ったら飲みに行こうと言ってくれたけど…

楓は国家資格の勉強があるから、それが終わってからにしようと剣に言った。

すると、応援メールをくれた。

試験が終わった翌月…剣と飲みに行った。

楓は、これから夜勤のある仕事をする。

剣は「楓はえらい。頑張るねー」と言ってくれた。

そして「楓が、幸せそうで良かった…俺が諦めた甲斐があったわ」と言った。


剣にも、幸せになって貰いたいと思ったけど…

人にとって幸せは何通りもあるから、何が幸せかは分からないよね…


3月

剣に試験に合格したことをメールで伝えると

―――おめでとう!よく頑張ったね。ホント尊敬するよ!これからも大変な事も多いだろうけど身体に気を付けてね。

と返事が来た…

すごく嬉しかった…


54歳

楓は創と一緒にソファーを見に、海沿いの雑貨屋さんに行った。

創が駐車場に車を停めてると…

向こうから、見たような人が…剣だった…

でも剣は一人ではなかった。

元奥さんと娘さんと歩いていた。

楓は、顔を合わせるのが嫌だったから剣が行った方向とは違う雑貨屋さんに行った。

その後も、会ったらどうしようかと…ソワソワしたけど、それっきり会わなかった…


私…なんで逃げたんだろう?

創といるところを見られたくなかったのか…

剣の家族を見たくなかったのか…なぜだか分からなかった。


今年も、誕生日メールを送りあったけど…

飲みに行こうという言葉は交わすものの実現は出来なかった…


57歳

楓はいつものように剣に誕生日メールを送った。

そしたら、剣が飲みに行こうと誘ってくれたけど…

翌月は予定が入っている日が多かったし…

なんとなく出かけるのが億劫だったから

剣には行ける日が分かったらメールすると答えた。

そしたらその後、本当に珍しく剣が

ーーー今週どう? とメールして来た。

楓は、友達との予定が入っていたから

ーーー今週ダメなんだ と断った。

剣に

ーーー来月なら行けるから剣の都合の良い日を教えて

とメールしたら

ーーー分かった と返事が来た。


でも、それっきり剣からのメールは来なかった…


58歳

楓は誕生日を迎えた。

でも、剣からの誕生日メールは来なかった…

これまでもう何年も剣は誕生日メールを送ってくれていたのに…

どうしたんだろう?

忘れていたのかな?

遅れてでも…メールくれてもいいのに…


11月…剣に誕生日メールを送ったけど…

返事は来なかった…

というか既読にもならなかった…


どうしたんだろう…

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