汚部屋歴21年 私の片づけ奮闘記

「ありがとうございます!玄関に置いといてください!」
これが私の常套句だった。
何を隠そう私は、汚部屋の住人だったのである。
配達員に玄関など見せられるわけがない。

汚部屋とともに過ごした学生時代

実家暮らしのころから自分の部屋は汚かった。
モノがあふれた部屋が日常となっていた。
学校からもらったプリントは地層を作り、モノの山をよけながら歩くため体幹がとても鍛えられた。
一度だけ中学生のころに断捨離を試みた。
明らかにサイズアウトしている子供服をすべてゴミ袋に入れた。20袋分くらいあった。
すると母に見つかり大喧嘩になった。
「売りに行くのに!もったいない!」というのが母の主張だった。
在庫把握できずに似たようなもの買うほうがもったいなくね?と中学生ながらに思ったが、それ以来物を捨てようとすることはやめた。

待ちに待った一人暮らし

前述したように、私は物が捨てられないタイプでもない。
しかし私は一人暮らしを始めて約三年間、汚部屋に住むことになるのだ。

服がない!!

大学入学して最初に直面した問題である。
実家から適当に持ってきた服はあるが、どうも今の趣味に合わない。
そこで私は激安通販サイトで服を買い込んだ。
とりあえず着ない服は紙袋に詰め込み、タンスの前に置いた。
察しのいい方ならお分かりになるだろう、私はタンスを使わなくなった。
これが汚部屋への引き金である。

大荒れの一人暮らし

タンスを使わなくなってから

タンスを使わなくなってから生活の崩壊までは早かった。
洗濯物床に直置き、服の山から探すスタイル。
そうすると今度は服の山をどけるのがめんどくさくて掃除機をかけなくなる。
とにかく生活への気力がなくなった。

汚部屋な私のドン引きライフスタイル

すべてに気力がなくなった私は、衛生的に汚い部屋で生活することになる。
当時私はバーでのアルバイトをしており、深夜1時ごろに帰宅することが多かった。酔っている状態で自炊などできるはずがない。
食事はほぼコンビニ弁当で、食べたらその辺にゴミを放置。部屋の一角を勝手にゴミ置きスペースと定義していた。もちろんゴミ袋など置いていない。
そんな時間に帰っていたら朝8時半のゴミ出しに起きられない。
1か月に一度ほど、これ以上はやばいと判断した時に30L3袋分くらいのごみを一気に出していた。
ペットボトルは基本放置。人が来る時だけ未分別のまま袋にひとまとめにし、クローゼットに詰め込んでいた。
風呂場は排水溝の掃除をしなさ過ぎて水はけ最悪。半分プールになりながらシャワーを浴びていた。床も汚れがすごくて、バスマットからはみ出たら死ぬと思いながら必死に足が触れないようにした。
机の上にはレジュメの地層。ある意味見慣れた光景である。
キッチンは3か月以上前に使ったタコ焼き機が放置。シンク下収納、冷蔵庫は魔境だった。

汚部屋卒業の転機1

そんなこんなで荒れた生活を送っていた私は、あることに気づく。
「洋服、いつか売るつもりで1年以上放置してない…?」
中学の時に母親とした喧嘩を思い出した。私は今、母親と同じことをやってないか…?
それに気づいたのが、汚部屋卒業の第一のきっかけだった。

いざ、断捨離!

「お礼するからさ、セカスト連れてって」
先送り癖のひどい私は、先に期日を設定することで断捨離を進めようとした。到底自転車で持っていける量ではないので、車持ちの友達に協力をお願いした。快諾してくれた友達には感謝している。
タンスの中身を全部出し、いるかいらないか分けていく。この作業は案外苦痛ではなかった。
分別が終わったら売る洋服を紙袋に入れ、残す服をタンスに丁寧に入れていく。タンスの前に空間ができ、全部の段を使えるようになった。


汚部屋卒業の転機2

洋服断捨離の後も汚部屋は健在だった。
そんな私に第二の転機が訪れる。
恋人が5日ほど滞在することが急に決まったのだ。

大急ぎの片づけ

とりあえずゴミを全部出さねば…
私は放置していたペットボトルの分別に手を付けた。
いたるところから出てくるStill Water。2度と貯めないことを誓った。ちなみに3桁本あった。
トイレと風呂も最低限掃除した。
来る日の前日が飲み会とレポート締め切りが重なっていたため、酔っぱらいながらレポートを書いて掃除するというめちゃくちゃなことをやった。
掃除機のお手入れもこの時初めてした。分解するとラプンツェルのごとく髪の毛が出てきて驚いた。

恋人の一言

何とか人が生活できる状況にして、恋人を迎え入れた。
真っ先にシャワーを浴びたいとのことだったので、お風呂を貸した。
「なにこれ!?プール!?」
本当にごめんなさい。
「お風呂って経年劣化?」
私の怠惰です。本当にごめんなさい。
心の底から申し訳なかった。

恋人の行動

恋人は料理が好きで、「家に行ったら料理作るよ。何食べたい?」と前から言ってくれていた。
それにもかかわらず私はキッチンを魔境のまま放置していた。
「あーあかんあかん!片づけていい?」
お願いします。ごめんなさい。
あっという間にキッチンは片付き、さらに私がバイトに行っている間に調理器具や収納器具まで買い足されていた。
私はこの時賞味期限という概念を知った。
「君って…胃腸強いんだね(笑)」

キッチン整頓後

キッチン整頓後に私は急激に申し訳なくなってきた。
恋人に片付けさせるなんてなんてダメな人間なんだ…
申し訳なく思った私は突如、お風呂の掃除を思い立った。
寝ている恋人を尻目に、日生学園のように風呂場の床と排水溝をこすった。さすがにブラシは使った。
私の掃除欲、片づけ欲に火が付いたのである。

本格的に断捨離

教科書、レジュメ類

入学してずっと捨てていなかった教科書やレジュメ類の整理も行った。
使わないレジュメはひとまとめにして紙ごみの日に出す、売れそうな教科書はブックオフで売った。
入居して初めて、机でテスト勉強ができた。

趣味グッズ整理

もともと2つのグループを推していたが、そのうちの一つのグループのファンをやめてしまったため、グッズを処分することにした。友達の中でほしい人に譲り、余った分をリサイクルショップに売ることにした。
以前お願いした友達にまたお願いしてあるため、今回はすぐ売りに行けそうである。

心境の変化

今回の断捨離でだいぶすっきりした家を見て、次は掃除がしたくなった。床掃除アイテムは掃除機しかもっていなかったが、もっと気軽に掃除できるようにクイックルワイパーを買い足した。
ラグにほこりが絡まっているのが気になり、動物用ブラシを買いひたすらブラッシングした。
自炊もするようになった。
恋人が片付けてくれたおかげで食器を置けるスペースが誕生して、洗い物を放置しなくなった。
ペットボトルもすぐ分別するようになったし、ゴミはごみ箱に捨てるようになった。
調理スペースも生まれ、まな板と包丁を使うようになった。
私は健康的な生活を手に入れたのだ。

まとめ

21年間汚部屋で過ごしてきた私は他人に片付けられる申し訳なさにより本格的に片付けようと思えた。
片づけて得られたものが本当に多い。
もし断捨離を躊躇してしまう人がいるならば、目の前のものを捨てるもったいなさより、捨てて整頓して得られるものに目を向けるのもいい方法かもしれない。
断捨離をして残したものを大切にしながら生きていこうと思う。

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