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憧れ(万年筆)

あなたの憧れは何だろうか?私は、エラボーという万年筆に自己の理想を幻視している。そのことについて、つらつら書きたい。

理想の姿「エラボー」

2023年の11月、もう少し遅ければ、白い雪として舞えたはずの"みぞれ"へ、ささやかな追悼としてガリガリ君をかじっていた。同時に、私は堂々巡りを繰り返していた。PILOT社の万年筆値上げに伴い、エラボーを買おうかどうか…。

文具店に足を運ぶと意識が遠のき、気付いたら手元に万年筆がある経験は無いだろうか?私はよくある。ふと手を見るとエラボーがあった。

私の元へ来たエラボーは金属軸のライトブルーで、字幅はSMである。試し書きをした瞬間、いや、お店で目があった瞬間かもしれない、私は彼に憧れてしまった。そう、理解から最も遠い感情を抱いてしまったのである。

細マッチョ

まず、ライトブルーの色味が爽やかさとクールさを象徴している。軸は少しだけキラキラと輝き、一見淡白であるが、注視すると深みを見せる。知れば知るたび、合えば会うたび興味が湧いてくる知性を感じる色味である。

また、万年筆全体は角ばったデザインとなっており、金属軸の質感も相まって、日々の鍛錬で作り上げられた細マッチョの美しさがある。きっと私の知らないところでバーベルでも上げているのだろう。

上部に三角形の立体的な構造があるクリップ

特に私が気に入っているのは、このクリップである。刻印等は無いが、さりげなく形どられた三角系(?)のデザインが飽きを感じさせない。のっぺらぼうの語る夜話は、常に知的好奇心をくすぐる。

少女漫画にエラボーを登場させるとしたら、学年一のクール系イケメン先輩(テニスとかやってる)ってとこだろう。

優しさと切なさと堅牢さと

ただクールなだけでは無いのが、エラボーが称賛される理由である。すなわち、書き味が優しい。柔らかく、しなる書き味は外見の堅牢さに反して、全てを受け止めてくれそうな優しさで満ちている。3億円の損害を与えるミスをしても、きっとエラボーは笑って許してくれる。上司にしたい…。

ネーミングセンスゥ……

ただ一つ気に食わないのが、ネーミングセンスである。「エラボー」って何やねんwww。力抜けるわwww。イギリスで用いられている言葉で「精巧な」を意味する「elaborate」から来ているらしいが、カタカナにした瞬間ダサくなるものである。エラボーのコンセプトは「日本の文字が持つ美しさを表現できる万年筆」であるのに、名前が日本語では無い、中途半端なカタカナ語ってどういうこと…?

結論



エラボーはいいぞ!
色味の気品さ、デザインの堅牢さ、書き味の優しさ、私はこういう者になりたい。

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