月夜への愛を語る
月夜という万年筆インクが好きだ。月夜はPILOTが出しているインキシリーズ「色彩雫」を代表とするインキである(異論は認める)。万年筆というものを使い始めたころ,何となく人気だからという理由で手に取ったことが私と月夜の馴れ初めである。月夜の好きポイントをつらつらと挙げていく。
色が良い
オタクは度々「顔がいい」という鳴き声を発する。これは発声練習だと考えられている(出典不明)。ところで私は月夜で文字を書いた後に「色がいい」と一人でうなづいている。
試しに文字を書いてみた(ペン:PILOT ルシーナ,紙:てきとうなわら半紙)。もし良い色だと感じられないなら,私のカメラかあなたのモニターが悪い。今すぐ文房具屋さんに赴き,色雫のミニボトルシリーズで月夜を3つ手に取り,レジにもっていくといい。
月夜には他のブルーブラックに無い「温かみ」がある。少し緑っぽく見えるおかげか,柔らかい印象を抱くと共に視認性も抜群である。そのためか,どんなにゴツイ数式を書いたとしても可愛らしく見えてくる。
ネーミングセンス
「月夜」だよ!?晴れた日の夜の帰り道,ふと立ち止まり空を見上げながらボソッと「月夜…」って言いたくなる響きを持ったインキである。
万年筆は書いた文字にインクの濃淡が出る。基本的に線の後半が濃くなる。私はそこに時間の変化を見た。満月の綺麗な夜に町の明かりが段々と消えてゆき,夜が深まる様子を感じ取ってしまった。月夜で文字を書くということはそれすなわち,夜を描いていることと同義ではないか?文才のある方,誰かこのインキを題材にした小説を書いてください。
PILOTの中でインキの名前がどう決められているかは分からないが,この名前を発案した方はきっと素敵な方なんだろうなと思う。
価格
大瓶50 mLで1650円(税込み)という価格設定。あんまり文房具に興味が無い人から見ると,「ボールペンが100円しないで売っているのに,野口英世さんが消えるの?」と思われるだろうが,万年筆を買うのに福沢さん何人とも別れを告げている方々にとっては,もうほぼ無料でしょう。ちなみに50 mLってかなりある。私の場合は半年で半分くらいの量を使った(え?勉強が足りてないって?)。
瓶がオサレ
残念ながら色彩雫シリーズの瓶の美しさを語れるような言葉を私は持ち合わせていない。義務教育での国語と美術の授業をもっとしっかりやっておくべきだったという後悔。
結論
万年筆インキ「月夜」はいいぞ!
※PILOTはインクのことを「インキ」と表現している。それも味があって良い。