村上淳の落日
村上淳はジェロニモだった――
村上淳、これまで数多くのタイトルを獲得しており、麻雀界を代表するトッププロの一人である。近年盛り上がりを見せている麻雀プロリーグ戦、Mリーグの選手にも選ばれ、赤坂ドリブンズのメンバーとしてMリーグ初代王者に輝いた実績を持つ。
そんな村上淳のとある1日の話。
麻雀最強戦2023 ~骨肉の争い~ 決勝
そこでは、鈴木たろう・松ヶ瀬隆弥・勝又健志・村上淳というMリーグ在籍のトッププロ4名が1つの席を懸けて熱い戦いを繰り広げていた。
南4局オーラス、45500点を持つ村上淳。
2着の松ヶ瀬はトップまで倍満条件、3着の勝又、4着の鈴木たろうは役満条件となっており、実質的に村上淳の勝利と言ってもいいほど圧倒的に優位な状況。あとはこの最後の1局18巡が何事もなく終わるのを待つだけ。
トップ条件を満たすため、2着~4着が一発逆転を狙って役満をあがりにいくのはよくある光景だが、そうそう都合よく役満があがれるわけではない。
こういう場合の大体が、あと少しで役満だったのに、、、という所で終了するため、誰もが村上淳のトップで終わる、そう思っていた。
しかし事件は起きた。
村上淳の想いとは裏腹に、一発逆転となる役満の手がどんどんと進んでいくのである。
しかも3人全員が、である。
そんなことあるかよ。漫画のような展開が目の前で起こっていた。
え?そんなことある?
「役満条件だったら役満作ればいいじゃない」ってそんな簡単なことある?
Mリーグのトッププロってそんなレベルなん?
45500点を持ってオーラスまできた村上淳は凄い。
この3人を相手にしてゴール一歩手前までやってきたのは間違いなく凄い。
実況・解説も完璧な打ち回しと評価していた。
でも、本物はたった1局あれば十分だと。役満条件が残っていればそれで十分だと。そう言わんばかりの剛腕を3人が同時に見せてきた。
その時ふと、「超人」という言葉が脳裏をよぎった。
魅せ場できっちりと魅せることができる、勝ち切ることができる人が超人なのかと思った。
そして同時に、村上淳がリーチ超人と呼ばれていたことを思い出した。リーチ超人は本物の超人ではなかったのか。
その直後、鈴木たろうが役満の四暗刻をツモりあがり、鈴木たろうの劇的な勝利で幕を閉じた。
ものすごい戦いを見せつけられた。言葉がでなかった。
いや、言葉が出すぎた。「おい!淳!なんでだよ!」と叫んでいた。
鈴木たろうが「ツモ」の発生をした瞬間、そしてその1秒後に牌を倒して四暗刻を見せつけられた瞬間、村上淳はどういう気持ちだったのだろうか。
松ヶ瀬は自身のYouTubeチャンネルで、対局後に山を開けて残りの牌を確認したと、そして自分のアガり牌が山に残っていたと言っていた。
もし鈴木たろうがここでアガっていなかったとしても、この場にいるのが鈴木たろうではなかったとしても、数順後には松ヶ瀬が国士無双をアガることになっていたというのは、村上淳にとっては耐え難い事実だと思う。
骨肉の争いで3人の超人を相手にした村上淳は超人ではなかったのか。
村上淳はジェロニモだったのか。超人の中で戦う人間だったのか。
そう思ったとき、大きな喪失感に襲われた。
Mリーグでも近年は結果を出せず、2022-23シーズンをもってドリブンズから自由契約となった村上淳。
最高位戦ではA1リーグに在籍し、リーグ内でも上位でしのぎを削っている村上淳。
多くの麻雀ファンから愛されている村上淳。
村上淳は超人ではなかったのか。それは村上淳にしか分からない。
ただ一つだけ言えることがある。
おい村上淳!解説のスキルが低くて聞いてられないんだよ!
居酒屋で喋っとるんと違うぞ!おっさんの偉そうな喋りなんか聞きたくないんだよ!もっと聞き手が居ることを意識して喋れ!
お前は愛されキャラなんだから解説枠も取りに行け!
河野直也に弟子入りしてこい!
Mリーグに返ってくるのはまずは解説枠からだ!待ってるぞ!
おまけ