ショートコント「読書感想文」
ショートコント
読書感想文
A:俺さ、今度、コンクールに応募しようと思ってるんだけどさ。
B:コンクール?
A:そう、コンクール
B:何のコンクール?
A:読書感想文のコンクール
B:そんなコンクールあるの?
A:普通にあるんよ?
B:小学生の「夏休みの何んとか」とか、そういうのじゃなくて?
A:そりゃ、小学生も応募するけど、大人はダメとか書いてなかったからさ
B:あぁそう・・・
A:そうなんだよ、
A:でさ、感想文書いたから、応募する前にちょっと見て欲しいんだよ
B:あぁわかったよ、じゃぁ見てやるから、ちょっとここで、読んでみなよ
A:あぁ、じゃぁ、読むよ
B:あぁ
A:読書感想文
A:「銀河鉄郎(てつろう)の夜」
B:鉄道!
A:鉄道?
B:それ「銀河鉄道の夜」だろ?
B:銀河鉄道に鉄郎っていう人が出て来る話もあるけど、それアニメの話だから
A:あぁ
B:鉄道ね、銀河鉄道
A:鉄道・・・
B:そう
A:「銀河鉄道の夜」
A:作、宮澤喜一(みやざわ きいち)
B:賢治(けんじ)
A:けんじ?
B:そう、宮澤喜一って、昔の総理大臣の名前だから
A:あぁ・・知らない
B:そりゃ知らないわな・・・でも、作者は間違えちゃだめだから
A:わかった
B:じゃぁ、続けて
A:「銀河鉄道の夜」 作、宮沢賢治
B:そうそう
A:この「銀河鉄道の夜」は、1934年に作者の死後、世の中に発表された作品です。
B:まって、まって
A:何?
B:読書感想文だよね?
A:そうだよ
B:読書感想文って、本を読んで、その感想を書くんだよ。
B:それ感想文じゃなくて、説明文だから
A:感想は、この後、書いてあるんだよ
B:あ、その後に書いてあるのね
B:じゃぁ、続けて
A:作者の「宮ちゃん」って、宮沢賢治って言うんだね
B:まって、まって
A:何?
B:宮ちゃんって・・・、お前、そんなに親しくないだろ
A:うん、知らない人
B:あんまり、ちゃん付けして呼ばない方がいいよ
A:そう?
B:まぁ、いいや、続けて
A:作者の「宮ちゃん」って、宮沢賢治って言うんだね
A:そんな事なら、僕も、宮沢賢治っていう名前がよかったな
B:何の感想?
A:作者の名前・・・
B:本の感想文に、そういうのいらないから
B:本の内容について書きなよ
A:この後、書いてあるんだよ
B:あぁ、その後に書いてあるのね
B:じゃぁ、続けて
A:主人公はジョバンニという少年です。
B:あぁ、まぁ、そうだね。
A:ジョバンニは、ジョバンニは、ジョバンニが・・
B:まって、まって
A:何?
B:今、ちょっと変だったから、もう一回ゆっくりいって
A:じょぉーーーばぁーーぁ-ーん-ーーにーーー
B:そこまでゆっくりじゃなくていいから
B:普通に、少しゆっくり目でいいから
A:わかった・・・
A:ジョバンニは
B:うん
A:ジョバンニは、ジョバンニが
B:そこそこ
A:え?
B:何?
B:ジョバンニは、ジョバンニは、ジョバンニがって
A:え?
B:ジョバンニ、ジョバンニ、ジョバンニって、三回もジョバンニが出てきて、
B:日本語として可笑しいだろ
A:違うよ、ジョバンニじゃなくて、序盤だよ、序盤、
A:物語の序盤の話だよ
B:あぁ、そうだったんだ、悪かったよ、じゃぁ続けて
A:じゃぁもう一回ね
A:ジョバンニは、ジョバンニは、ジョバンニが
B:どこのジョバンニが、物語の序盤のジョバンになの?
A:最初のジョバンニは、主人公のジョバンニのジョバンニで
A:二番目のジョバンニは、主人公のジョバンニのジョバンじゃなくて、物語の序盤のジョバンで
A:三番目のジョバンニが、主人公のジョバンニだよ
B:なんか、ジョバ、ジョバ、ややこしいなぁ
A:そうかな
B:ちょっとそこ変えた方がいいよ
B:とりあえず、つづけて
A:わかった
A:ジョバンニは、友達の「半ぱねーな」と共に、半端ない旅に出る事に
B;まって、まって
A:何?
B:友達の名前「半端ねーな」って言ったろ?
A:違うの?
B:カンパネルラ!
A:カンパ・・・
B:カンパネルラ、半端ねーなじゃなくて、カンパネルラ
A:カンパネーナ
B:一旦「ねーな」からは、離れようか
A:ニーナ?
B:それじゃ、女の子になっちゃうから
B:ネーナでもニーナでもなくて、ネルラ
A:あぁ、そうな
B:お前、ふざけてるだろ?
A:そんな事ねーな
B:ったく、もういいよ
B:で、最後は何て書いたんだよ
B:読書感想文は、最後が肝心だからな
A:あぁ、最後な
B:そう最後
A:僕も早く、銀河鉄道に乗って、機械の体を手に入れたいと思います。
B:やっぱり、アニメの話じゃねぇーか
B:もういいわ
ありがとうございました。
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