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ウォロフ語文法:過去形


前回まではウォロフ語の「現在形」的表現から、完了形と未完了形の違いについて見てきた。

今回は、「過去形」を表す表現について見ていきたい。ウォロフ語で過去を表すのは、①na活用と、②動詞に接尾辞-oonをつけたもの、または③過去において未完了を示すdoonの、3つがある。


①na活用

na活用は、動詞(V)+ na活用 + 補語(C)のかたちで構成される。このとき基本的には動作が完了した状態を示すため、過去形として表現ができる。

  • Dem naa Ndakkaar(デム ナー ンダカール):(私は)ダカールに行きました

  • Jàng na al-xoraan ci daara ja(ジャング ナ アルホラーン チ ダーラ ジャ):(あの人は)あの学校でクルアーンを勉強しました

目的代名詞をつける場合はna活用のあとにつける。

  • Xam naa ko(ハム ナー コ):(私は)彼を知っている

  • Gis nga leen ?(ギス ンガ レーン?):(あなたは)彼らに会いましたか?

なお、行為動詞ではなく、状態動詞を使うと現在の状態をあらわす形としても使える。

  • sedd na(セッド ナ):寒いです/冷たいです

  • sonn naa(ソンヌ ナー):(私は)疲れた

na活用


②動詞に接尾辞 -oonをつける用法

ウォロフ語は動詞の活用が存在しないが、接尾辞をつけることによってさまざまに意味を変化させることができる。接尾辞 -oonは、過去に完了した動作の表現として、過去(遠い過去の習慣を示す場合は -aan)を用いて、話し手の状況(時間)と切り離して説明が可能になる。基本的にdafa活用、na活用、la活用では以下の通りになる。

  • Dafa demoon ekool(ダファ デモーン エコール):彼は学校に行った

  • Ekool nga demoon(エコール ンガ デモーン):あなたは学校に行っていた

  • Bëgoon naa dem ekool te dem naa fa(ブゴン ナー デム エコール テ デム ナー ファ):私は学校に通いたいと思っていたので、行った。


接尾辞 -oonは、母音で終わる語のあとでは woonになる。特に、mu ngi活用を使うときに見られ、過去に進行していた状態(過去進行形)を表す。

  • Maa ngi woon foofu demb(マンギ ウォーン フォーフ デンブ):昨日はあそこにいた

  • Yaa ngi woon togg añ(ヤンギ ウォーン トグ アニュ):あなたは昼食を作っていました


③過去において未完了だった動作の表現doon

doonは、過去を表す接尾辞 -oon が、未完了を表す di- と融合したもので、dafa活用やla活用で用いられる。

  • Dama doon bëgga dem ekool(ダマ ドーン ブガ デム エコール):学校には行きたかった(けど行けなかった)

  • Dafa doon jang ci daara ji (ダファ ドーン ジャング チ ダーラ ジ): 彼はクルアーン学校で学んでいた(学校に通っていたという状態であって、必ずしも行為が終わったか=学習が終了したかは問われない)



単語表

al-xoraan:クルアーン(コーラン)
am:持つ、在る
añ:昼食、または昼食を作ること
bëgg:好き、または助動詞として用いることで、「〜したい」の意味にも使える
daara:クルアーン学校、(公立の)学校、村
demb:昨日
ekool:(公立の)学校
jàng:勉強する、読む
togg:料理する


(文責:池邉智基)

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