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2022.12.26 メリークリスマス2022!

今年もクリスマスのビーフシチューを食べられた。すごくすごく美味しかった!「ばあばが3日かけて仕込む極上のビーフシチューをどうもありがとうございます。来年もまたみんなで食べられますように」食いしん坊の欲望はもちろんあるけど、祈りのような切実な気持ちも混ざっている。

私はクリスチャンではないけどしょっちゅう祈る。家族や大切な人の無事や健康を願ったり、自分の胸の中にあるつらさを今回もうまく浄化できますようにと願ったり。

祈っても祈らなくても結果は変わらないかもしれない。祈りに応えてくれるような信心深さもないし。でも祈らずにはいられないような気持ちになることがある。

それは自分の努力だけではどうにもならないな~と思うときなのかもしれない。私がどんなに祈っても他人の健康は守られないし、想像もしていなかった悲しいことが起こることも止められない。誰のせいとも言えないようなことに対して「祈る」行為をはさむことで少しだけ気持ちを落ち着かせているのかも。


ばあばのビーフシチューを家族で食べるのは、来年でいよいよ20回目になる。本当にたくさんの思い出があるなぁ。

結婚前でヒマこいてたボンクラ兄さんは、今は無き東京の実家で過ごすクリスマスの常連だった。お肉が上等すぎたのか、煮込むうちにホロホロに煮崩れてしまってかたまりがほとんど残らない年もあった。ばあばが泣きそうな顔で「焦がしてしまったの」と言った年もあった。

よしお君がインフルエンザに罹って、熱で浮腫みきった顔でばくばくシチューを食べていた年もあった。

長男がかわいい顔で「わいん!かんぱい!」を繰り返していたのもクリスマスではなかったか。クリスマスの夜はそのまま実家に泊まることになっていて、翌朝サンタさんからのプレゼントをもらった次男が、ちっちゃな頭に大きな変身ヘルメットをかぶって喜んでいたのは面白かったな。

まだコールセンターで派遣社員をしていたよしお君が、仕事終わりにそのまま実家に帰ってきて、腰につけたウォレットチェーンをジャラジャラ鳴らし、ドタドタ大きな音を立てながら急な階段を登ってくるときの足音もよく覚えている。

子どもたちはとっくに眠っているから、ばあばが「もうちょっと静かにできないのかしら、まったく~」と言うお決まりの台詞と、本人が現れる前に「あ、あの子帰ってきたわね、お腹空いてるんじゃないかしら」という台詞はセットになっている。

お酒が入ったよしお君とじいじが大げんかしたこともあった。いや、あれはクリスマスじゃなかったか。とにかく、正月にもクリスマスにも何でもない日にでもこの親子は喧嘩をしてきた。さっきまでいい雰囲気だったのに?でもこうなると手がつけられない。

そういう時、わたしは嵐が過ぎるまでリビングのたっぷりとした上等なグリーンのカーテンをぼうっと見るようにしていた。実家で過ごしたクリスマスのうち何度かはそのカーテンに電飾だか飾りだかが縫い付けられていた。

わたし達が来る前に、じいじとばあばと2人仲良く、ああでもないこうでもないと準備してくれたのだろう。何日も前からビーフシチューのことを考えて、孫たちと過ごす今日を楽しみにしてくれていたのだろう。

それなのになんでこの人たちはそれを一瞬で台無しにしてしまえるんだろう?それがすごく不思議だったし、いい加減にしてくれないかなと思いつつ心のどこかで感心していた。

じいじが両足の踵を粉砕骨折して、クリスマスにようやく退院してきたという年もあった。これは私たちの近くに越してくるきっかけの一つといえる出来事だ。じいじがあのとき本当にリハビリをがんばったから、私たちの家がある5階まで歩いて来られるようになったんだな。がんばってくれてよかったな。


そうやって、毎年いろいろな思い出を作りながら子どもたちは成長し、大人たちは歳をとってきた。その間にそれぞれ引っ越しもしたりして環境もたくさん変わって、泣いたり笑ったり、とにかく精一杯生きてきたなという感じ。

たくさんのお皿やグラスを洗いながら、今夜のことをぼうっと思い出していた。

今年はよしお君の兄弟とも呼べる友達も一緒にクリスマスをしたんだけど、その人が次男に「お前な、本当に幸せなことなんだぞ。今も幸せだとわかってるかもしれないけど、何十年もあとになって今日のことを思い返したとき、もっとずっと幸せだったって思うから覚えとけよ。今はわかんないかもしれないけど。」というようなことを言っていたのを聞いたとき、うっかり泣いてしまいそうだった。

そのときは泣きたくなかったから我慢したけど、1人になったら別に泣いても困らないからお皿を洗いながら泣いた。夢でお水が出てくるとトイレに行きたくなるみたいに。

今年のクリスマスもすごく良いクリスマスだったな。来年は、ばあばのシチュー作りを最初から最後までくっついて教えてもらおうと思う。いきなり私が作ってもぜったいに同じ味にはならない。あのシチューは、ふんわりとしているけど深い香りがするんだ。

翌朝に「ありがとう、楽しかったよー!」とメッセージを送ってきた次男に「今年も楽しかったね!来年も美味しいビーフシチューが食べられるように一生懸命に生きようね!」と返事をした。



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