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ピグマリオン 続き

今回は一昨日の「ピグマリオン」の記事の続きです。

ネタバレを含みますので、これから舞台を初めて観る人や、映画を見ようと思っている人は読まないで下さいネ。

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私が持っている「マイ・フェア・レディ」のBlu-rayは4Kじゃないんです。
4K映像をBlu-rayに落とし込んだものだとか。なので、4KHDRのものを購入したいけど、果たして散財するほどの価値があるかどうかは分かりません。

ま、それは良いとして、映画のラストでイライザはヒギンズ教授の元に帰ってきたようで、ハッピーエンドを予感させます。

バーナード・ショーが生きていたら怒り心頭でしょうね。

日本では映画の上映は字幕で忠実に英語の台詞を翻訳しています。
当然、何がおかしいのか分からない場面が続出します。
見せ場に当たる「スペインの雨」の歌詞・・・・

スペインの雨は主に平野に降る
The rain in Spain stays mainly in the plain
これは「エイ」の発音練習です。
もう一つ繰り返される台詞のやり取りは
質問:In Hertford, Hereford, and Hampshire?
解答:Hurricanes hardly ever happen.
こっちはHの発音練習です。

どうやらロンドンの下町の訛り「コクニー」はベランエメ口調で、しかもHの発音を抜かしてしまうらしい・・・・・
スペインの雨は――
the ryein in Spyan syuteiz menri in pryain と発音しちゃうんですね。
ハートフォードの方はHがないと、ハリケーンが来るのか来ないのか分からない・・・・・・
それって江戸訛りじゃないの?

と言う訳で、G2版では
「日は東、日向にひなげし」をヒギンズが言わせるとイライザが
「しはしぃがし、しなたにしにゃげし」 と発音しちゃうのです。
「品のある広い額」が「しろいしたい」 になってしまう。

と言うように日本人がそのまま聞いて笑えるように作り直しているのです。
脳内で意味を英語だったらなんて不自然な変換をしなくて良い。
台詞をそのまま感じて笑う。
これって素晴らしいことで、そうした部分以外でも登場人物の台詞をそのまま受け入れられるから、感情移入しやすくなります。

さて、確か2010年頃だったと思うのですが、ブロードウェイでバーナード・ショーの意図通りの「ピグマリオン」が上演され、その後2017年?ぐらいから、「マイ・フェア・レディ」もそれに倣い出します。

そうすると、女性の自立を描いた作品という新しい評価が加わるようになります。
時代を先取りした作品だという評価です。

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実はバーナード・ショーは本編の後日談を書いていて、上記の古典新訳ではその話も翻訳されています。
それを読むと、バーナード・ショーの意図はそうしたものとはちょっと違う印象を受けるのですが・・・・・・

さて、2018年の公演ではそういう新風も知りつつの観劇です。
ところが・・・・・・

G2版では伝統的にハッピーエンドで終わるのですが、もうね感情移入しすぎてというよりも二人に幸せになって欲しい、という思いが強すぎて、二人の心が寄り添った時に感動して泣いてしまいました・・・・・・

この時の朝夏まなとイライザと寺脇康文ヒギンズが素晴らしすぎて、感動しましたぁ!

その時思い出したのです。
怒りに震えるバーナード・ショーに興行主が言うのです。
「観客席を観ていれば分かる。観客の誰もがヒギンズとイライザを好きで堪らなくなっているんだ。その二人が結ばれて欲しいと期待しているんだ。
原作の結末では彼らを満足させられないよ」

舞台では登場人物と観客の間で感情の交換が繰り返されます。
そうした中で生まれるものを捕まえられてこそヒットするとやり手の興行主は見抜いていたのでは?

おそらくバーナード・ショーは自分の戯曲の中の人物が自分の予想外に人々を惹きつけ好かれてしまうとは予想出来なかったのでしょう。
個人的には伝統的結末の方に分があると感じますが・・・・・・
それは私が年寄りなせいかもしれませんね。

マイ・フェア・レディ2


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