映画「ナイル殺人事件」最終回(ネタバレあり)
映画と銘打ったのに反して、タイトル写真はクリスティ文庫の新訳版の写真w
現在は映画公開に合わせて表紙が変更されています。
ダブルカバーかと思ったら、本当に表紙変更でした。
帰宅してから1978年版の映画「ナイル殺人事件」を見直して、原作も購入してしまいました(^_^;)
以下はネタバレを含みますので、「これから映画を楽しみにしている」或いは「原作を読むのを楽しみにしている」などという方は読み進めるのをご遠慮下さい。
全然、忘れていたので2022年版での相次ぐ事件は今風の味付けかと思ったのですが、新設定にアレンジされているとは言え、忠実に再現されていました。
1978年版はあり得る犯行を映像として各容疑者ごとに再現していて、推理物の王道的展開で、年寄りにはこちらの方がワクワクする部分もありました。
あと、ポワロの嫌な奴ぶり「自画自賛」「自慢」「変に上流趣味」「食いしん坊っぷり」など描写されていて、面白かったです。
(実は生前の父は、こうしたポワロの態度が嫌いで、シリーズを途中から読まなくなったそうですw)
ケネス・ブラナーのポワロもデザート好きで、こうした面をちょっと表現していましたが、嫌見っぷりではユスティノフ版ポワロに敵いませんw
まぁ、いまあんな様子を表現すると嫌われちゃうかもしれないです。
どうやらケネス・ブラナー版ポワロはまだ続くらしいので、好かれる必要あるのでしょうか?
思い出しましたが、この映画を見てマギー・スミスのファンになったので、その後の活躍は嬉しかったです。
スカイラーとバワーズの関係は78年版では完全な主従関係ですが、22年版では現代的なLですが、こういうのをわざわざ入れる必要があったのかどうか・・・・・・?新しい価値観が映画表現にも大きく影響していて、今後どうなることでしょう。
(ハリー・ポッターでもローリング女史に批判が集中していますが、あれもどうかな?と感じます。多様性を謳う割にはただ一つのの意見しか存在できないみたいな?)
さて、この2022年版を見て・・・・・
記憶に残った台詞にリネット・リッジウェイ嬢の
「あなただけはお金に興味が無かった」
というジャッキーへの台詞がありました。
ただ、彼の望む財産を手に入れるために犯行に協力した、彼が主犯的な立場だったような??
ところが74年版だと、ジャッキーこそが全てを手に入れようとして計画した犯行だった印象・・・・・・
とは言え、サイモンがバカげた犯行(ベッドにコブラを入れておくとか)を実行してしまうのではないかと心配して、計画を立てたそうですが・・・・・・
切羽詰まれば、思い切った手段も厭わない二人組ですから、22年版のような脅迫的な謎解き場面をポワロが作り出すというのは、納得できます。
むしろ、あんなに凶悪な犯行を重ねる犯人が、古典的な謎解きに付き合う78年版は不思議な空間(それを言うと古典的な推理小説の謎解きは、なぜ犯人が悠長に謎解きに付き合うのかという疑問が出てしまいますが)です。
78年版では金と地位の確保に衝き動かされてしまう人間達が乗り合わせたカルナック号ですが(例外の人達もいますが)、22年版は愛の形が生み出した犯罪みたいな?
表現したいことの違いが微妙な演出の変化の理由なのでしょうか。
あと、最後の最後の無理心中的な場面は、22年版は無理がありすぎと感じました。
78年版の方がしっくりきます。これもミア・ファーローという大女優だからこそかも知れません。・・・・・・「それを言っちゃあおしめえよ」と寅さんなら言うかも知れませんがw
まさかのブークがいなくなってしまい、今後のヘイスティング大佐のような協力者はどうするのでしょう。
そういう意味でも次作は楽しみ。
(前作はラストシーンで次に「ナイル殺人事件」が来ることは分かっていましたが、次は?今回もラストにヒントあったのでしょうか?私には全く分かりませんでしたが)