「君は1000%」 1986オメガトライブ
夏、流れて来るのは、カルロストシキ氏歌う「君は1000%」。
「1000%」って、言葉が凄い、効いている。
ブラジル出身のカルロストシキ氏の歌声、リズムをとる身体の様子、話し方、声、容姿。彼のバックに居る控えめなバンド。
それらのビジュアルと音は、優しい刺激があって、躍動的だけど穏やかで、テレビの中のスタジオに満ち、画面からも漏れ出て来るその空気を思い出す。
1966年生まれの私は、当時、神戸市の、海が見える部屋に住んでいた。山の中腹に建つ女子大に通っていて男性とは無縁、大学とアパートを往復する日々。
テレビの歌番組が隆盛で、ささやかな楽しみのひとつだった。海側に大きな窓がある部屋のその窓の横においた小さなテレビ。画面の向こうに在る遠い世界で歌われる遠い世界の曲が、ときめきを想像させてくれた。
曲の中の彼は、”君”に翻弄されているようだけれど、実のところ、"君”はちょっと背伸びして"大人のいいオンナ”を演じているのではないだろうか。身体の線や表情にも隠し切れない幼さを持っていて、でも、とてもセクシーなんだろうなぁ。
彼もまた、”大人のオトコ”からは遠いところに居て、だけど、それだからこその1000%に胸がキュッっとなる。
若かったあのときのあの気持ちはあのときだけのもの。それを思うと切なくて愛おしい。