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ヤニス・バルファキス『父が娘に語る美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』
とても分かりやすい経済の本として昔紹介いただいたのですが、ずっと読んでいなかったので、読んでみました。分かりやすかったですが、個人的には物足りない感じでした。やっぱり資本論を直接読んだ方が刺激的じゃないかなぁと思います。労働力と機械のあたりの話なんかは、やっぱり本家のほうがいいですね。
農耕が始まり、余剰が生まれ、それを管理するために言葉が生まれ、通貨が生まれ、格差が生まれた。そして、お金では買えない「経験価値」が減っていき、なんでもお金で買える「交換価値」に置き換えられていった。この辺の歴史はマルクスにはない話だったので面白かったですね。
ビットコインと似たような仮想通貨なんて紀元前から存在したんだよ、とか。タバコが刑務所で通貨代わりになるという事例も、身近なお金の成り立ちとして分かりやすくて良かったです。
お金は銀行が何もないところからパッと生みだしてくる、というのも良かったですね。まぁ確かにその通りなんだけど、改めて言われるとハッとさせられるものがありました。
映画のマトリクスとかスタートレックの例えが頻繁に出てきたのはちょっと時代を感じてしまってピンと来づらい気がしました。時事ネタの取り扱いは難しいですね。