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プレコンセプションケア産業 ~Industry-Up Week Autumn 2021

今日紹介するのはプレコンセプションケア産業。プレコンセプションの本来の意味は妊娠受胎前のことですが、ここでは妊娠に限らず若い世代の男女がより健康になることを目指していきます。

知識を身につけること

女性の健康についてまだまだ知識が浸透していないのが現状です。たとえば月経でどれくらいパフォーマンスが落ちるか調査したところ、元気なときの半分以下にまで落ちる人が半分近くいることが分かります。

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パフォーマンスが落ちた中でなんとか頑張って働いているのが現状で、こうした人たちが適切なケアを受けられるような仕組みづくりが必要です。その一つが教育です。先ほどの月経に関する調査対象者に、女性の健康に関する知識(ヘルスリタラシー)をどれくらい持っているか確認したところ、リタラシーが高い人の方がパフォーマンス低下を食い止められることが分かりました。

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女性のホルモンバランスや妊孕力など、思春期から更年期までずっと関わる問題なのに、そういった自分の身体について知る仕組みがありません。家庭でも学校でも、性や妊娠を直接語り合う場はあるません。これがとても大きな問題ではないかと思います。

だから、小中学校の義務教育の中に、当事者同士で対等に話し合って考える機会(ピアシステム)を作っていくことが大事だと思っています。自分の価値を知り、相手の価値を尊重して、ジェンダー意識を変えていけたらいいなと思います。

仕組みを作ること

ヘルスケアというのは、大切だと分かってはいるけど実行できない、ということも多いです。健康な食事、早寝早起きなど、誰しも心当たりがあると思います。これを、自然とやりたいと思えるように、行動変容を促す仕組みづくりが大切です。

たとえば生命保険の保険料を最初は低く設定しておき、健康にいい行動をすればどんどん保険料が安くなり、健康によくない行動をすると保険料が上がるようにします。人間は損失回避の法則があるので、保険料を安くするために良い行動をとりやすくなります。

教育啓蒙と同時に、こうした行動変容の仕組みも入れることで、楽しみながら健康になるエコシステムが作れたら面白いし、やりがいがあると思います。

感想

女性の健康についての知識を得る場がないのはその通りだと思います。私は男性ですが、PMSのことなど誰も教えてくれないから、自分が知らないことにすら気付かないまま成人しました。私にいくら悪気がなくても、それはとても申し訳ないことだったと感じます。教育の機会を作るというのは大事なことだと思います。

また、こうした議論でありがちな「男性は女性のことを分かっていない」といった非難の文脈が全くなかったことにも感動しました。「女性はつらくて男性はもっとサポートすべきだ」といったジェンダー意識もなく、常にフラットに男女ともにもっと身体に向き合って健康を目指していこう、という意識が通底していて、登壇者の皆さんの崇高さを目の当たりにしました。

女性の健康のケアは今まで見過ごされてきて、なかなか産業として成り立ちづらい側面もあったと思いますが、そんな人々の認識を改めて、よりよい健康的な社会に近づけたらいいな、と思いました。

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