前回、対立を避けずに受け入れること、特権を持つ者の自覚が大事、という話をしました。今回は対立を引き起こす「テロリスト」がなぜ生まれるのかについてお話します。
そもそもテロリストがいなければ対立は起こらないのに
私たちは、対立を引き起こす厄介者(テロリスト)さえいなければ平和に過ごせるのに、どうしてそういう悪意を持った人間はいなくならないのだろう、と考えたりします。でも、そういう風にあなたが思うからこそ、テロリストは生まれるのだ、と筆者は言います。
世の中はいつだって多数派と少数派に分かれていて、多数派にとっては快適だけれど少数派にとっては居心地の悪い場所になっています。そのことを多数派は常に自覚しないといけないのです。少数派がつらい思いをしていることに配慮しないと、追いつめられた少数派が反旗をひるがえして「テロ」が起こるのです。
ここでの「テロ」というのは爆弾で襲撃するような物理的なものだけでなく、LGBTや障がい者たちの訴えのようなものも含まれます。多数派が少数派の悩みに耳を貸して、それを受け入れることができれば、その訴えはテロではなくなり、調和のとれた社会に進むことができるのです。
筆者が「対立の中に座す」と言っているのは、こうした対立から目をそらさずきちんと向き合うことが大事だ、ということです。
テロリズムの特徴
弱者たちによるテロリズムが起こるときは、以下のような特徴があるそうです。どれもこれも、身に覚えのあるシチュエーションですね。
そして、ひとたびテロリズムが成功すると、それは中毒になります。皆さんも、正義という暴力に取りつかれた人を見たことがあるでしょう。結局、そうやって強者の特権を手に入れたら、それを無意識に行使して、再び対立の炎を生み出してしまうのです。だからこそ、強者にも弱者にも常に意識を向けるエルダーシップが必要なのです。いや、無理じゃね?
ということで、だんだん繰り返しが多くなってきたので、本書のエッセンスはだいたい掴めたのかなぁ? と思いました。