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正統的周辺参加:第三回読書会「相手を変化させるべきか否か」

正統的周辺参加について語り合う読書会の第三回目のメモです。これまでのまとめは以下をご参照ください。

やる気ない社員のモチベのあげ方

これまで正統的周辺参加というのは、組織にとっての新人が少しずつ周辺的参加から十全的参加に進んでいくこと、組織の中心に向かい古参となっていくことについて考えてきた。しかし実際には、組織の中心を目指さず周辺でずっとくすぶっているだけの人も多い。そんな人たちはどうしたらいいのだろうか。

優秀だけど本気じゃない社員

人によっては、この会社は自分のキャリアパスにおける単なるワンステップだから、3年くらい経験を積んだら転職して次のステージに行くんだ、というケースもあるだろう。確かにそういう人生を選ぶ人も多いし、否定するわけではない。でも会社として、会社の中心にいる古参として、そういう有能な人に少しでも自社の仕事が楽しいと思えるように、中心を目指したいと思えるように環境を整えることは大事だと思う。そのためにはどうしたらいいのだろうか。

それこそ、面白い仕事を用意する、それなりの地位と責任を与えて仕事をリードしてもらうのが一番だろう。つまり、正統性を付与すること。あなたが中心にふさわしい人材だということを、会社の中で位置づけてあげることが大事だと思う。

やる気はあったけど能力がついてこない社員

逆のパターンもある。入社当初はすごくやる気があったけど、仕事がうまくできない、他の社員と比較して負けてしまう、いろんな理由で挫折してやる気を失ってしまうパターン。大企業になると、次のステップの昇進が狭き門で、そこからとても上がれそうにないと諦めてしまうこともある。そういう人が十全的参加を諦めて辞めてしまうのも惜しい気がする。

個人目線で行くと、その職場で成長が見込めない、これ以上十全的参加ができないのであれば、そこから学習することもないので、越境して新しい環境に行った方がいいだろう、とも思う。だから、会社としても社内異動とか配置転換とか新しい環境を用意して、似たような仕事でも新しい経験、新しい成長の機会を作るのは大切だろう。

企業の多様性と生産性

企業としても、多様な社員を雇用していた方が、変化に対応しやすかったり、新しいことを生みだしやすかったりする。多様な働き方を許容する柔軟な会社作りはとても大切だ。

一方、生産性を向上したいのであれば多様性なんか無いほうがよくて、みんなが同じような考え方でスムーズに意思疎通できた方が圧倒的に早い。気の合う社員だけを集めて、合わない社員には辞めてもらった方がお互いのためになる、という考え方もある。

それは会社の方針なので、どちらが正しいというわけでもないけれど、いまの時代はどちらかといえば多様性の方が大事だと言われている。売り上げしか柱がないような会社は淘汰されていく。脱中心というアプローチも重要ではないだろうか。

脱中心化:自己中心的な状態から脱すること。心理学用語で、一般に7歳くらいから始まる心の成長らしい。

確かに、会社ってまだまだ自己中心的に動いてること多いですよね。まだまだ精神的には幼児だったんですね。。。

個人の保守と変容

今まで主に企業サイドの話でしたが、個人サイドでも同様の話があります。自分はこれ以上がんばれません、ずっとこのままで大丈夫です、みたいな保守的な人もいます。そういう人には、怖くないから一歩踏み出してみようよ、絶対できるよ、と声をかけてあげたい気もします。

参加するということは学習するということ。学習するということは変わるということ。アイデンティティが変わるのって個人にとってはかなりリスキーなので、誰でもできることではありません。だから、その人が変わりたいと思ったときにだけ、その手助けをすること。そうじゃない人に無理やり変容を求めてはいけない気がします。

だから、何かを望んだときにその道がある、というのが大事。このレールに乗ったのだから絶対に進まなきゃいけない、というのはつらい。どうあってもいいんだよ、と多様性を認める方が、組織として絶対に強い。

どんどん成長する人と、止まってしまう人

結果的に、いろんなことに手を出してどんどん成長する人と、保守的にとどまって成長しない人の差が加速度的に開いていきます。それも多様性だといえばその通りですが、本当にそれでいいのだろうか、という葛藤はあります。余計なお節介かもしれませんが、どうしたら新しい問題にチャレンジできる人になれるのでしょうか。

漸進的問題解決という考え方があるそうです。熟達したピアニストには2つのパターンがあり、自分のスキルで新しい曲を弾く人と、自分のスキルをベースにしながら新しい曲に必要なスキル・文脈・背景を自分なりに設定して取り組める人だそうです。そうやって少しずつ自分の知識を漸進的に拡張できる人が、どんどん成長する人です。

たぶん、前者のピアニストも昔は一生懸命知識・技術を拡張してきたのだと思います。でも、どこかでだんだん「これで十分」と思って、成長しなくなってしまうのでしょう。それは、自分の中で新しい問題を発見できていないからだと思います。今までの手法で答えが出せると思ったら、新しい技術は必要ありません。でも、そこで小さくても自分に足りない課題を発見できる人は、成長し続けます。

こうした漸進的問題解決を後押しする「知識構築共同体」というものはどうやったら作れるか。そのために必要な12の原則というものがあるそうです。

  1. 真のアイディアと真正性の高い問題

  2. 向上し続けるアイディア

  3. アイディアの多様性

  4. 俯瞰する行為

  5. 認識論的主体性

  6. 共同体としての知識、そのための集団的責任

  7. 知識の民主化

  8. 対称性を持つ知識発展

  9. 普及する知識構築

  10. 権威のある資源の建設的な利用

  11. 知識構築の対話

  12. 埋め込まれ変換される評価

ちょっと抽象的でよく分かりませんが、これらができている組織では、自然とみんなが問題解決に取り組むようになる、みんなが自然と成長を志向するようになる、よい環境だと言えるようです。

既存の企業にこうした仕組みを入れたいといっても、ちょっと既存システムぶち壊しにでもしない限り難しい、みたいな話もありますが、少し頭の片隅に留めておきたいと思いました。

今回の感想と次回の読書会

このまとめには書きませんでしたが、読書会のなかでは実際に個人の過去の経験をすごく具体的に話し合って、具体的な解決策とかを言い合っていたので、いろんなアイデアが出てきて、考えが深まりました。一人だとなかなか考えつかないところにまで、読書会で話し合うことで到達できたと思うので、とても有意義でした。

次回は3/27(土)早朝の予定です。よろしくお願いいたします。

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