道徳は技術である???~J.S.ミル 功利主義 附録2
功利主義の紹介の最後、附録2です。科学と技術について語られているのですが、正直、これ読んでも意味分かりませんでした。何を言いたいのかさっぱり分かりませんでした。おしまい。
技術(art)とは何か
いろいろと考えた結果「技術」という翻訳が悪い、と思い至りました。これはルビに「アート」と振ってあったので、今回はアートについて考えます。
artという単語は非常に多くの意味を含んでおり、日本人にはちょっと扱いきれない概念です。上記コトバンクの解説を頑張って読んでみると、アートというのは「芸術」であり、「創造的な文化活動」であり、同時にそれを生み出すための「わざ」であることが分かります。芸術を生み出すための「勘」や「コツ」といった「センス」も、「アート」なのです。
ミルが「科学」と「技術」を対比して語っていましたが、これはもっと分かりやすい概念に置き換えると「原理」と「解釈」に相当すると思います。附録2の各節のタイトルを置き換えてみます。
第一節 道徳は原理ではなく解釈である
第二節 解釈の規則と、解釈に対応する原理との関係
第三節 解釈の規則が担う本来の役割は何か
第四節 解釈は演繹的なものではない
第五節 どの解釈も、実践で用いるのに適した形に整えられた原理で構成される
これで、個人的にはだいぶ読みやすくなったと思います。
技術はどれも、科学によって解明された自然法則と、目的論あるいは目的に関する理論と呼ばれてきた一般原理とが合流して一つになったものである。(P199)
これも、つまり「原理と目的が合わさって解釈を生んでいるんだよ」ということです。その上で、「道徳というのは人間にとって普遍的な原理ではなく、目的に合わせて生み出された一つの解釈なんだよ」と言っているわけです。
人生の解釈(アート・オブ・ライフ)
附録2の終盤では、「人生の技術(アート・オブ・ライフ)」について語られています。これも「人生の解釈」と置き換えて考えるとすんなり頭に入ってきます。人生とはどんなものだとあなたは解釈しますか、という問い。
それに対する答えとして「道徳、ポリシー、美的追求の3つだよ」とミルは言っています。
ミルさんは、最大多数の最大幸福を目指すのが最も美しい社会だと思って美的追求している。そのために徳を積むこと、道徳をポリシーにしている。そういう解釈をみんなに普及させたいから、この功利主義という本を書いたんだな。それがあなたの解釈なんだな。と私は思いました。
私の解釈
私はこれまでのnoteで一貫して、人間は「自分自身の最大幸福」を目指している。そのために重要なのは能動的な幸福、すなわち「フロー状態」であると述べてきた。
でもそれは私の解釈であって、皆さんは皆さんの信じる幸福に向かって邁進してください。その結果、あなたが私に危害を加えようとするのであれば全力で抵抗するし、一緒に幸福を目指そうとしてくれるなら喜んで協力します。それが理想的に組み合わせあれば、結果的に最大多数の最大幸福になるかもしれませんね、という話だと思いました。
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