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バリ山行
今年の芥川賞を受賞したバリ山行という本を読みました。
描写がとてもよいと紹介いただいたのですが、確かに主人公がバリに行くところの描写はとても臨場感があって良かったです。これ絶対に筆者も山に登ってますよね、でないとこんなの書けないでしょ、という感じの圧倒的迫力でした。
仕事のパートもかなりのリアリティがありました。筆者が43歳ということで私とも同年代。こういう経営難や統廃合、選択と集中に翻弄されてきた経験があるんだろうなぁと感じました。
それくらい描写力はあるけど、序盤はめちゃくちゃスピーディな展開で、要素だけ説明したらあっという間に次のシーンに飛ぶ感じで、最近の音楽と同じようなファスト化の流れが小説にも来てるんだなぁと思いました。
あと、家庭の描写は蛇足にもほどがあるくらい雑で、お前は山なんか登ってないで子育てしろよ、という気持ちでいっぱいになりました。会社と自分の未来ばかり憂いてないでまずは家庭を顧みろ。奥さんはフルタイムで働きながら毎日ワンオペ家事してて、旦那のことも見守ってくれて、終盤はかなり愛想を尽かされたもののまだ捨てられてないの、優しすぎる。
主要キャラの一人である妻鹿さんについて。昔ながらの頑固職人さんで、経営のことは分からないけど技術一筋でお客様に貢献するんだ、みたいな気概。この職人気質で会社を建て直す昭和復権みたいなストーリーになるのかなぁと思ったら、結局そんなことなくて職人はやっぱり肩身が狭くなって、そこまでリアリティ追求しなくてもいいのに、という気はした。だから小説というよりは実際にあったノンフィクションのお話がベースにあるのかなあ、という印象が強かったです。
サクッと読める登山小説として、とても良かったです。ありがとうございました。