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業界インタビュー12 倉庫業の仕事

身近で働いている人にインタビューして、どんな仕事をしているのか、どんな課題を抱えているのか、といった話を蓄積していく企画の第12弾。今回は倉庫業です。

倉庫業って何?

倉庫といえばAmazonみたいな通販の商品がたくさん保管されている場所を思い浮かべます。Amazonは自社で倉庫を持っていますが、ネット通販をしているECサイトなど多くの中小企業は、商品在庫を管理するために倉庫を借りているケースが多いです。

倉庫業務は大きく以下の3つに分類できるそうです。
・賃貸
・寄託
・コンサル

一番売り上げが多いのは賃貸。倉庫を建てて、それを貸し出す。やはり不動産を持っている会社は強いですね。倉庫は立地がとても重要なので、海に面しているところや、高速道路の近くなどが人気です。倉庫業大手であれば、そういった土地を買って自社物件倉庫を建設しますが、中小の倉庫業者の場合は、土地や建物を借りて、その倉庫を中小企業に又貸しする、というケースも多いようです。

次に寄託というのは、お客さんの商品在庫などを代わりに管理する業務です。お客さんはECサイトの商品を倉庫に預けて、注文が入ったら「この商品を発送してください」などの指示を出します。すると倉庫業者は、倉庫内から商品を持ってきて(ピッキング)、梱包・発送などをやってくれます。こうした細かい作業を請け負うのが寄託だそうです。

ECサイトだけでなく、他にもメーカーが製造した商品だったり輸入品を倉庫に保管しておき、必要に応じた量を店舗や他拠点へ送るなど、モノを扱うあらゆる業者が倉庫を利用をしています。

そしてコンサルについて。物流が最適化できる物件の紹介や、行政への申請の手伝い(例:営業倉庫申請)など、専門知識が必要な業務のお手伝いをしているそうです。また最近はネット通販が盛んになっているので、新しく参入したいけど在庫管理の知識がなくて何から着手したらいいか分からない、というお客さんの相談も受けているそうです。

お客さんも規模が大きくなると、倉庫だけ借りて自社で在庫管理するようです。そういうのが一番楽で儲かる。寄託は作業が多いから大変だし利益がなかなか出ないようです。

倉庫業者の差別化ポイントは何?

ただ倉庫を建てて貸すだけなら、どの倉庫業者も大差ないように感じますが、どういった違いがあるのでしょうか。まずは倉庫業界の売上高ランキングを見てみましょう。

1位 郵船ロジスティクス 4,698億円
2位 近鉄エクスプレス 4,202億円
3位 上組 2,423億円
4位 三井倉庫ホールディングス 2,129億円
5位 三菱倉庫 2,068億円

1位は日本郵政グループ。郵便をやっていれば倉庫にも強そうなのは納得です。2位の近鉄は鉄道貨物に強みがあります。4位と5位はどちらも不動産会社が母体なので、倉庫に有利な土地を持っているのが強みでしょう。このように各社とも、どのような土地や物流を持っているかによって、得意とする倉庫利用にも違いが出てくるようです。

で、この3位の「上組」というのは……? (以下自主規制)

倉庫業における許認可

ネット通販が拡大しているせいか、いま倉庫はどんどん増えているそうです。ちょっと立地が悪くて賃料も高めな土地でも、大手企業はどんどん購入して倉庫を建てているそうです。そのうち倉庫過多になるのではないかと心配になります。

ただ、倉庫業を始めるには登録が必要で、新たに倉庫を建てるにしても許可を取る必要があります。倉庫業者にも縄張りがあり、普通の会社がおいそれと始められるわけではないので、倉庫業者が仲介する必要があるようです。

特に船から荷物を降ろしたり積み込んだりする港湾荷役というのは、専門の資格が必要です。港湾の人たちとうまくやっていかないと、荷物が入ってこないなどのトラブルになります。港湾荷役には、その土地その土地における暗黙のしきたり、みたいなのが結構あるようです。

港湾……縄張り……しきたり……?

そして業界第三位の「上組」とはいったい……?

港湾荷役に必要な専門の資格とは……うっ、頭が……


ということで、普通のメーカーが自社倉庫を用意するのは難しいので、あの土地に倉庫が欲しいんだ、という場合は倉庫業者にお願いするのがいいようです。

倉庫の維持管理

さて、今回インタビューした方は、倉庫の維持管理をするファシリティーマネジメント(FM)を担当されていました。それはどんな業務なのか。

まず、不動産を所有・管理しているアセットマネジメント(AM)がいます。AMは投資家などからお金を集めて物件を購入、そこから得られた収益などを管理して投資家に報告・還元していきます。

ここで、購入した物件を維持管理する必要があります。入居者を募ったり家賃を回収したりといった、いわゆる大家さん業務です。これをするのがプロパティマネジメント(PM)です。

しかしPMも、エレベータの維持管理とか消防点検とか、そういう専門的なビルのメンテナンスはできません。だから、それを委託するのがビルディングマネジメント(BM)です。

AM→PM→BMと業務を分担することで、物件は維持管理されています。では、実際にこの物件を使って商売とかをしていきましょう。すると、ここを仕切って部屋にしたいとかいろんな要望が出てくると思います。そういうのを管理するのがファシリティーマネジメント(FM)です。

適当に図にしてみました。

図2

特に今回は、倉庫の又貸しがメイン業務でした。AMやPMから倉庫を借りて、そこを区画分けして中小ECサイトなどに貸し出します。だからFMの仕事は、物件を管理しているPM、BMと連携しながら建物を維持管理することのようでした。

ビルを管理するBMも、やはり縄張りがあって、この地域の物件ならこの会社にお願いした方がいい、と決まっていたり、AMやPMから指定されたBMが既に決まっていたり、いろいろなパターンがあるらしい。とにかくFMはいろんな人たちと日程調整するのが仕事のようでした。

建物の維持管理って、基本的にみんな興味なくて、法律でやれと決められてるからやっている、といった意識が強いので、なかなかモチベーションの難しそうな仕事でした。

まとめ

倉庫とか物流とか、今のネット社会にはなくてはならない存在だけど、でも私たちはその実態を何も知らないんだなぁ、って思いました。社会を支えてくれている縁の下の力持ちに感謝しましょう。ありがとうございます。

倉庫業務の分かりやすい解説リンクはこちら。



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