頭と心が一致したとき、私に起こったたくさんの変化ーーDANRO卒業生インタビュー
人と人とのつながりの中には、”目には見えない温かさ”がある。その温かさが増し、循環する時、きっと、世界は今よりもっと明るくなる。そんな創業者の想いから生まれた『深いつながりを紡ぐ、実践型対話スクールDANRO Autumn』が2024年12月に最終回を迎えました。卒業生へのインタビュー記事を、数回に渡りお届けします。
今回は会社員の傍ら、アートやセッションを行うWanonさんにDANROでの変化について詳しく伺いました。
苦しい時期「対話」を勧められ……
――DANRO Autumnに参加したきっかけを教えてください。
Wanonさん:以前、DANRO SCHOOLに参加していた遠藤翔太くんに誘われて、今回のAutumnに参加しました。参加に関しては、タイミングが自分にとって本当にベストだったというのが一番の理由です。
昨年は、18年ほど会っていなかった父や家族に会いに行ったりと、いろいろ動いた一年。その中で、自分自身の頭と心が一致していないような感覚がすごく強くなってきて、どうにかしたいなと思っていたんです。
翔太くんに相談したときに「いろんな人と対話することで何かヒントが見つかるかもしれない」と言ってもらえたんです。その言葉に背中を押されて、参加を決めました。
――頭と心が一致しないというのはどういう状態だったのでしょうか?
Wanonさん:去年は父が経営してるライブハウスで働きながら、月の半分は徳島の田舎で農業をする、といった生活をしていました。今までやったことのない経験をたくさんさせてもらえてすごく貴重な時間だった反面、いろいろ戸惑うことも多かったんですよね。
父との関係も、親子というよりは上司と部下みたいな感じが先にできてしまい、しっくりこなくて……。それに加えて、父が結婚して新しい家族がいることを初めて知ったんです。正直、気持ちの整理に時間がかかりました。でも、そのときは無理して「自分は大丈夫」のように見せちゃって、何事もなかったように日々を過ごしてたんです。
本当は、父ともっと親子としての関係を深めたかったし、新しい家族ができたことだってすぐに受け止められるものじゃなかった。でも、その気持ちを表に出せなくて、自分で自分に蓋をしてたんですよね。
――そうだったのですね。蓋をしていた気持ちがどこかで溢れてしまったのでしょうか?
Wanonさん:そうなんです。ある日突然「私、本当はこれを望んでない」って気づいてしまった。頭と心がバラバラで、どうしていいかわからなくなってしまったんです。
そんなとき、翔太くんと電話で話す機会があったのですが、すごく丁寧に自分の気持ちを話してくれたり、私の話をじっくり聞いてくれたりして、その姿が本当に素敵だったんですよ。
私にもあんなふうに、相手にも自分にも丁寧に向き合える力があったらいいなと強く感じました。それで、翔太くんに誘われたこのAutumnに参加することを決めたんです。
――参加してみて、頭と心が一致しないという部分に変化は起きましたか?
Wanonさん:はい、めちゃくちゃありましたね。DANROの「チェックイン」や「チェックアウト」といった時間、自分のことを言葉にして伝えるワークをしたり、対話を通じて自分を表現する機会が増えたりして、自分の内側に目を向けることができるようになりました。
実は絵を描くことに対しても葛藤を感じていた時期でもあった。でも、自分に集中したり、自分の気持ちを外に出すような経験を重ねるうちに、また絵を描くのが楽しくなったんです。
和花さんの「自分に集中して描いてみたら?」という言葉もすごく心に響いて。「自分が本当に描きたいものを描けばいいんだ」と思えるようになりました。そこからはまた自然と絵を描くことが楽しくなって、表現もしやすくなりました。本当に感謝しています。
――絵に対しても以前は葛藤があったのですね。
Wanonさん:もともと絵を描くのは好きだったんですけど、正直なところ、楽しくて描いているというよりも「仕事になるから」とか「お金になるから」といった理由でやっていた部分があって。
自分のスタイルを犠牲にしてまで続けるのが嫌になって「絵は違うかな」と思ってしまった時期もありました。でも頭と心が一致したときに、絵を描くこと自体が嫌なわけではなかったと気づいたんです。
振り返ってつながった、点と点
――DANROの時間で一番印象に残っていることは何ですか?
Wanonさん:一番印象に残っているのは、DANRO期間が終わった後の和花さんとの1on1ですね。和花さんが「この期間どうだったか」をまとめて話してくれたのですが、すごく心に響くものがありました。
DANROの毎回のセッションで、みんなが自分に集中して向き合っている姿を見ていると、私自身も自然と「自分の中にあるもの」を受け入れられる瞬間がたくさんあったんです。心が動かされる場面がすごく多くて。
その経験を振り返る中で、和花さんが「自分に集中することで、相手にも良い影響を与えられることがあるんだよ」と言ってくれて。「あ、そういうことなんだ」って腑に落ちたんですよね。
1on1を通じて、DANROでのいろんな出来事や場面が全部線でつながった感じがしました。「あれもきっかけだった」「これも自分を動かしてくれる経験だったな」と、本当に気づきが深まった瞬間でした。
ーー振り返りの時間で大きな気づきがあったのですね。悩んでいる際、翔太さんから「対話がいいよ」というアドバイスをいただいていたようですが、やはりその対話の力は大きかったと感じますか?
Wanonさん:すごく大きかったですね!今までの自分の会話は、なんというか「形式的」な感じが多かったんです。
その場のシチュエーションによって、これまで積み上げてきたものが勝手に言葉として出てくるような、いわゆる「フォーマットが決まっている会話」だったり、相手に良く見せようとして強がる自分がいたりして……。そうしてコミュニケーションをとっているうちに、気づかないうちに自分で自分を苦しめていたんだなと思います。
でも、DANROでの対話は全然違っていて「等身大の自分で、お互いを表現し合う場」という感覚なんです。もしかしたら、これまでの人生でももしかしたらあったのかもしれないけれど「対話ってこんなに心地いいものなんだな」と初めて深く感じられたんですよね。
対話には本当に力があるんだなって思いましたし、その心地よさを知ることで、これからの人との関わり方も変わっていきそうだなと思います。
――Wanonさんは対話のセッションもされているので、そのあたりにも活かしていけそうですよね。
Wanonさん:そう思います。セッションでも、前は無理にリードしようとしたり「相手に特別なものを与えなきゃいけない」というプレッシャーを感じていたりしたんです。
最初は「やりたい!」と純粋な気持ちで始めたはずなのに、いつの間にか「作った自分」で向き合っている感じがあって……。でも、今はもうあまり感じなくなりました。
対話の時間を通じて、お互いに何かを受け取るだけでいいと思えるようになったし、それを絵にすることがすごく心地いいんですよね。
ーー心が軽くなったような印象ですね。
Wanonさん:はい。DANROの時間もそうですし、今の麻衣さんとのこういうインタビューの時間でも「対話」という感覚が持てる。そんな時間があると、今の自分をちゃんと感じられる瞬間がたくさんあるなと思うんです。
自分が絵を描くときや何かを伝えたいと思うときも、すごく「今」に集中している感覚があります。だから、一日の中に「今を感じられる時間」があることで、自分らしくいられるというか、自分を再確認してまた一日を過ごせる気がするんです。
その時間をこれからも大切にしたいし、自分でも作りたい。そして、一緒に作れる仲間がこれからできたらいいなと思っています。
――お話を聞いていて、Wanonさんが大事にしたいものは「今この瞬間」をそのまま感じたり、伝え合ったりすることなんだとすごく伝わってきました。
“今この瞬間の自分”を感じ、表現していきたい
――WanonさんにとってDANROとはどんな場所ですか?
Wanonさん:やっぱり「今を感じられる場所」ですね。これまでは、常に過去の栄光を作り続けようとしていた気がします。何かキラキラしていて「すごい!」って思われるようなことに手を伸ばして、それを目指して必死にやっていた感じです。
でも、そういう目標がなくなったり「すごいもの」がなくなったりすると、途端に不安になってしまって、自分に価値を感じられなくなることが多かったんです。だから自分を生きることに対して必死でした。
誰かに「よく見られたい」っていう意識が特に強いわけじゃないけれど、自分の中にあるプライドや、自分像みたいなものがあって。自分を守るために、無意識に「自分はこうあるべき」というものを貫こうとしていたんでしょうね。
――なんだか分かる気がします。見えない敵のような……「誰と戦っているの?」状態だったんですね。
Wanonさん:まさにそう!麻衣さんのお話を聞いて思ったのは、まだ見えない敵と戦っちゃう自分はいる。でも、そういう自分や、時々嫌になっちゃう自分も含めて、なんだか全部の自分が手をつないでいるような感覚になれるようになったということです。
「今、この自分が出てきてるいんだな」と少し客観的に感じられるようになったし、その自分と対話して、表現できるようになれるようになってすごく良かったと思います。
――自分と手をつないで、という表現とても素敵です!Wanonさんにとって人生の中でも貴重な2ヶ月間になっていそうですね。
Wanonさん:本当にそうなんですよ。こうして麻衣さんをはじめ、DANROに関わった人たちとまたお話しできることで、自分の中にあたたかい世界が広がっていくのを感じています。それがすごく嬉しいし、ありがたいなと思います。
――優しい!Wanonさんの軽くなった姿を感じて、どこへでも飛んでいけそうだと感じました。心温まるお話を聞かせてくださり、ありがとうございました!
Wanonさんについて
“自分と繋がるアート”をテーマに、アートセッションを提供。DANRO Autumnに参加したことをきっかけに「自分」を取り戻す。
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DANROについて
「日常に対話を、対話を文化に。」をスローガンに掲げるダイアログカンパニー。私たちがともにこの世界に生きていくために、人、自然、社会など全体性を探求しながら、循環し合える空間を創造しています。
実践型オンライン対話スクール、DANRO CHILDREN、自己を探究するダイアログコミュニティの運営、法人向け対話型組織開発などを行う。その他対話を軸とした事業を展開。
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