「Aだけだったところに、BとCが加わった」それが今の私ーーDANRO Spring 卒業生インタビュー
人と人とのつながりの中には、”目には見えない温かさ”がある。その温かさが増し、循環する時、きっと、世界は今よりもっと明るくなる。そんな創業者の想いから生まれた『深いつながりを紡ぐ、実践型対話スクールDANRO Spring』が2024年6月に最終回を迎えました。
今回は、卒業生3人の対話形式でお届けします。
DANRO Spring 参加のきっかけ
しーみー:もともとDANROのことは2年ほど前から知っていて気になっていたんですが、今回タイミングがバッチリ合って参加を決めました。
Autumnに参加している知り合いがいたり、名古屋に住んでいるのでHiroさんや和花さんにも直接会う機会があったりしたんですよね。その中で、DANROという言葉が飛び交っていることから気になるようになりました。
4月から東京に行きたいな、シェアハウスに住みたいな、と思っている時にDANROの「対話留学」を見つけて。直感で参加したいと思い、その場ですぐに応募したのが直接的なきっかけです。
なつみ:私はDANRO SCHOOLが始まる前からずっと和花さんを知っていて、前身であるサロンにも入っていました。DANROにはどこかで触れるというところまでは決めていたというか、決まっていたというか。
でもなかなか「今」というときがなかったんです。Spring募集のタイミングで和花さんとお話しする機会があり、ちょうど「嫌な自分・感情と向き合う」タイミングがきたのかな〜と思っていたときだったんですよね。
「いつか受けたいなら今なのかな」と、私にとっては「時が来た!」という感じ。
しーみー:わかります。「参加するのが決まっていた」のような。
まい:私も本当に同じで。一期生の時からインタビューをさせてもらっていたんですが「いつかは参加したい」でも「今じゃない」と繰り返してここまで来たんです。
でも今回は、なぜか直感でピンときました。これまでは自分の中でモヤモヤしている時とDANROの募集のタイミングがかぶっていなかったけれど、今回はばっちりで!みんなと一緒で「ついにこの時が来たか」と思いましたね。
DANRO Springで印象に残っていること
しーみー:何個かありますね。どれが出てくるんだろう、と自分で思いながらちょっと考えてみます。
まい:どれが出てくるんだろう(笑)
なつみ:私の中では、やっぱりファシリテーターの世太さんの存在が一番大きかったなと思う。あんなになんでも面白がる人がいるんだなと驚いたし、その空気にのまれた。
なつみ:あの空気が居心地が良かったから、私のテーマであった「自分が逃げてきた感情と向き合う」のにすごく良い環境を用意してもらったなと思います。「今日はどんな場になるのかな」と毎回、そこが一番楽しみでもありましたね。
まい:別のインタビューの回で、なつみさんが初回に言った「嫌だ」という言葉がすごく印象に残っているという話も出ました。私自身もそれに勇気をもらったし「言っていいんだ!」と思わせてもらったんです。
まい:さらになつみさんが「嫌だ」と伝えたことに対し、世太さんが「いいね〜」と返して。あの瞬間って、みんなが勇気づけられた時だったと思うんですよ。だから、なつみさんがどういう気持ちで口に出したのかな?と気になっていました。
なつみ:(笑)!私もはじめは「嫌だ」って、ブロックの強い言葉だなと思っていました。正直嫌だという感情を感じたくないし、私ももともと良いことを言いたいし、かっこつけていたいと思うタイプだし。
でも、DANROではまず大前提みんなが対話をしにきてくれている。「きっとそのままに受け取ってくれる」という勝手なみんなへの自信・期待がベースとしてあった。それに、自分の気持ちから逃げてはいけないと思ったんですよね。
なつみ:特に初回は緊張しているから言いたくない言葉だったけど、みんなへの期待を込めて「ぶつけにいった」という感じが大きかったかもしれない。どうなるかは分からないけど、とりあえず出してあとはみんなになんとかしてもらおうという(笑)。
それから毎回みんなが受け止めてくれたことと、そして世太さんの言葉に毎回毎回気持ちが浄化されていたなと思う。まっさらな自分になれる時間でした。
最初はぶつけにいったけど、最後は素直に「嫌なんですよね」と面白がれる自分もいたなと思います。
まい:あの言葉の裏側が聞けておもしろい!私はナチュラルに言っていたと思っていたんですよ。でも「ぶつけにきてくれてたんだ!」と思って。
なつみさんの投げたボールで、みんなのガラスが一気に割れたと思うので本当にありがたかったなと思う。勇気を出してくださってありがとうございました。
しーみー:やはり印象的ですよね。初めて場に入るときの空気感や、ファシリテーターの方の言葉って今後にすごく影響を与えるものだと思っているんです。
それをガラッと変えた瞬間はなつみさんのあの一言だったと思う。僕はこの後も「素」という言葉をたくさん使うと思うんですけど、それがキーワードになったのはなつみさんのおかげだったなと思っています。
なつみ:こちらこそ、受け取ってくれてありがとうございました(笑)。
しーみー:僕が印象に残っているのはアートの回ですね。元々アートってすごく苦手なんですよ。表現したくてもうまく落とし込めない自分が嫌だったし、人と比較してモヤモヤを抱えたりしていました。
しーみー:でもDANROの回ではなぜか嬉しくて。いつもと全く違う、不思議な気持ちを感じていました。絵を描くことがわからないのにクレヨンを持ってルンルンしていた。実際に始まってからも、うまく描けたわけじゃないけれど、自分の落とし込みたいものを描けたという感覚があってすごく楽しかった。
まい:なんで今までと違ったんだろう?
しーみー:それもなつみさんが言っていたのと似ているけど「DANROへの期待」があったからなのかな。
なつみ・まい:なるほど〜!
DANRO Springでの変化
ーー「身体が資本」の意味を知った
まい:私の場合「自分の身体が大事だ」という大発見がありました。今回のテーマでもあった“未来”のビジョンを実現するために、思考や行動ばかりを大切にして「身体」に意識がなかったんです。
でもウェルネスコーチまさやんさんのウェルネスセッションやメンターnoaさんとの1on1を通して「結局健康で体力があれば実現できるんじゃない!?」ということに自分で気づいたんですよね。
そんな中、最終回に世太さんが大切にしていることや日々のルーティンを聞いて「やっぱりそこなんだな」と思えた。灯台下暗しだなと!あれから健康に意識して暮らすようになったのが変化の一つです。
しーみー:確かに身体を大事にできるようになってきたなぁ。
まい:DANROに参加して、身体を大事にしようという意識になるとは思ってなかったから、驚きです。
なつみ:私も同じことがあったなと思う。「身体が資本」という意味がやっと分かった。どれだけ学んで、どれだけ対話して心があったかくなっても、それ以前に健康であるということが大前提なんだなと思いました。
自分の身体に合うものを選んでいきたいなとDANROから感じた。遠くに行って得なくても、近くから得られるものってたくさんあるんだなと、対話を通じて気づいたことですね。
まい:DANROにウェルネスセッションがついているのはなんでだろう?と思っていたのが「だからか!」と腑に落ちた感覚でしたよね。「必要なんだ!身体は!」って(笑)。
ーー対話に自信を持てるようになった
しーみー:僕の場合は、変化というか「戻った」に近いのかもしれないけれど「対話」の捉え方は変わりましたね。なつみさんには少し話したことがありましたが、実は対話を避けていた時期もあったんですよ。
以前、流れでコーチングの場になったことがあった時の話で。自然とその人の心の中を深掘りしていくうちに、自分から見たら相手が「恐怖」を感じているんじゃないかなと思ってしまった。その人が実際どう捉えたかは分からないけれど、コーチングや対話に触れてない人だからこそ踏み込むのをためらってしまい。
しーみー:理解できるよというスタンスで話を聞いたつもりだったけれど「人の心に無断で入っていくのはどうなんだろう」と、対話に対しての向き合い方がわからなくなってしまったんですよね。
でもやっぱり大切にしたいものとして「対話」は自分の中にずっとあった。そのタイミングでの対話留学、DANRO Spring。自信が持てなかった状態から「対話、めっちゃいいじゃん」と思えるようになった。それは変化でもあり、戻ったとも表現できるなと思います。
まい:どうしてDANROでまたそういうふうに思えるようになったんですか?
しーみー:やっぱりこれも「素」という言葉が出てくるのかな。「自分の素を出せる場所がある」ということの価値を実感できたからですね。
苦しい、楽しい、幸せ、ルンルン、大変、疲れている……それを表現できる場所は少ないし、あるだけですごく自分は救われるんだなと気づいた。それを引き出してくれたのが対話の場です。
普段そういう場のない人が対話をすると「自分の素を出す」ことが、ある意味「エッジ」になってくると思うんですよね。だから本人はちょっと苦しかったり、こちら側も届けたいはずなのに苦しんでいる人を見て「いいのかな」と感じてしまったり。
でも、素を出せる瞬間は誰にとっても大事なものだとわかったからこそ、対話の価値は自信を持って言えます。
まい:エッジ!だからちょっとお互いに不快を感じてしまったんですね。そこを乗り越えれば、その人が素でいられる場所をつくりあげられる。「エッジ」ってSpringではキーワードでしたね。
ーー選択肢が広がった
なつみ:「変化」や「戻った」で言うと……私はメンターのわかゆきさんと3回のセッションを終えた時にもらった言葉も印象的。
自分の嫌な感情にも向き合えるようになり軽くなったというか、自分としては変わった感じを思っていたけど、わかゆきさんから「なつみさんは1回目から3回目を通して、いい意味で、何も変わってないと思いました」と言っていただいたんです。
なつみ:そっか!って。私は嫌だった感情は「もともと私の中にあった」からこそ感じたくないと「私が」思っていただけで、そこと向き合っていただけなんだなという気づきになった。変わったようで、変わってなくて。自分の中の「選択肢が広がったんだな」と思えるようになりました。
まい:対話は「素でいられること」なのかもしれないと感じます。素直に話すって、素じゃないとできない。DANROの中で言葉にならない言葉を出したり、モヤモヤを出したり、練習させてもらったなと思います。
こういう「間」も懐かしい(笑)。初めの頃は喋らなきゃ!間をつくらないように手を挙げなきゃ!と思っていたけど、そうじゃなくていいんだとDANROの時間の中で思えたんですよね。話してもいいし、待ってもいい。
なつみ:「間があったときに喋らなきゃと思う自分」は、私にも元々いましたね。それだけじゃなくて「自分の気持ちが整うまで待つ」というのも「みんなの言葉が出てくるまで待つ」のもいいという、たくさんの選択肢をもらったな。
それと同時に「誰もしゃべらないなら、言葉はまとまらない状態でも喋ろう」っていうのもそれはそれでいいんだなと思えました。ただ選択肢の一つだけであって。ここでも、世太さんの作り出す雰囲気に助けられたと思います。
ーー「変わった」ようにも「変わっていない」ようにも見えるのは……
しーみー:「AからBに変わったよ」というよりも「Aに加えてBという、Cという選択肢を持ったよ」というふうに変わったからこそ、それが一部を切り取れば「変化」に見えるし、長期的に見ると「AのときもあるしBやCの時もある」し、それこそ「戻る」と捉えることもできるんですかね。
なつみさん:そう、そう!そうなんですよ!頷きが止まらない!
まい:すごくしっくりきた!だから人から見ても「変わった」ように見えたり「変わってない」ように見えたりするのかな。なるほど!私たちが「選択肢を持ったから」なんですね。言語化してくれて、すっきりした(笑)
なつみ:選択肢を持てたと思えることが、本当に嬉しいんです。元の自分を否定したいわけじゃないんですよ。もともとAしかなかったのが、Bが増えてCが増えて、でもAでも良くて。
今までの自分もいい、どれでも良いんだって思えるのが嬉しい。「未来はどうにでもできる」と世太さんが言ってたことがしっくりくるようになった。選べなくても良いってきっと世太さんなら言ってくれるんだろうなと思う。
まい:世太さんの言葉で衝撃的だったのは「過去も変えられる」ということ。過去も変えられるんだ!という驚きでした。「過去は変えられないけど、未来は変えられる」と良く言われるしそう思っていたんだけど……。
全部変えられるならもう人生自由自在じゃんと思えました。世太さんの言葉は魔法のようにいろんなことを気づかせてくれたと感じています。
それぞれのDANROという居場所
DANROってどんな場所?
なつみ:「余白を作れる場所」かな。私のDANROの時間はどれだけ考えても「浄化する時間」だったんですよね。昇華して、更な自分になる。真っ白な自分になって、一週間色がついていく中でまた浄化して白に変えてもらう。そして余白を作ってもらう場所。
もとをたどれば「対話」がそういうものなのかもしれないと思う。間は「息が吐ける」時間になって、それが心の余白にもなる。さ、また進んでいこうと思える。たくさんの余白をありがとうございました。
しーみー:今言語化するなら「私という存在でいられる場所」です。
というのも、以前DARNOじゃない場で自己紹介をしたときに「違和感がある」と言われたことがあったんですよ。
これまで内省を繰り返して「自分ってこういう人間なんです」ということを自己紹介ではただ伝えていて「目の前の自分として喋れてない」そこに違和感があるという意味でした。
それで言うとDANROでは「今、ワクワクしています」「今、不安なんですという「今の状態ベース」で言葉を発することが多かったから、自分という存在でしゃべれているなと感じられる時間でした。
対話を重ねることで改めて違う自分に気づいたり、普段見せない気持ちもちゃんと「自分」としてそこにいるということを実感できたりしましたね。
まい:「時間がゆっくり流れている場所」。慌ただしい日々の中でも、DANROに参加すると一気に流れがゆっくりになって立ち止まることができたんですよね。
2時間という時間だけど3日間くらい過ごしたような充実感やリフレッシュ感があって。日常では感じられない贅沢な時間だったなと思う。「余白」も「今の自分」もすごく共感できます。改めていい時間だったな。と
なつみさん:本当にそうでしたね。2人の言ってることがすごいわかる。なんか今日いまもDANROで出会った2人だし、Springを一緒にいたからこそ自然に息がはけているなと思います。うん、贅沢。受け取ってもらえて、そのままを投げてもらえて。
しーみー:DANROは本当に贅沢な時間だったし「対話したい」ってもっと贅沢だよなぁって思います。
なつみ:それと同時に「対話」への捉え方がラフになっていっている気もするんだよね。隣のおばちゃんが「すいかいる〜?」と声かけてくれて「食べたいです〜!」って玄関におじゃまして。他愛もない話をしているんだけど「それも対話なのかもしれない」って思うようになった。
“THE対話”のDANROみたいな場所での深い関わり合いでないと、対話じゃないと今までは思っていたんですよね。「暑いから食べないとね」というやりとりでも「気にかけているんだな」でもこれも対話の一つなのかもしれないな、と感じるようになってきました。
まい:日常に対話のエッセンスは落ちていて、それをなつみさんはすくいあげられるようになったのかなと話を聞いていて思いました。確かに、ここにしかないと思うと重いものになっちゃうのは確かにそうかもしれません。
なつみ:対話を“もっと難しいものだ”と勝手に思っていたんですよね。どこかに「対話しに行くか!」という自分がこれまではいた。
勝手な心持ちを作っていたけれど、自分がまず想いを話すことが、相手に話しても良いんだと思ってもらえるきっかけにできるんだなとDANROの時間を通じた気づきになりました。「嫌だ」もいいし「楽しい」もいいしと“自分にマル”を出していればそのまま伝えられる。
しーみーが言っていたように対話のレベル感は人によってさまざまだし、だからこそまずは自分が自分のままで、しーみーの言葉を借りるのなら「素のままで」いること。素の自分で話していると相手もそれに返してくれるというか、そこから生まれる何かがあるなと思います。
\実践型対話スクールDANRO Autumn詳細はこちらから/
DANROについて
「日常に対話を、対話を文化に。」をスローガンに掲げるダイアログカンパニー。私たちがともにこの世界に生きていくために、人、自然、社会など全体性を探求しながら、循環し合える空間を創造しています。
実践型対話スクール、DANRO CHILDREN、自己を探究するダイアログコミュニティの運営などを行う。その他対話を軸とした事業を展開。
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