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「ダンチルは、人と想いの居場所」全国1,000人の親子へ届けた先に思うこと/これからのDANRO CHILDREN
人と人とのつながりの中には、”目には見えない温かさ”がある。その温かさが増し、循環する時、きっと世界は今よりもっと明るくなる。そんな想いから創業したDANROは2023年1月、DANRO CHILDRENをスタートさせました。
「自分のままで、進んでいける世界へ」というVISIONを掲げ、幼少期から対話を通して自分を知り、相手を知ることができる環境や、自分の想いを深め巡らすことができる環境を創出することを目的として生まれたDANRO CHILDREN(以下、ダンチル)。
2024年1月にはクラウドファンディングに挑戦。沢山のご支援、応援のおかげで、2024年4月~12月にかけて対話の場を届ける全国ツアーを開催でき、述べ1,000人以上の親子に届けることができました!
構想から約2年。一つの区切りを迎えた今、これからも続くダンチルに何を想うのか。DANRO代表 小原和花と、ダンチル主宰・スクールコーチ NOAへ、ダンチルメンバーの廣田が尋ねました。
嬉しさ と 怖さが共存したはじまり
━━全国ツアーは東京、代々木公園から始まりましたね。振り返ると、初日はどんな心境でしたか?
NOA:始まる直前というか、クラファンを終えたタイミングから怖さみたいなものがありましたね。
和花:ワクワクの感情というよりも、嬉しさと怖さが共存していたよね。クラファンはまさに「覚悟を問われたもの」だったから。100人、200人、300人…と想いが繋がっていく喜びと同時に、想像していた以上に応援の声を頂いて、届けることの責任と行動を止めないことへの覚悟が改めて固まっていったというか。
NOA:より一層地に足がついたような。でも、その感情が背中を支えてくれていたし後押しになっていました。
和花:クラファン中も全国ツアー中も、届けられるいろんな声のなかには厳しい声もあって、覚悟を問われる場面もたくさんありました。ただどんな声であろうと、届けてくれる有難さに感謝しながら、身が引き締まる、そんな想いを抱いてのスタートでしたね。
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「自分のままでいられる居場所をつくる」その一歩に立ち会う瞬間
━━今回、1,000人の親子との時間をご一緒するなかで特に印象的だったことはなんでしょうか?
NOA:ダンチルの目指す「自分のままで生きられる社会への一歩になった」と実感できた瞬間がいくつもありました。特に、参加される親御さんから「もっと子ども達のことを信じたいと思いました」という声を多く頂いたんです。
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NOA:自分でやること(チェキをセットする)
意志があること(撮るものを決める)
自分のことを話す(シェアする時間)
写真を撮るという”行動”と感情を伝える”対話”を通して、普段「子どもは守る存在なんだ」と思っている方も、もちろん守る存在ではあるけれど、もっと子どもとしてではなく一人の人として信じてみようとしていて。その”信じてみる一歩”になっていたんだなって感じたんです。
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NOA:ありのままでいられる時間や、繋がりをつくりたい。「こういう波をつくりたかったの!」って、届けたい世界を目の当たりにする瞬間がすごく嬉しかったですね。
━━この場に参加されている方々は、すでにお子さんを人として尊重されている方ばかりだった印象があります。一方で、日々やることや生活が慌ただしいなかで、どうしてもその気持ちが優先できないことも多いという声も…。だから、それが大事にできる機会があることは、子どもにとっても親にとっても救いになるのではないかなとも感じました。
和花:それができる安心安全の場になっていたことも嬉しいですよね。
私も息子と参加して”ひとりの親”として感じたのは、多くの親は子どものことを知りたいと願っているし、子どもも知って欲しいと願っているということ。ただ、年齢によって言葉で意志疎通ができないもどかしさがあったり、子ども自身も伝える術が分からなかったり。
そんな時に感情カードという非言語のツールを使うことで、見えないものが見えたり、知りたいことを知れる喜びが生まれてたなと。
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沢山の感情を感じていることが伝わります。
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親も子どももすごく良い顔をしているんですよね。
その人の心のなかに、拠り所となる経験を刻む
和花:参加したみんなが自分の撮った写真を大事そうにしている姿も印象的でした。写真はもちろん、ダンチルメンバーとの交流をすごく楽しんでいる様子を見た時、地方に住んでいた自分の幼少期の記憶が重なったんですよね。
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和花:ダンチルの目的「そのままの自分で居られる居場所を届ける」を考えるなら、「全国をまわるのではなく、1つの場所で回数を重ねて、根付かせる活動をしたほうが良いのでは」という声もあって、確かにそうだよねとも思いました。
でも、たった一回のインパクトも大事だと思うんです。都会と比べて、地方ってどうしても面白い大人と出会う機会やきっかけが少ないなと思っていたあの頃。ダンチルが赴くことで、普段会えない人との出会いがあったり、ある意味この一日だけは大事にしようって思えたり、この時間・経験や出会いが強く記憶に刻まれたり…。
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NOA:「ここに来てくれてありがとう!」「まさかここにもこんな場があるなんて!」って、地方に行けば行くほどその言葉を掛けてもらうことが多かったですよね。
和花:その場にハード(物理的な居場所)が在るのは分かりやすいし、もちろん目指しているものでもある。けれど、ひとつでも大切にしたい想い出が心のなかに在ることは、その人にとって心の居場所になるとも思うんです。
━━…例えば結婚式って「特別」だからこそいつも以上に幸せや喜びといった感情を強く感じられたり、その瞬間が記憶に残りやすいですよね?今回の全国ツアーはそれと同じで”日常に届けたいからこそ”まずは衝撃を与えるというか。強く濃く打たれた点は、ちゃんとそこへ繋がっていく。私も参加して、そんな兆しが見えた気がしています。
ダンチルは「人と想いの居場所」
━━おふたりは、この全国ツアーを通してダンチルが得られたもの、見えたことってなんだと思いますか?
NOA:うーん…。主語を”私は”に言い換えて考えると、全国ツアーを終えたチーム内の全体報告会で「私にとってダンチルとは?」という問いをみんなに投げかけたんです。その時、私は「人と想いの居場所」って言葉が浮かんで。
私には私の想いがあってダンチルを創っているけれど、ここには「ダンチルという活動を”応援すること”で携わり続けている人達」が沢山いる。
振り返ると、現地に参加できたメンバーや見えない存在(それはメンバーも、クラファンを応援して下さった方々も含めて)ダンチルを真ん中において、それぞれみんなのストーリーがあったなって思うし、実際に報告会で語られていたのは一人ひとりの人生の話だったんです。
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━━確かに、みんなが自分の想いに誇りを持ってましたよね。開催日当日、現地に参加できない悔しさを抱えている人の声も大事にしたい想いがあるからこその感情だったし、やりきった達成感があるという声もあったり…。「ダンチル」が共通点にある状態で、各々が持つ想いや大事にしたいものを軸に主体的に行動していたなぁと思い返されました。
和花:本当に、それぞれが自分の人生を生きていたよね。約1年という本当に長いプロジェクトだったからこそ、最初に決めたDTA(Designed Team Alliance)を真ん中に、みんな正直に居てくれたなと感じています。
DANRO CHILDRENのチームアライアンス
・対話を諦めない
・ことばを変換しない(正直に話す)
・思い切って立ち止まる
和花:違和感があったら立ち止まって、「違和感がある」って正直に伝えてくれたり。その気持ちに素直に向き合い続けたり、知らないふりや逃げることをしない人ばかりだったというか。
お互いの大事にしたい想いを大事にしようとする渦中には棘が刺さり合うような痛みもあるけど、ダンチルには真ん中に「対話」が必ずあったから。苦しい瞬間もあったけれど「どうしたら良いんだろう?」ってみんなと対話し続けた先に、諦めや妥協ではなく調和される瞬間が迎えられたりして。
人に自分の想いを大事にしてもらえる経験が、自分自身を大事にしたいと思うことにも繋がったんじゃないかな。今、ダンチルメンバーに遠慮はないし、私自身にとっても大事な居場所になっているなと思います。
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NOA:お互いの姿勢を見て、踏ん張れたりもしましたよね。こんなに真剣に自分の想いと向き合って、大事にできて、人の想いも大事にできる。こんな素敵な人達がいるなら、絶対に良い社会になる!って。悲しいニュースを減らせるよねって、未来に希望を持てました。
和花:正直最初は、「誰かが始めないと社会は変わらないんだ」みたいな勢いがあったけど、これまでを振り返って改めて思ったのは「ただ機会ときっかけがなかっただけなんだ」って。
すでにダンチルの叶えたい未来を願う人はいて、関わりの柔軟性は在れど、その人の想いは育ち続けていくんだろうなって。この1年間を通して実感したし、私自身改めて「覚悟を強く結び直すことができた」そう思う時間でした。
全国ツアーは通過点。なくさない覚悟を新たに、次の一歩へ。
━━全国ツアーを通して、すでに想いのある人と繋がり、各地で活動をされている団体や場との繋がりも増えつつある今。改めて、これから先のダンチルの未来をおふたりはどう描いていますか?
NOA:今回のような非日常を活かしていきながら、より日常に自分のままでいられる居場所を届けていく。そこに変りはなく、そのために心がヘルシーな状態で関わり続けられるにはどうしたら良いか、関係性をつくる仕組みを現在進行形で考えています。
今回の全国ツアーを経て、頭で描いていたものが「やっぱり大切なんだ」と再確認できて、より自信を持って次に進もうという気持ちになっていて。なくさない覚悟が強くなったからこそ、一緒にその場を創ってくれる人が不可欠だなって思うから。
和花:全国を巡ったことで、安心安全の場ができて、仲間の繋がりが持てたことはダンチルとしても大きな財産になりました。実際、今回をきっかけに「こんなことできませんか?」って声を掛けて頂く機会も増えたんです。
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和花:まだこれからですが、はじまりの大きな一歩を踏むことができた1年。私たちは、より日常に届けていくために地域に根差した場所づくりをしていきたいし、そのために地域の人や学校・団体、企業とチカラを合わせていきたいと思っています。
全国47都道府県に1つのDANRO PLACEを次なる目標とし、一緒に仲間となって創ってくれる一人ひとりと深く繋がっていきたいですね
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2025年新たな発表も控えています、楽しみにしていてくださいね。
NOA:1年を通して、旗を立てた感覚はありますよね!これからも「対話の力で、孤独を防ぐ」というスローガンのもと、自分のままでいられる居場所をつくっていく。人やイベントという大きな点を打つことで、それらを繋いで仲間の輪を広げていきたいです。
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キッズキャンプや親子リトリートも夏に開催します。ぜひ遊びに来てくださいね。
インタビューを終えて/今の時代に必要なのは、ウェルテル効果ではなくパパゲーノ効果
ダンチルの活動は、パパゲーノ効果を生むと感じます。パパゲーノ効果とは、つらい問題を抱えて死にたいと考えている人が、自殺を踏みとどまったエピソードなどに触れることで、自殺死亡率が低下するという学説です。
これまでテレビやネット、公で大きく取り上げられるものの多くは、一見負の現象に見えるようなものばかりでした。それは恐らく、人は不安を掻き立てられた方が対策や予防、危機感を持つからだろうなと。確かにそこから学び、成長したものもあるけれど、果たして原動力となるものは負でないといけないのだろうかと、私は常々疑問に思っています。
渇望感が、人を成長させるのもまた事実。けれど、パパゲーノ効果のように、人がなにか変われたり、良い方向に向かっているという事実をただ伝えるだけでも、十分原動力になるのではないかと。
ダンチルという活動を通して、沢山の「一人一人が自分のままでいられる居場所をつくりたい」と願う人がいることが分かりました。この活動を全国で開催したことで「親子という関係性の前に、人と人として関わりたい」と願う声が多く聞こえました。そして、継続して「居場所となる活動を続けるために」と考え、動き始めている人、すでに動いている団体も沢山います。
すでにあるけれど、知られていないだけ。そして「ひとつ」として個であるものが繋がった時、社会へ大きく波及していく。その輪を、循環を、これからも広げ続けていきたいです。(インタビュー、執筆:廣田 彩乃)
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小原和花(おはら わか)
DANRO inc.代表 / 表現者
「日常に対話を。対話を文化に。」にしていくために、実践型対話スクール、自己を探究するダイアログコミュニティの運営などを行う。
個人では「見えないものを、魅せる。」を信念に、ブランディングデザインや世界観をことばで紡ぐなど、表現者として活躍している。/ Instagram
NOA(のあ)
スクールコーチ/ライフコーチ
「コーチングで心の孤独をふせぐ」ミッションと、「自分が自分のコーチに、そして大切な人のコーチに。」のビジョンを掲げ、19歳からコーチとして活動。
ライフコーチして活動する傍ら、#子どもたちにコーチングを と掲げて「自分でいていいんだ」といった安心感の種蒔き・メンタルヘルス向上のために、子どもにコーチングを届けるスクールコーチの活動にも注力。そのままの自分でいられる居場所を届けるDANRO CHILDREN主宰、”価値ある雑談”で自分を大切にする思いを育む YOUR TALK をメインに様々な形でコーチングを届けている。/ Instagram
photo by. ogasawara yui , yasui ayako , yamamoto mao
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DANRO CHILDREN
「自分のままで、進んでいける世界へ」というビジョンを掲げ、「対話の力で、孤独を防ぐ」をスローガンに全国のこどもたちに、自分のままでいられる居場所を届けるべく活動しています。来春4/19@埼玉で【ダンチルFes!】を開催予定。HP Instagram