【流産】 年齢・妊娠週数・体外受精の流産確率の話
妊娠はゴールではありません。妊娠し、無事に赤ちゃんを出産することがゴールです。そして出産がまたスタートとなり、子供を成長させ、無事成人に至るまでがゴールとなるのです。
しかし、そこまでの道のりが険しいのなんの。
今日は誰にでも起こり得る流産についての話です。
流産の確率
流産というのは、妊娠22週目までの間に、何かしらの理由・原因によって妊娠を継続できなくなることを言います。
そして、妊娠の7分の1は流産で終わるという統計が出ています。
%で示すと14~15%となり、決して低い割合ではありません。
安定期に入るまでは決して油断することができません。無事に出産することが一つのゴールなのです。
年齢による自然流産率
流産にはいくつかの原因がありますが、年齢別の流産率を見てみます。
こちらは厚生労働省が発表しているデータになります。年齢別の自然妊娠での流産率になります。
若ければ安心という訳ではなく、20代後半~30代前半での流産リスクが最も低く、どちらかといえばタイミングとしてはベストと言えるかもしれません。
ただし、どの年代になろうとも確率がゼロになることはありません。
やはり、妊娠しずらくなると言われている30代後半から徐々に流産のリスクも高まってしまっています。
35歳で21%、42歳にもなると半分は流産というデータになってしまいます。
流産の原因で最も多いのが染色体異常によるものですが、これは母体の年齢に大きく関与していることが判明しています。
ちなみに人工授精の場合も、自然妊娠の流産確率と大きく差はありません。人工授精は自然妊娠に近い生殖医療なのです。
妊娠週数別の流産確率
日本産婦人科学会からの報告をまとめると妊娠週数別の流産確率は以下になります。
妊娠5〜7週:22〜44%
妊娠8〜12週:34〜48%
妊娠13〜16週:6〜9%
流産する人の実に80%は12週までの期間での流産となることがわかると思います。
つまり、流産を最も警戒し注意していかなくてはいけない期間は妊娠12週までということになります。当然、12週以降でも確率はゼロではありませんので、22週までは安全とは言えないと思われます。
体外受精の流産率
こちらは年齢別に体外受精の流産率を表したものになります。
こちらもやはり、妊娠しずらいくなると言われている30代後半からリスクが上昇し、42歳では40%を超えるようになってしまっています。
流産率と年齢は比例しているということになります。
高齢出産の場合、3つの壁が存在しています。1つは不妊の壁。2つ目が流産リスクの壁。そして3つ目が奇形・障害リスクの壁です。
いずれも年齢が進むことでリスクが高まります。高齢の場合、不妊についての情報ばかりに目が行きがちですが、最も考えなければいけないのは3つ目の壁です。
どのような結果になろうとも、受け入れられる準備と覚悟ができているのかをご夫婦で話し合わなくてはいけないと思います。
流産には11もの種類がある
一言で流産といっても実に11種類もあります。
人工流産
自然流産
切迫流産(せっぱく)
稽留流産(けいりゅう)
進行流産
不全流産
完全流産
感染流産(かんせん)
反復流産(はんぷく)
習慣流産
科学流産
非常に多いのが切迫流産です。切迫流産が「流産」とありますが、実際には流産しかけている状態です。
私の妻もこの切迫流産を経験し、大変な時期がありました。
ほんの些細なことだったのですが、少しでも不安になったら病院へ行った方が絶対にいいです。迷っていたら行ってください。ここで行かなかったため、妻は激痛と意識を失いかける状態を経験し切迫流産となりました。
化学流産も良く使われる言葉ですね。
化学流産とは妊娠検査薬が陽性反応を示したものの、エコー検査で妊娠が確認できる前に流産してしまった状態です。
つまり非常に早い状態で流産してしまった状態のことです。
妊娠検査薬が広く一般に使われるようになったためにクローズアップされてきました。
妊娠反応を行わなければ妊娠と気付かず、月経と考えて過ごしてしまっていることが多いと言われています。特に治療は必要なく、経過を観察します。
流産の原因は男性にもある
流産は妊娠12週未満で起こる早期流産と後期流産に分けられます。
早期流産の多く、いえ、そのほとんどは染色体異常が原因です。これはつまり、受精した時点で流産かどうかが決まってしまうということです。
そしてそれは母体には原因がないということです。奥様が何をどう気を付けようとも、起こってしまう流産であるということです。
では後記流産の場合はどうでしょうか?
後期流産の場合の原因としては、子宮頸管無力症、子宮奇形など母体側の原因が主になります。過度なストレスや運動が流産を引き起こすこともあります。
後期流産の場合はいわゆる安定期に入っている状態ではあるものの、流産が起こる可能性はありますので、母体の安全を優先した生活をおくることが重要であり、無理は禁物です。
そしてここ最近になって分かってきたことですが、再発性の流産は精子のDNAの欠陥から起きている可能性が高いことが英国の科学者たちの研究で判明しています。
分析の結果、習慣流産に罹患したパートナーを有する男性たちの精子は、対照群(パートナーが流産していない男性たちの精子)と比較して2倍の DNA の損傷を有することが明らかとなった。
流産が起こると今までは女性側を調べていたのですが、ようやく男性側を調べてみたら、精子の質が悪かったというものになります。
よく卵子が老化していると言いますが、女性が年を取っていくということは男性も年を取っていくわけで、それは精子の老化を意味しています。
流産を繰り返す場合、それは旦那様の精子がもしかすると原因なのかもしれません。
無事、妊娠が判明し、幸せの絶頂であったとしても、流産や早産の不安は日々付いて回ります。
人手不足の中、責任感のある女性ほど、育休に入る前でも多少無理をして頑張ってしまうものです。
どんな人でも、流産の可能性がゼロであることはありません。日々の生活を行う上で、十分な注意が必要となります。
今では染色体異常や、障害などを判別することも可能です。
ただ、妊娠してから出産前に異常がわかったとして、あなたはどうするのですか?ようやく授かった命をあなたの決断で無かったものにできるのでしょうか?
異常を調べることは大切なことかもしれませんが、もし異常があった場合に、どうするのかをご夫婦で決めてから検査を行うべきでしょう。