人生という旅をナビゲートしてくれる漫画
4月に入って新生活が始まる方も多いと思います。また、年齢を重ねて新しい経験をする機会が減ったり、億劫になっている人もいると思います。
私自身も、日常に追われコロナ禍でこころもすさみ、何かに強く心を動かされる経験が少なくなっていました。
そんな中で、ブルージャイアントの新巻を読んで、若い時に感じた未知の世界に足を踏み入れるワクワクした気持ちを思い出しました。
その他にも、生きる上で大切なことを教えられるシーンがいくつかあったので、ネタバレになりますが、紹介したいと思います。
その前にブルージャイアントの簡単なあらすじを載せておきます。
紹介したい3つの場面
①ひとりで旅をする中で感じる孤独や冒険心、そして石を積み上げる
5巻の途中から主人公のダイは一緒に旅をしていた仲間と別れて、ひとりで新しい目的地に向かいアメリカ大陸を車で横断します。
広大な自然に囲まれ、言葉も通じない、土地勘もゼロの場所を走っていくダイ。
何度も「自分はひとりなんだな」と孤独を感じます。
そんな不安に押しつぶされてネガティブになってもおかしくない状況で、ダイは逆に自由を感じてこれから起こることを想像しワクワクした気持ちで進んでいきます。そこには、旅人が持つ冒険心のようなものを感じました。
そして、ダイはたまたま訪れた観光地で、大きな石がただただそこに存在していることを目にします。その後、立ち止まった場所で自分も石を積み重ねます。この場所にはもう2度と来れないけれど、誰かがこの石をみつけるかもしれないと思いその場を立ち去ります。
これらのシーンは、全部ひとの人生に置き換えられるなと思いました。
みんな孤独だけれど、自由なこころで人生を旅することができる。そして、誰かに見られるために石を積み上げるのではなく、ただただそこに存在して偶然たどり着いた場所で、自分だけの石を積んでいく。そういったメッセージが込められているのではないかなと思いました。
②無一文で到達した地で皿洗いと先生をして、稼いだお金で発表会と快気祝いをする
無一文で目的地にたどり着いたダイは、お金を稼ぐためジャズバーで皿洗いと、先生が体調を崩して空席になっていたサックスの指導員をすることになります。真面目なダイは、毎晩ほかのプレイヤーが舞台に上がる裏で皿洗いという雑用をすることに文句も言わず、同僚に茶化されても動じません。
また、先生の代理の仕事では1人1人の生徒の目指すジャズに向き合い自分のスタイルを押し付けることなく、相手に合わせた指導をして回ります。そして、生徒に舞台に立ってほしいという思いから、自分が舞台に立つよりも先に働いたお金を投げうって発表会を開きます。しかも、ちょうど体調を崩していた先生も回復し快気祝いも兼ねて開かれることになりました。
これらの行動は、元々のダイの真面目で誠実な性格に加えて、この前に登場したアントニオという人物に「自分のやり方を押し通すだけではなくて、相手を知ってそこから学び、一緒に高めあっていこう」という歩み寄りの気持ちを知ったことが影響していると思われます。
また、ダイはある生徒に「あなたはgiver(与える人)だね」と言われ、「そういう人はいつか沢山与えられるよ」と言う趣旨のことばをかけられます。それに「ぼくはすでに多くのものをもらっている」という返すシーンがあります。
人と誠実に向き合っていると与えている本人もその時点で何かしら相手からもらっている感覚になるというのは分かる気がしました。ボランティアをしているときなどにも思うのですが、モノやお金や名声が手に入らなくても、その活動自体から何かしら得られるものがあります。そういう体験は本当に大事だなと思いました。
③再開したのちにメンバーとなる人物を抱きしめる
後半でダイが皿洗いをしている途中に、以前メンバーに誘っていたアントニオが登場します。素直じゃない彼は散々な言葉をダイにぶつけるのですが、そこでダイは何も言わずアントニオを抱きしめて、お礼を言います。
ここには、孤独な中で自分と組もうと訪ねてくれたことと、以前あった時に相手に合わすということを教えてくれたことへの感謝があったのではないかと思います。何も言わずに抱きしめるという粋な演出にとても胸が打たれ、言葉で何かをいうより、態度や行動で示すことが何よりも伝わるんだなと感じました。
まとめ
長々と書いてしまいましたが、ブルージャイアント5巻は本当に盛りだくさんで、新しい場所で何かを始める時の心意気、相手に歩み寄る大切さ、事を成し遂げるまでの地道な努力、人に与える精神、そして言葉を超えて人と信頼関係を築く礎を教えてくれるような1冊でした。
ブルージャイアントには毎回熱く、深く感動を持って人間や人生について教えられます。現在3シリーズ目で、日本編、ヨーロッパ編、アメリカ編と長編作品となっていますが、どの世代の人が読んでも響くような青年漫画のワンピースのような作品だと思うので、ぜひ機会があれば読んでみてください。おすすめです!
☆ここまで読んでいただきありがとうございました☆
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