035 因果関係
因果関係は想像以上に難しい。そのことの認識が乏しいので議論が進まない。風が吹けば桶屋が儲かる・・というような安易な議論で満足している。多くのゴルファーが上達しないのは、その辺のことが大きく関わっている。スライスボールが出る。そのこと自体は完全に物理現象である。恐らく物理的には99%解明できるので、対策も明確になるはずである。しかしながら、そこに人間的要素が加味されると一気に難しくなる。原因が不明なので対策も分からない。ゴルフの世界の話だったら目くじらは立たない。
ところが経済の話となると大いに困る。金利のことである。自明のように安易な議論がなされている。金利を上げると景気が悪化する。だから上げられない。現実はどうなのか。米国の金利は4~5%、日本はもちろんゼロ金利である。景気はどうか。米国は過熱気味で、日本は相変わらず低迷している。
このことをどう考えるのか。まず因果関係が違っていることに気が付いた方がいい。金利を上げれば景気は上向くのであり、下げれば停滞する。このことを証明するのは極めて困難であるが、実際にやってみれば解る。
日本が失われた30年から脱却する方法は利上げするしかない。金利を上げれば、限界産業が市場から追い出されて、新しい産業が誕生する。預金金利がアップして個人消費が拡大する。経済は好循環へと向かう。困るのは借金漬けの政府と既得権益を貪る業界だけ。では、金利水準をどの程度に保てば良いのか。それが、まさしく潜在成長率に一致するのである。どうやって探るのか。少しずつ上げて様子を見ればよい。それは日銀の仕事である。