見出し画像

リーグ・アンベストイレブン2020

年末を迎えるにあたり、フランスではリーグ・アン年間ベストイレブンが各紙で発表されている。

レキップとフランス・フットボールでは以上のようになっている。今回は、この2つに私なりに反論してベストイレブンを形成しようと思う。

フォーメーションは4-4-2。守備的なチームだが、折角ベストイレブンを作るのに他と同様のアタッキング・ファイヤー・フォーメーションにするのは勿体無いだろう。バランスを最大限に考慮して編成させていただいた。
以下、選出理由となる。

GK:ケイラー・ナバス(PSG)

年間通して安定したパフォーマンスを披露。加入していきなりCL準優勝に導き、再開後もターンオーバーは多少ありながらも堅守を支えた。キンペンベの成長、チアゴ・シウバの復調、マルキーニョスの革命をもたらした外的要因というのも大きい。次点のマイク・メニャン(リール)と迷ったが、前シーズンのチーム成績、チームへの影響力の差を考慮してナバスとした。

完全なる反応系だがメニャンは判断の良さも兼ね備えている。PSGユース出身だ。

RB:ゼキ・チェリク(リール)

ゼイン・マリクではない、リールのトルコトリオの一角。タイミングの良い攻め上がりでリールの右サイドを活性化した。守備も十分。次点はレオ・デュボワ(OL)だが、WBの期間が長かったことと新シーズン開幕以降は途中交代が多かった点でチェリクより評価を下げた。チェリクも多少出場していない試合・時間はあるが、代わりがチアゴ・ジャロなのとマッティア・デ・シリオ(夏まではラファエウ・ダ・シウバ)なのでは少し印象が変わってしまう。
FF誌選出のルベン・アギラール(モナコ)は、攻撃性能こそ高いが守備面での不安が拭えず選外とした。

相当目立たない類の選手だろうが、デュボワに安定感で勝るSBは世界でもそういないはず。

モンペリエとモナコ。歩んできた道のりは彼のクラスを示している。こちらもWBで1人でサイドを支えられるだけの運動量を誇る。秋にはついにフランス代表でキャップを刻んだ。

CB:マルキーニョス&プレスネル・キンペンベ(PSG)

キンペンベは文句なし。安定感が増してパフォーマンスの最低値が大きく上がった。出足の鋭さはそのままに、素質十分だったタックルの精度も向上して最強の潰し屋への進化している。今世界で一番鋭い対人CBだろう。
マルキーニョスは6番起用の方が多かったが、その他の候補に目ぼしい存在がいなかった。消去法的な選択ではある。とはいえ、CB起用でもアンカー起用でもスピードを活かした高速カバーリングを披露して、ロングフィードも向上させてきている。どっちであろうと入れるべきなのは間違いない。
目ぼしい候補が居ないと記したが、ウェズレイ・フォファナ(サンテティエンヌ→レスター)、スベン・ボットマン(ヘーレンフェーン→リール)、チアゴ・シウバ(PSG→チェルシー)など半シーズン限定なら…という惜しい候補が居たことは追記しておく。

プレミアで驚かれているフォファナだが、2019-20シーズンの出来を見れば驚きはしない。苦労しているウィリアム・サリバの横で黙々と相手を潰してきた。

今シーズン最大の発見と言われているボットマン。既に前任者ガブリエル・マガリャインス(アーセナル)を超える働きを披露している。シーズンベストイレブンのライバルはキンペンベだが、入らなくても最優秀ヤングプレーヤーは彼で決まりだろう。

カバーリングタイプで選ぶなら彼一択だっただろう、残留していれば。PSGは新たな時代に進まなければならない。そういうこともある。

LB:ロマン・ペロー(ブレスト)

こちらも人材不足で、中下位チームの選手を選出することにした。ただし、この選手の攻撃性能はホンモノだろう。オーバーラップとインナーラップを織り交ぜてボールに絡み続けて組み立てに貢献しているのが高評価。また、3ゴール5アシストとゴールに直結する働きも多かった。身長は高くないがガッシリしているのも魅力で、数年後のメガクラブ行きもあり得るだろう。
次点はファン・ベルナト(PSG)だが、9月に前十字靭帯を断裂していなければ…。残念である。

怪我さえなければベストSBだった。早期復帰と契約延長が望まれる。

MF:バンジャマン・アンドレ(リール)、ウセム・アウアー(リヨン)、ブバカル・カマラ(マルセイユ)

中盤のMVPはアンドレだ。正確なポジショニング、激しい守備、正確なパス出しでリールの中盤を引き締めた。真の職人肌たるボランチだろう。
アウアーはもはや別格。パス、ドリブルの質で言えばマルコ・ヴェッラッティ(PSG)に並ぶクラスだ。守備はポジショニングが良く対人性能も悪くないが、もう少し激しく行ければより良いだろう。得点に直結する働きを増やす方向に行くのか、守備能力を向上させる方向に行くのかは注目である。
3人目は前線の選手、もしくはCB(マルキーニョス)と迷った末にマルセイユからカマラを選出。前シーズン2位チームから1人も出さないわけにもいかないため、バランスを考慮しての選定となったことはお詫びしておきたい。とはいえ、カマラは文句なしにOMのコアプレーヤーだろう。CB上がりで信用のおける守備とポジショニングもさることながら、運動量とパスセンスにも磨きがかかった。メガクラブも遠くないはずだ。
惜しくも選外となったが、バレンティン・ロンジェ(マルセイユ)も良いシーズンだったと思う。ただ上位互換のアンドレを外すわけにはいかなかったし、カマラの守備とチームへの貢献度の方をより高く評価させていただいたという形になる。もうワンランク上にスケールアップすれば…と思う。ロンジェ系統のボランチではリールでアンドレと組んでいるゼカも入れたかった1人だ。こちらは出場数の観点(ブバカリ・スマレ、レナト・サンチェスと出場機会を分け合っている)で外した。
レキップとFF誌の両方で選出されたエドゥアルド・カマヴィンガ(レンヌ)は攻守共に貢献度が高いが、ここに入るほどのインパクトと勝負勘はまだないと判断した。換言すれば、まだ甘いし成長の余地が多分にあるということである。より大きなクラブでの結果か、レンヌの躍進がないとここの争いには加えられないが。
FF誌選出のテジ・サヴァニエ(モンペリエ)は少し迷った。しかし、カマヴィンガ同様チームの結果の観点で外すしかなかった。彼がリール、OL、OMのどれかに所属していれば選出していたかもしれないのは認める。しかし、そうでない以上はやはり結果で判断せざるを得ない。言い換えれば、ロンジェやゼカと同等以上だとは思っている。彼の献身性とパス能力に関してはダニエル・リオロの言う通りだろう。

運動量豊富で攻撃センスに磨きをかけている印象のロンジェ。カマラが中盤にいて守備の負担が小さいのは大きいか。

デカくて巧いポルトガルの選手らしいゼカ。対戦相手やコンビを組む相手を多少選ぶ印象はあれどその攻撃センスは本物だ。使われるタイプだが、使う技術も悪くはない。

まだ細く、経験のなさを露呈するシーンはあるものの実力は本物。次のステップはPSGが理想だが、レアル・マドリーでも通用するだろう。

地味だけど良い選手の代表格であるサヴァニエ。モンペリエで刻むリズムと献身的な守備は誰でも好きになる。外すのは心苦しかった。年齢的にも来夏がステップアップのラストチャンスか。

FWジョナサン・バンバ(リール)、キリアン・エンバペ、ネイマール(PSG)

最優秀は別格の輝きを放ち続けたネイマール。組み立て、崩し、フィニッシュ全てで高い貢献度を発揮した。1年を通して大きな負傷もなくチームの最前線に立ち続けてチームを引っ張り続けたのも高評価で別格たる理由。
同僚エンバペは決定力不足に苦しむなど比較的不満の残る1年を送った。とはいえ前シーズンは得点王、今シーズンも現在トップスコアラーと結果はついてきている。こちらも別格過ぎてここに入れることに異論は出ないはずだ。
バンバはリールのネイマールとして奮闘し続けた。こちらも攻撃の全過程に貢献するウインガーで、耐久力も高い。パフォーマンスレベルもさることながら、ネイマール同様チームの最前線に立ち続けたこと、リールの厚い選手層の中でも外しにくいくらいのキープレイヤーである点を評価して選出。
選外としたが、タイプ的にはルイス・アラウージョ(リール)を入れたかったし、前シーズンにエンバペと同じ得点数を記録しているウィサム・ベン・イェデル(モナコ)もバンバが居なければ選出していた。アラウージョは前シーズンがさほどでもなかった点、ベン・イェデルはチーム成績とその他の候補との兼ね合いを考慮した。

バンバがネクスト・マネならアラウージョはネクスト・フィルミーノ。前線にスペースとリズムを提供する貴重なアタッカーだ。

行く先々で結果を残し続けるベン・イェデル。ネイマールとバンバのインパクト、マルセイユへの不可避な忖度で外れたのは異常とは分かっている。フットサル代表からトゥールーズのエースに成り上がったエピソードを持つ。

≪部門別MVP≫
GK:ケイラー・ナバス
前述の通りのため省略。
DF:プレスネル・キンペンベ
DFのMVPは個人的にはカバーリング系のCBから選ぶことにしている。DFラインを率いるのは彼らだからだ。しかし、今季はその枠が中盤起用の多いマルキーニョスだったし、キンペンベのパフォーマンスはその掟を破るに値した。あまり触れられることのないDFだが、彼の勘の良さはPSGを支えている。
MF:バンジャマン・アンドレ&マルキーニョス
先述の通り、MF部門の最優秀はアンドレである。アウアーとの二択で迷ったが、よりチームに於ける重要性が高いのはアンドレの方だろう。リールは中盤の層がかなり厚いが、それでもアンドレは外すことができないのだ。遅れたニューカマー、じき全チームのトップ。
しかし、DF部門で選出したマルキーニョスを中盤で考えるならPSGに於ける彼の重要性もまた同じくらい大きなものである。何より勝負所で見せる飛び出しを、アンカーというポジショニングを守るポジションで的確にこなせるのは異様だ。こちらも外せない。
熟考の末、アンドレの方がMFでの出場時間が長かった点も考慮して両者受賞という形で決着させた。
FW:ネイマール
受賞理由は前述の通りである。エンバペとの差は勝負強さ、バンバとの差は崩しのクオリティーと決定力である(エンバペ&バンバもその点について必ずしも弱いわけではなく、むしろ強みなのだが)。トゥヘルに与えられたウイング型10番の地位を存分に活かすばかりか、8番にも10番にも9番にもウインガーにもなった。この万能性は唯一無二だろう。
≪総合MVP≫
ネイマール
実力的受賞理由は先述の通りだ。総合MVPに置いた理由は、チームリーダーとしての評価である。相変わらず負傷者の多いPSGに於いて、勝負所では最前線に立ち続けて決定的な働きを続けたことを最大級に評価した。
次点はマルキーニョス。こちらもネイマール同様決定的な働きを戦いの最前線で披露してきた点ではネイマール同様最大級に評価されるべきだろう。勝負を分けたのは、チームに於ける重要性だ。ネイマール抜きとマルキーニョス抜きで比較して、前者の方がカバーしきれないと判断した。
ナバスとキンペンベもコアプレーヤーだが、ネイマール&マルキーニョスよりはリプレイスメント可能だ。具体的に言及すればナバスに関してはGKの割には欠場試合が多少あったこと、キンペンベに関しては3バックでのパフォーマンスが若干落ちる点がマイナスポイント。とはいえこのレベルになればほぼイチャモンなので気にしなくて構わない。アンドレはチーム成績の観点で総合MVPには選べない。今季リールが優勝すれば彼を選ぶことは約束しておく。
≪この項・了≫
筆:変態糞幼女愛好家
追記:反論とおすすめがあれば教えてください
お詫び:冒頭のカバー画像に映す価値なしの人物が映っていました。謹んでお詫び申し上げます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?