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3-5. 最悪の現場で得た最高の物

東京基準で先週から完全に夏日に入った感じで(個人的です)もう梅雨にも入りました。

え?今年春があったけ?
4月の桜開花後にも雪が降ったし、
5月までひんやりした記憶はあるけど…
なんと言ってもCOVID19の影響ですね。

とにかく夏が始まりました。
夏といえば、仕事中でいくつかの人生終了まで残る
思い出がありますが、
その一つは2015年8月下旬に入ったばかりの出来事。
当時は添乗員の仕事はベースだったが、
そもそも派遣会社所属だったのでたまには
別の仕事にも呼ばれました。

いわゆるイベント系のスタッフですね。
基本的に同じサービス業なのでお客様の誘導や案内がメインで、
真夏でも涼しい標高約1000メートル朝霧高原でのある超有名人歌手のコンサート案内、誘導スタッフで2日間の仕事でしたが、朝早く始まるので前泊含め3日のスケジュールでした。

ところが、緊張するべきわけがありました。
コンサートのタイトルが「朝霧高原で10万人参加する〇〇Live!」
そう、10万人…
想像出来ますか?
当然自分も想像出来ないまま東京から待ち合わせの富士駅まで(ローカルで)…

規模が規模だけに、1級レベルの旅行系イベント会社の主催で、全国からスタッフが集まりました。
自分所属の派遣会社も全国支店があった為、
初めて他支店からの仲間とも出会いました。
むろん、うちの派遣会社も全体の一部にすぎませんでした。

早速、現場での下見、
夜遅く宿に着いて
いよいよ翌朝、

スタッフ専用のタイトルが刻んでいる青いT-Shirtsを着て三島駅で派遣されました。
10万人のあつまりはやはり安全事故の恐れがあるので三島意外にもいくつかの駅へ分散誘導、
そして、各駅から現場までのシャトルバスで運ぶ。
簡単に思われましが、現実はそうでもありませんでした。

噂によると東京都のほぼすべての貸切バスが手配されて一部の観光が麻痺されたそうです。

朝から30度近くの猛暑が始まりました。
共に航空機で、新幹線で全国から来た観客たちの行列が始まりました。

シャトルバスが時間になっても来ない。
行列が予想より長くなる。
あまりにも多い人数なので各エリア別分けてあるほど抑えて次々順番で移動させる。
でも、予想を超える事でコントロールに少しずつひびが出来てしまう。
コントロールタワーも慌ててうまく指示ができなくなる。
現場で観客たちと正面で接していた僕らは
上からの指示が来なかったり、
正しくない指示が来たりして
従って慌てる、

何より
とてもとても暑い!

一列からクレームが出てくる。
参考としてこの歌手のキャラクター上、
結構ワイルドな観客(?)が多かったです。
「おい、いつまで待たさせる気?」
「おらお前、いい加減にしろよ!」
「もしかして、お前外人なのか?」
等など……

……

お互い尊重すればいいのに…

怒りを抑える為とにかく謝るしかありませんでした。

辛い経験だったけど、一緒に苦労する仲間たちが
いたので何とか無事に過ごしました。

前日はビジネスホテルシングルルームに泊まったが、
くたびれたこの夜は数十人のうちのグループが到着したのは
地元の健康ランド(?)でした。

男女で別れてお休みなさい!
ええ?まさか?
前日は呼ばれたスタッフが割と少なかったですが、本日は合流人数を考えて
おそらく経費を抑える為だったと思います。
もちろん、全員ほぼ眠らず、
翌朝を向きました。

翌日は朝5時15分朝霧高原現場集合。
雰囲気はほぼ戦場にでる様子。
そして、

昨日は子供のいたずらかオードブルレベルでした。

帰りも多い人数でシステムがうまく回らない。

まさに、立っているだけで怒られる。
殴られそうな雰囲気。
「おい、お前!!俺さあ、帰りの飛行機間に合わなかったらお前に訴えるぞ!!」

困ったな…

その時、

隣のエリアでも同じ場面が見えました。
大阪支店帳の自分より少し年下だと言われたスタッフ。
彼の対応が私の目を注目させました。
正直、自分はそういう観客の目が怖くて
控えるばかり、
ただ、頭を下げるばかり

ところが、彼は相手の気持ち悪くしない範囲で
目を合わせながら不足でもすぎることもない
微妙な笑顔で
等々に対応する。

これは
海の真ん中に一枚の葉っぱ落ちる
小さな動きでしたが、
自分の胸にはまるで
ビックとリア滝の動きでした。

ああ、
そんな場面で彼の動き、表情まで夢中になって
集中してみました。

びびるな!
逃げるな!
わがままは良くないけど
たとえ、こんな状況だけど
君が何でここに立っているのか
君はこれしかできないのか
感じろ…

大阪支店長を殴りそうだった観客も
彼の優れた対応で最後は
笑いました。(本音は知らんけど)

以後は彼のレベルまでには全然至らなかったけど
頑張って何とか無事に終わりました。

このコンサートは自分だけでなく
参加したほぼ全員のスタッフに
トラウマを残しまして
今までも伝説として
たまに話題になっています。
派遣会社もまさかこのレベルだとは思わず、
謝った騒ぎ(?)でした

ところが、主役の歌手はサスペンションをアップする為、
現場までヘリコプターで極的に登場したそうで、
もしかして一瞬顔でも見れるかという僕らの期待はばらばらでした。

でも、大きい事を悟りました。
逃げない
慌てない
出来る限り相手の目に合わせる
相手も自分の様子を見ながら反応する。

これは以後の自分の添乗仕事はもちろん、
人生にかけて大きい影響を受けました。

年はどうでもいいです。
バタバタであまりお話も出来なかったですが、
当時の大阪支店長、
本当にご苦労でした。
ありがとうございました。

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