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白頭山(はくどうさん)の死#1(プロローグ)

俺が過ごしている白頭山(はくとうさん)麓は地勢がかなり険しいですが、秀麗で結構神聖な神様の気が感じられ、いわゆるホットスポットとも人間たちは言うような所です。

僕らは関係ないが、人間たちはこの山の中央部に勝手に線を引いて「国境」というようです。僕としては全く意味が分からないです。

この山は規模が規模だけにいくつのエリアがありますが、人間に許されているところはほんの少しで、未だに大昔の原始林をそのまま持っています。

ところが、人間たちはまるでこの山を全て征服し、この山の全てを知っているように威張っている様子は情けないことです。

とにかく人間の数値で言うと海抜2744メートルこの山の頂上にあるクレーター(火口)龍王潭(りゅうおうたん)から流れる支流が高い絶壁から落ちて巨大な滝を作り、

その流れはまた別れていくつかの小さな滝を作ります。

その中の一つである「ママの懐」池辺りは僕が生まれた僕の元でもあります。「ママの懐」は深くも浅くもない池で、屏風のような崖に囲まれた半透明の水面の中には結構大きい魚が遊んでいるこの風景を人間がみたら正に「神の世界」と感嘆すると思います。

「ママの懐」池はまるでママの懐の様にふんわりして穏やかな感じだから僕が付けた名称です。

日差しが暑い時は「ママの懐」池にじゃぶじゃぶと飛び込むと泳ぎます。

すると驚いた魚たちはあちこち逃げます。僕はもっといたずらしたくてあちこち追いかけます。綺麗だった池は僕のせいですぐ濁ってしまい、魚たちはもう見えなくなります。僕が出ると半透明に戻ります。

お母さんは時には怖くて時には優しくて勇敢です。

毎晩、横になる前お母さんはこの辺で一番高い峰に一気に登って月光の下で迫力ある大きい声で「ガオー」と鳴きます。

その朗々とする鳴き声は山の下、奥までエコーが響いて、まるでブーメランみたいに戻ります。

山に過ごしている他の獣たちは皆怖くて自分の居場所へ戻ります。

お母さんのこの鳴き声はこの世界の王としての存在感を表すと共に、もう夜が深いからという時計の役割もします。

そんなお母さんを観る彼らの目つきには敬い恐れる気持ちが感じられます。

僕はこんなお母さんが自慢で信頼できます。僕も成長したらきっとお母さんのようになろうと思います。

一方、人間たちは自然の中で僕ら種族である虎がこの白頭山でもう絶滅したと錯覚しているようが、僕らはご覧のように堂々と過ごしています。

お母さんによると僕ら種族はもっともっと大昔もっと寒い北部からここまで来て既にこの辺に過ごし始め、繁盛したが暴悪な人間たちが現れ「銃」という武器で僕らをたくさん殺したそうです。

僕は生まれてから今まで銃という物を見たことがないですが、人間というものがそんなに恐ろしい存在か怖い気分と共に好奇心もあります。

お母さんは言います。

人間の目を見るとその魂が見えるっと。

人間はこの世で特別な存在なのでやむを得ずの場合を除いて決して害することは控えると。

普段人間と出会って目が会うとほとんどの人間は恐怖でそのまま気を失いますが、たまにはある人間はその目つきで源泉を知らない雰囲気と力が感じられ、むしろ虎である僕らを当惑させる場合もあると。

昔はそういう人間も割と多かったが、最近はほどんどいないと。

いいことか悪いことかよくわかりかねます。

とにかく、人間のせいで僕ら種族はこの山でほぼ消えてしまい、残ったのはただお母さんと僕だけだと知っています。

お母さんは僕ら種族は神様の意志で世の全ての獣の中で一番勇敢で優れているだけに神様と自然に従って欲を抑えて他の獣と共に調和しながら想像するべきだと。

僕はお母さんの教えに従って大自然に恵まれて幸せな日々を過ごしました。

先も述べたけど優しいお母さんは時には厳しかったです。

あの年はとりわけ雪がたくさん降ったから恐らく僕が二歳半頃だと思います。

               <続く>

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