2-15. 添乗員の作業-精算
ツアー自体は終わってもまだ精算作業が残っています。
前回にも述べましたが、どんなに添乗員として腕があっても
精算を間違えたり、しっかりしないと添乗員以前、
社会人としても失格です。
精算=信頼です。
実は自分は何となく数字に弱い人間なので
この精算は特に気を使っています。
一件の団体ツアーには業者さんとの数多くて
いろんな形の取引があります。
簡単にいうと
添乗金ー実際使ったお金=残金が
根拠になる領収証や証明書、書類と1円までピッタリ合うというのを
時間、分野別に整理して証明する作業です。
単純に見えますが、その中身は複雑です。
お客様、宿、交通機関、レストラン、オプション商品やツアーの業者さん、観光地、施設、機関、そして自分を相手に
旅行会社の指示に従って前払い、現地払い、後払い、クーポンやスタンプ、割引などを行います。
旅行会社によってスタイルは若干差はあります。
極端の場合、当日バスの中でお客様一人一人に旅行代金を集金する旅行会社もありますが、ほとんどは事前払いで追加、変更、オプションなどがある方のみやり取りします。
そして、宿やJR新幹線代金など、桁が高い取引はやはり財布が怖いので
大体、旅行会社と相手との合意で支払い方法が決まり、
添乗員は現場でその他、変更、追加事項のみ対応します。
精算で怖いのは何と言っても計算上と実際上の金額が合わないことです。
原因としては
①財布を必ず、分ける!
つまり、添乗金と自分のお金が混ぜたらその後が大変なので言われる鉄則ですが、
現実ではバタバタする現場でおつりや両替の問題もあり、つい自分のお金とあるほど混ぜます。
この場合は必ず、メモなど記録を残しておかないと忘れてしまい、清算が辛くなります。
自分の場合、(宿泊ツアーの場合)その日寝る前は必ず、一日のお金と領収証の整理はしておきます。
②現場での計算ミス!
バタバタして上に述べた取引の相手との計算ミスで最終残金が合わないケースも多いです。
事務所で落ち着いたら別に問題ないですが、お客様とのオプションや変更によるやり取りは大体走っているバスや列車中で行います。
揺れる社内で腰も膝も下げてやるこの作業は意外と間違えやすいです。
6人グループお客様が一人ずつ計算を要求する場合、おつりなどがどうしても不足。
「じゃ、恐れ入りますが、メモして後ご用意しますね」
が何件か重なるなど…
観光施設やオプション商品の販売先とも
旅行会社側と予め合意した単価に勘違いがあり異なるなど
考えられます。
③領収証漏れや紛失、記入ミス
様々な規格の領収書もバタバタする中、
お互い慌てて忘れたり、金額を間違えて記入したり
後は添乗員がツアー途中に紛失する。(再発行ができれば幸いですが、有料道路(ETCカードが通用されない)代の領収証など、出来ないのもあります。
著しく相手のミスでない限り全ての責任はツアーを現場で行った添乗員が取ります。
添乗金ー実際使ったお金=残金がプラス(?)になることはほどんとなくて
マイナスになる場合は結構あります。
という事で、現場での精算や取引は慌てずに、真面目にきちんとやります。
金額の整理が終わったら今度はツアーの内容の精算です。
日報の記録は基本です。
到着、出発時間や現地の施設や周辺環境までなるべく細かく記録します。
これは次回の添乗員にとても大事な参考になるからです。
こういうシステムで自分含めて、皆助かります。
後は、特異事項やトラブル、クレームなどツアーであった事も記録します。
もちろん、問題になりそう大きな事故や事件、クレームなどのトラブルは
その場ですぐ報告しますが、その以外は精算で記録します。
アンケートも評価別に分析します。
こういう事項は旅行会社として状況把握や改善、修正に係る大事な参考になります。
お金の証明、書類、内容の記録が全て問題なかったらまとめて報告書の形で提出します。
ツアーの担当者はそれを検討して後、添乗員と対面しながらツアー全般を話します。
ツアーの評価や結果によって雰囲気は変わります。
残金は経理担当に戻します。
バッチ、旗、、ETCカード、オプション商品資料、未使用書類様式や借りた資料を全て返却すればやっと精算作業が終わります。
派遣添乗員としては非常に厳しいことですが、
精算作業も打合せと同じ様に、1時間で終えても、一日かけて終えても
時給による代価は限っていますのでスピードで正確にさっさと終わらせるのが賢明な人(+_+)です。
前回も述べましたが、大体精算のみではなく
次のツアーと続くので終わったら今度は新しいツアーの打合せが始まり!
正にメビウス輪の様な無限ループです。
他の様々な現場でもそうですが、
こんな厳しい現実にも関わらず
黙々と自分のポジションでプライドを持って
皆真面目に働いています。
世の中は
誰かの仕事で成り立っています。
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