2-5.「鞭も先に打たれた方が良い!」社会デビューの方へ!
「鞭も先に打たれた方が良い!」
ある国にはこういう言葉があります。
人生やビジネスにとって
不運なことも、悪いことも、極限のあらゆることも
やられるなら先にやられた(?)方が予防接種(経験)になる。
という意味です。
2015年5月○○日
今度は新幹線ツアーデビュー!(新幹線+現地でガイド付きの観光バス)
うちの派遣会社は優しいです。
バスーツアーに少し慣れても交通機関が変わったので
僕のサブ添乗にお世話になった先輩と共にダブルエースとも言われる
超ベテラン先輩をお付けさせてくれました。(現地で2台バスに分ける)
この先輩と言えば現在は引退されたけど、
いわゆる伝説のベテラン添乗員として知られていました。
彼はもっともっと登山(トラッキング)専門で
日本の名山を回ったそうです。
ある日お客様との登山中、
参加された一人のお客様が途中で大きい山のハチに刺されて
呼吸混乱状況になったそうです。
その時、先輩は自分も数回刺されながら、
そのお大人の客様をおんぶしてさっさと下山し
結局、病院に連れて助かったと。
参考として先輩の当時年齢は60代後半でした。
尊敬するしかありません。
その他にも2014年いきなり噴火して58人の死者を出した御嶽山噴火の時の話など
正に伝説の者でした。
じゃ、話戻りますね。(;一_一)
皆さん、「ミュージック花火大会」ってご存知でしょうか?
交響楽団のハイクオリティ生演奏×迫力抜群の花火コラボが目の前で!
凄いですね。
毎年全国を巡回しながら開催されています。
今回は福島県でした。
花火をみて翌日は名所である五色沼辺り散策も。
先輩1号車、僕2号車でそれぞれお客様は分けていますが、
新幹線利用ルートは大体一緒です。
旗を持った添乗員の引率でわいわい並んで移動する姿は東京駅などで
たまに会える風景ですね。
5月なのに異常高温でとりわけ朝から暑かったあの日。
集合場所である東京駅日本橋口には目立つグループがいました。
大体60代後半から70代に見えるシルバー層の5人組のお客様。
出発前から椅子もない駅構内大理石底(?)に丸々座って飲み会が始まったわけ。
朝から盛り上がり!
まさか…
不吉な予感はいつもです!
期待(?)に外れず2号車(僕)のお客様でした。(-_-メ)
まあ、いいですよ。経験だからさあ…
今度は先輩もいるし、さあ…
5月なのに気温は30度近く、
とにかく暑かったです。
先輩のサポートで何となく進んで
バッチ配り、人数確認、ご挨拶そして
いよいよお客様たちをホームまで引率、
大型バス2台分の100名近くの人数の引率は
自分の神経細胞全てを使うような大変な仕事ですが、
その間ホームでお弁当業者さんにも会えて
オプションのお弁当箱も受ける。
何とか無事に新幹線乗車。
当然、乗車した先のグループも本気の飲み会が(もう二次会ですね(;一_一))!
とてもとても楽しそうです。
もちろん、添乗員は座る暇がないです。
座席の確認、後途中乗車待合、
オプションの弁当配り、
代金のやり取り
一服したら間もなく
下車地である郡山到着、
案内、確認、引率、現地バスとの連絡
現地観光バス2台に乗車
合わせて三次会も開始!((;一_一) 盛り上がれ!!!
郡山は昼間という時間帯も合わせて東京より高かったです。
一か所観光地寄ってから
早速、「ミュージック花火大会」が行われる「あずま総合スタジアム」に到着しました。
予測する方もいると思いますが、
花火大会ツアーはお客様としてはとてもロマンチックで楽しいツアーですが、
添乗員の立場でこのようなイベント系のツアーは渋滞や混雑さでクレームされやすい
ほぼ地獄(?)のような極限のコースです。
スタジアム駐車場には僕ら以外にも見るだけでも百台を超えるバスがずらりと。
大型バス一台に大体40~49人乗れるので人数計算はお任せします。
球場に到着し、バスから降りて切りがない人並みを先輩の指揮でかき分けて進み、
やっとスタジアムの座席までたどり着く。
お客様を案内済。
先輩の冷静な指揮のおかげです。
この瞬間には先輩がナポレオン(?)に見えました。
先の最強5人組は四次会!
「乾杯!!!」
大丈夫かしら。
球場はどんどん盛り上がりの状況ですが、
ホッとした先輩と僕の仕事は終わっていません。
イベントが終わってからの動線をシミュレーターしたり、
バスから近いトイレ確認など、
今夜の宿泊先への連絡などもあり
歩いて10分ほどにある団体バス駐車場に一人で戻りました。
その時でした。
自分の業務用携帯電話がいきなり数秒の時間差で相次いで鳴りはじめました。
???
不吉な予感が…
「ねえ、ねえ、!添乗員さん!」
「緊急!」
「早く来て!」
「お客さんの高齢者一人が痙攣起こして倒れているよ!
あ、危ない!」
!!!!!
的中しました。(@_@)
電話に出る手が震えました。
心臓拍動も緊迫!
頭真っ白!
先輩に連絡しなくちゃ!
スタジアムに走りながら先輩に連絡し、
途中で合流しました。
そして、言われたお客様の所へ着いたら
まさかの5人組グループのお客様でした。
飲みすぎです。
痙攣、嘔吐。
パニック!
年齢もあるから持病があるかも心配でした。
それからまた先輩の信じられない大活躍が始まりました。
テキパキ!
その通り。
スタジアム事務所に連絡、
職人が来て球場にある保健室に患者のお客様を運んで
医療スタッフに診察を受けました。
……
熱中症でした。
年齢を気にせず
猛暑に飲みすぎた結果です。
幸いに痙攣も止まって
意識も戻りました。
ああ、良かった、良かった…
自分も知らないうちに安堵の息と共に涙がでました。
これからは無条件安定です。
患者さんの以後行程も当然キャンセルです。
その後事務的な手続きを行って患者になったお客様は
同行されたグループの一人の方とツアーから離団し、
そのまま東京に帰りました。
これで収まって良かったですが、
初経験の自分としてこの出来事はかなりのショックでした。
でも、ツアーはまだまだなので
これはこれで
また翌日まで続きました。
先輩はそんなことにも慌てず、
自分のペースで残り行程を指揮しました。
先輩の代わりにウィンストン・チャーチルさんが立っていました。
自分一人だったら絶対絶対
こんなスムーズに行けなかったと思います。
ささが、ベテランとしてのカリスマが輝いたツアーでした。
何の事があっても
慌てない!
急ぎはすべてを壊す近道!
落ち着け!
特にお客様を引率、案内する添乗員は
お客様が動揺しない様に
表情管理から行動、
心までしっかり!
添乗員の業務という範囲を超えて
人生全般にかけて響く先輩からのメッセージは
以後自分にとって非常に大きい影響を与えました。
今まで、
これからもずっと。
先輩、ありがとうございました!
お客様、お大事に!
飲みすぎは辞めましょうよ!(-_-メ)
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