「上陸旅」#3.3,776
霧に雲に囲まれて
シルエットに見える
永遠に続きそうな
目の前の広がる
くねくね登り山道を見て
一抹の後悔もあったが、
ここまで登った以上、
もう進しかない
仲間たちと笑顔で
標高2,305m五合目を出発した
ただの数時間前こ事が
はるかに遠い
過去の時間みたいに感じられた。
体はもう
辛い!!!と
悲鳴
地球の重力から
人生最大逆らうチャレンジなので
こんなのは
おかしくない
元惑星から
頭が複雑な時には
胸がもどかしい時には
山へ向かった。
無念で
無口で登る
山は
たまには
人生の悩みに
答えてくれた。
この惑星上陸から5か月
仕事まで辞めて決めた
この選択は正しかったのか、
この冒険は成功するのか。
この雄大な自然との出会いは
必然だったのか
3,776まで到達すると
答えを得られるのか
見たこともないふしぎな風景が続く
高い気圧のせいか薄い酸素のせいか
青空は海の様、
より近く感じる
帽子はもう
高いペンスの外へ投げられた。
自分から投げた。
この以上
取りにペンスの外へ行くしかない。
この山のここまで来た以上3,776まで行くしかないと
同じの様に、
この惑星への冒険も前を見て進むしかない。
その時、
空のあそこから小さな飛行機が見えた。
「あ?」
ただの太陽の反射?
飛行機から一瞬、明るい光が見えた。
もう雲の中に姿を消えたが、
何とか気になった。
勝手な想像だけど、
まるで飛行機で
誰かが自分にシグナルを送った…
「そんなはずはないだろう…」
「ダニエル、早く来いよ!」
「……」
空想で夢中だった自分を
もう先登って一服している
仲間たちが呼んだ。