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辞職旅#5.登別地獄谷で出会った自分

2012年1月6日金曜日、東京出発3日目...

年末辞職後、ローカル線限定の東日本&北海道フリーパスで去った一人旅。

1day:東京(上野)→古河→宇都宮→黒磯→郡山→福島→仙台→一ノ関→盛岡(カップル泊)<自宅最寄り駅含めて9回乗り換え>

2day:盛岡→八戸→青森→蟹田→木古内→函館→森→長万部→洞爺(地元に恵まれ閉めた宿で素泊まり)<8回乗り換え>

3day : 洞爺→東室蘭→苫小牧→✅登別→札幌

洞爺からローカル線で寄ったのは登別。

雪だらけの地獄谷へ登る

歩いて歩く…そしてまた歩く…

残っている体力を最後まで絞って

消耗させる。

気化させる。

真冬なのに背中は汗がびっしょり。

何で僕は今ここまで来てこの荒い山道を一人で登るのか。

実は…今の自分を認められなかった。

いや、どん底まで落ちた今の自分を

現実を

実は、認めたくなかった。

思い切って

今までの自分をすべて消耗し、

丸ごと捨てる。

東京から917キロ離れたここ

北海道登別を歩いているけど、

実は自分の心の奥に向かっている途中


世の中は広くて奇異だ。

自然からみると人間は微々たる存在。
地獄谷、この大自然の風景に出会うとその素肌で伝わる。

山を登るほど周りにすれ違う人跡はどんどん少なくなってきて

道は狭くなる。沈黙は深くなる。

そして
目の前広がる雪積んだ小道に俺は一人ぼっち
未知の大自然との出会い。 
雪道を進む自分の足音、
荒い息の音


謙虚な心持じゃない者は足を許せないような気がする道。

雪積んだ酸と硫黄成分で荒涼な丘、

そして、80度もする川と湖、

目の前で沸いている真っ黒の沼…正に地獄谷だ。

その熱気は気化し、濃霧を作り、

すぐ前も見えない非現実的な現実

自分の現実を見るようだ。

自然温泉の熱気は雪も溶かして小川になり

流れる硫黄、鉄分成分の熱気で周辺の風目の前は危険地帯。

荒涼。

圧倒される。

別の世界のようだ。

人足は完全に切れて道まで深く積もった雪で切れた。

頭だけやっと見せた葉で竹林というのが分かった。

幸いに誰かが道を開けておいた。

道を迷わないように旗で印しまでしておいた。

ありがたい。

自分も誰かを助ける道になりたい…

膝まで積んだ雪畑に体を任せる。

そこにはもう一人の自分がいる。

向こうの自分が言っている。
[お前、正直言って見ろう。
これがお前のベストなのか? 最善なのか!
言い訳ばかりじゃなかったのか!]

あ!

その一方

意外と

雪マットは思ったより柔らかい。

[おい、KYなのか?]

仰向きで空を見る。

「お前生きている?」

青空に浮いでいる雲が優しく聞いた。

「はい!何とか生きています。」

向こうの自分はあきてしまったかなぁ…

積もった雪で下り道は登りよりもっと厳しい。

向こうの頂上にはなぞの煙が出る。噴煙? 

ぐらぐら沸く沼地帯。

近づいてみると臭いもすごい。

目の前広がった風景で恐ろしい気分まで感じる。

大自然の前で一人で立っている。世の中一人のよう。

帰り道に迷ってしまった。

ついに一人ぼっち。

静かに雪道は厳しくて足も痛くなって、山地帯だから太陽も早く沈む。

急がないと遭難されるかも...

厳しい!

......
怖い気持ちで迷った道

やっと出口にたどり着いた。

気づいたら知らないうちに道を途中から間違えて

立入禁止エリアに入ってしまったよう。

道を迷ったということがおかしくない。

事実を知って更に怖くなった。

運がよかった。

現実はどん底まで落ちても

命を心配する正直の自分に会った日

まだ生きたいという

奥からの自分の声と会った日

まだ諦めたくない自分に出会った日。

登別地獄谷の大自然に自分を向き合ったあの日。


 

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