憧れの異世界転生?!シンデレラが自立(家出)するには…/小説⑫-3/ストレスジャンププール
驚きで言葉が出ない…
言葉や暴力による虐待だけでなく、お金まで奪われ搾取されていたのか…
シンディーは家族から、奴隷や囚人の様な扱いを受けている…
「…私なんて、、、
私なんかが、、、
幸せには、なれないんですよ…
はぁ〜
儚い夢だったな…
王子様と結婚出来たら、ここじゃない、どこか違う世界に行けると思ったんですよ。
けど、ダメでしたね…
今日、魔女さんに出会えなかったら、面接会場に行ってしまう所でした。
魔女さんは、私が嫌な事や聞くたくない事も、私の為に言ってくれたんですよね…
変わらない日常や、変えられない毎日に、ただ心を押し殺して、、、
家族の機嫌を伺い、気に触る事をしないように、細心の注意を払って暮らしていくしか、ないんですよね…」
シンディーは乾いた笑い声を上げ、虚ろな表情になった…
シンディーの為と思い、本当の事=事実を伝えたが、現実の痛みや苦しみから逃げられる唯一の希望を、奪ってしまったのか…
違う世界に行きたいか、、、
あたしが、いつも考えている異世界転生と同じだよな
けど、それが叶わなくても、、、
……
……
「実はさ、あたしの親やきょうだいも、碌なもんじゃなかったのよ…
そりゃあ、育てて貰ったり、多少はいい所や優しい時もあったわ…
でも、人として許されない事・一線を越える事を、何度も何度もされてね…
それでね、離れたり近づいたりを繰り返しながら、家族と絶縁したの…」
「えっ!?魔女さんがですが…」
「…ええ。
どうしたいのかは、シンディー自身が決める事だけど。
もしも、この家から出たいと思うなら、あたしの経験を、シンディーに伝える事はできるの。」
……
「魔女さんの、お話しだけでも聞いてみたいです。
今すぐ私が、何か出来るとは思えないですが…」
「ええ、わかったわ。
それにね、今は、それでいいと思うわ。
この世界…この国の制度をあたしは詳しく知らないから、家を出る為の心構えや心の持ち方を伝えるね。
そもそもシンディーは、家でも外でも働いているから、自立が出来る素養が十分にあるのよ。」
「えっ!? そうなんですか?」
「ええ、そうよ。
あたしが噛みついた、シンディーに暴力を振るっていた女だけど。
あの女は、シンディーに強く嫉妬していると思うの。
だって、シンディーの方が、内面も外面もいいし、カワイイしね。」
「そ、そ、そんな事、初めて言われました💦
私が羨ましいとか、嫉妬される事なんて、あるわけないと思ってました。」
「シンディー、自分に自信を持っていいのよ。
あたしも、そうだったけどね。
自己肯定感…自分に自信がなくて、他人を怖れて不安を抱えながら生きてきたから、仕方のない事だけど。
それにね、自分の現状が幸せで楽しく満足している人なら、自分の事で急がしくて、他人に不必要に関わらないし干渉してこないのよ…
あの女達が言う事を、シンディーが真に受けなくていいし、受け取る必要はないわ。
聞いている振りをして、聞き流せばいいの。
人の悪口を言ったり攻撃してくる連中はね、自分自身の問題から目を背けている暇人だから。」
「真に受けなくていい、、、言われた事を受け取らなくていいんですか?」
「そうよ。もちろん、一度で出来るようにはならないから、実際の場面で練習や訓練が必要になるわ。
酷い事や心が傷つく事があった時、あたしが言っていた事を、少しでも思い出して貰えたら幸いだわ。」
「はい。」
「給料…お給金を取り上げられているのは痛いわね…
少しずつでも、こっそりお金を貯めて家を出る際の資金にしたい所だけど、、、」
「…お給金の事は、ずっとずっと悔しいと思っていました。
実行に移すのは、とても怖いけど、方法があるかもしれません…」
「うん。いい方法が見つかるといいわね。
ねえシンディー、他人に対して、どこか優し過ぎたり、変に甘いと思う事ってない?」
……
……
「…そういえば、心当たりがあります。
いい人・優しい・真面目と、外で働いている時に言われた事があります。
けど、家族と似ていると思う人から、失礼な事を言われたり、無理無茶な事を要求される事が…
人が違うのに、似たような事や同じ様な事が起きるんです…
はぁ…」
「あたしもね、よくあったの。
本来は、対等であって欲しい人間関係で、言いたい事を呑み込んだり、しなくていい我慢ばかりをして、生きるしかないと思っていたからね…
人間関係で優位に立ちたい人や、あたしから何かを奪おうとする人間に、いつも目を付けられてしまうの…
そんな人は、自分に自信のない人か、心が病んでいる人だから、、、
関わらない・親身にならない・考えないに、越した事はなかったんだけどね…」
「そうだったんですか。」
「ええ。
後ね、人との関わり方、感情の反応や行動の癖を見つめ直して、ちょとずつ・ゆっくりて大丈夫だけど、反応や癖を修正していく事も、必要になると思うの。」
「反応や癖ですか?」
「ええ。何か言われたり、何かをされた時にね、それが好ましい事でも、不愉快な事でも、感情がまず反応して起こるの。
次に、どうするか考えて、どう行動するかは、無意識の癖で対応や対処している事が多いのよ。
感情の反応と、考え方や行動の癖を、一歩引いて自分の後ろから見ようとする感じかな?
変えなくていいものは、そのままでいいしね。
自分にとって良くない・自分に優しくない・自分を大切にしていないと思う事だけ、新しい癖を少しずつ身に付けていくの。
小さな一歩で十分だから、行動してみること。
言葉・考え・行動は、相互に作用しているから、ゆっくり少しずつで、自分でも気付かない内に、新しい癖が身に付いていく感じかな。」
「そうなんですか。」
「後は、自分と他人に対する期待の調整ね。
他人に対する期待は、こう言う事を言って欲しい・こういう事をして欲しい・こういう人であって欲しいという、言動・行動・人間性に対する期待ね。
家族なら、温かく・優しく・安心できる関係であって欲しいと、期待してしまうじゃない?」
「あっ、、」
「いつか、心を入れ替えて改心してくれる…
いつか、過ちに気付いて謝ってくれる…
いつか、自分を大切に尊重してくれる…
家族だから…
長年、期待と失望を繰り返したけど、いくら期待してもね、何も変わらなかったの…
期待するのを諦めるとね、関係性が無くなってもいい=疎遠や絶縁の道をね…
家族に、他人に、過度に期待するのを止めるとね、人間関係がちょっと楽になるのよ。
こいう人やこういう所(困った所)が、あるから、いくら期待しても無駄だよねって、割り切り易くなるのかな。」
「そうなんですね。」
「ええ。
自分に対する期待だけど、自分との約束を、どれだけ守れているか。
こう言おう・こう行動しようと、心や考えて決めた事で、その時に無理のない内容や範囲の約束ね。
ただ、初めての事や、とても勇気が必要な事だと、不安と恐怖で怖気付いてしまう時もあるわ。
その時に、約束を守れなかった自分にがっかりしたり、無力で意気地のない自分を責めてしまう。
どうせ、私なんて…
どうせ、私なんかが…」
「……」
……
……
「シンディー、その一度にたくさんの事を伝えてしまって、ごめんなさいね。」
「い、いえ。大丈夫です。魔女さんが言っている事、理解はしてます。
ただ、初めて聞く事ばかりで、実際に私が出来るのか、難しそうだと思うんです…」
「急がなくても、ゆっくりで、少しずつで大丈夫よ。
何か困った時に、あたしが何か言ってなあと、思い出して貰えたらね。」
「はい。」
「そうだシンディー、何か楽しい事や好きな事ってある?」
「楽しい事や好きな事ですか…
あっ、、
歌が、歌が好きなんです。
歌の歌詞に勇気を貰えたり、歌っている時は、辛い事や苦しい事も、ほんの僅かですが、忘れられる時があって。
で、でも…
家の掃除を終えてから、小さな声で歌っていたら見つかってしまい、酷く怒られた事があって、、
それから歌う事が、怖くなってしまって…」
「そうだったの…
歌いいじゃない。
あたしも好きよ。
よかったら、少し聞かせて貰ってもいい?」
「えっ、でも…」
「大丈夫、大丈夫。あの女達の気配はしないから、この部屋に来る事はないわ。」
……
「そ、そ、それなら、ちょっとだけ…」
シンディーは、小さな声で歌い始めた
聞いた事もない歌だけど、楽しそうな表情に変わってホッとした
まったく、家の仕事もやっているのに、歌う事すら、目くじらを立てるなんて、なんて家族だろうか…
否、シンディーだけは家族と思っていないし、酷い扱いをしていいと思っている
最低だ
そういえば、元の世界では、授業中に歌う事すら禁止されて、
"心の中で歌いなさい"
ってなってるんだっけ…
自由を奪って、虐待なんじゃないの?
どうして元の世界の事を、不意に思い出しのだろう?
うん?!
なんかいい匂いがする!
部屋の外だろうか?
歌っているシンディーを横目に、そっと部屋を出ると、廊下にチーズが置いてあった🧀
あれ?!
どこかで見た様な気もするけど…
どうして廊下にあるのかな?
チーズは普段、ハンバーガーやピザを食べる時位にしか、あたしは食べないけど、、
ネズミの身体になったからか、空腹でもないのに、強烈な食欲が湧いてくる…
食べたい、食べたい、食べたい
食べたい、食べたい、食べたい
足が勝手に歩みを進め、チーズが目鼻の先まで近づいて、、、
ドン!!!
鈍い音がして、足に激痛と電気が流れる感覚が全身を駆け巡る⚡
…な、な、なにが起こったの?
痛みの元へ、視線を向けると
これって、、、
ネズミ捕りだ…
足が挟まって動けないし、足を動かせそうにない、、、
あの女達が、あたしを捕まえる為に、仕掛けた罠だ
ヤバい!
不味い事になった💦
……
……
「魔女さん?魔女さん?どこに行ってしまったの?」
シンディーの声が聞こえてくる!
助かった!と思ったのも束の間だった、、、
ドタドタと恐ろしげな足音が、あたしに迫って来ている
あの女達がやって来る…
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お読み頂いて、ありがとうございます。
ようやく続きを書けました💧
シンデレラが、王子と結婚する以外で幸せになる道を考えた時、自立(家出)するしかないと、私は考えました。
勿論、家出をしたから=幸せになれるとは限りません…
家庭内で家族から虐げられる虐待に、ほんの少しの助力が出来るとしたら、経験や知恵を伝える事ではないかと思いました。
本日は梅雨らしい、蒸し蒸し・ジメジメしていますが、今日もいい一日でありますように