見出し画像

ビリ魔女 第7話  受験生

前回(第6話)の、あらすじ

愛子あいこちゃんは、めぐみちゃんと無事に仲直りできたみたいで、よかった

これでお役ごめんと思ったら、愛子ちゃんから

「凄く早く移動する、長い車を見てみたいです!」

と、お願いされたのだ


2人とも電車を知らないの?

お金持ちのお嬢様?

離島暮らし?

海外育ち?


まあ、面白そうだと思い引き受けることにした

天井使駅てんいしえきまで2人を連れて行った

ICカードは持っていないくて

入場券の切符の買い方も知らない

自動改札の通り方も分からない

全てが初めての経験のようだ

駅のホームに電車が到着する度に、驚いたり、喜んでいる

なんとも楽しそうでいいな

まるで子どもみたいで


愛子あいこ花織かおりさん!あの女の子…どうかしたんですかね?」

愛子ちゃんの視線の先に目をやると、制服を着た女子中学生がホームで、うずまくっていた!

急いで駆け寄る

花織「ねえ、どうしたの?大丈夫?」

???「ホームに空き瓶が落ちていて

つまづいて転びました…

カバンが、受験票が、ホームの下に……」

今にも泣き出しそうな顔で言われた


そうか

今日は高校入試の日だったのか

学校指定のカバンの中に、受験票も入っているのだろう…

ホームドア越しに、下を覗きこむと、女の子のカバンが線路上に見える…

とにかく駅員さんに連絡しないと!

駅員さんを呼びに行き、事情を話し、ホームまで来て貰う

司令室と連絡を取って貰ったが、列車の運行間隔が短く、しばらくの間、拾う事は出来ないそうだ…

無理もない

近年、便利さと快適さを売りに、他社路線の乗り入れを行い、運行間隔がより過密になり複雑化している…

受験って遅刻しても入室できるんだっけ?

それとも、1・2教科は捨てることになるのかな…

愛子「花織さん、線路の上に落ちているなら、すぐに拾って戻れば…」 

花織「それがね…ダメなのよ。

安全上の理由で、駅員さんしか拾うことができないの。

前にね、ホームの下に傘を落とした事があるから…

よく知ってるの。

それに...」

愛子「それに?」

花織「まず、ホーム上の監視カメラで、全てが記録されてるの。

私達が勝手な事をしたら、駅員さんに凄く迷惑が掛かるのよ。

上層部からも、厳しい叱責と責任追及を受けることになるの...

今、マズイことになっているのよ…」

愛子「なにがですか?」

花織「私達に今、スマホ向けている人達いるでしょ?

この事で、もしも電車を遅らせたり、止めたりしたら...

ネットにさらし上げられて…

【馬鹿女だの】【迷惑女だの】と罵詈雑言ばりぞうごんを浴びせられ、誹謗中傷を受けるのよ...」

愛子「ねっとにさらしあげる?」

花織「自宅の玄関・壁・窓ガラスに、数えきれない量の、悪口や脅迫文が、書かれることよ...」

愛子「えっ!? な、何それ!

凄く怖いです...」

花織「更に、狂った人達が、住所とか学校とか本名を突き止めて、勝手に公開したり...

自宅にまで押し掛けられたりして…

取り返しのつかない事になるの...」

愛子「な、な、何で?

そこまでするんですか?

見ず知らずの人

会ったこともない人

無関係の人ですよね?

酷すぎる...」

花織「残念だけど、そういう心ない人達がいるのよ。

匿名だし、バレなきゃ何を言ってもいいとか、何をしてもいいとか。

少しでも落ち度や過失がある相手が、全部悪いんだって考えるみたいよ。

徹底的に叩いて、自死にまで追い詰めて...」

愛子ちゃんは下を向いて、何か考え始め出めた

愛子「花織さん、次の電車がくるまで、あと、どれ位ですか?」

花織「えっ!?

えっと、まだ前々の駅にいるみたいだから、数分じゃない?」

行き先と時刻が表示されている、|発車標はっしゃひょうを見ながら答える


愛子「黄色い線を越えなければ、いいんですよね?」

!?

【続く】

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

【後書き】

お読み頂いて、ありがとうございます。

7話、ようやく投稿出来ました💦

この話しを書きたくて、小説を書き始めました。

受験生を登場させた、きっかけの一つは。

昨年、自転車の有料駐輪場で、精算した駐車券を取り忘れたことに気が付かず💦

右往左往していた時、親切に教えてくれたのが、見ず知らずの女子中学生でした。

第6話はこちら


いいなと思ったら応援しよう!